インタビュー》高市早苗氏、極右派ではなく戦略的保守派として米国との互恵関係重視

2025年10月4日、自民党総裁選で当選した高市早苗氏が初の記者会見を行った。(写真/AP通信提供)
2025年10月4日、自民党総裁選で当選した高市早苗氏が初の記者会見を行った。(写真/AP通信提供)
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日本自民党の新総裁に選ばれた高市早苗氏は、各界で初の女性首相になるとほぼ確定視されており、日本の政治が右傾化する兆しであると一般的に見なされている。しかしながら、元日本海上自衛隊の海将補で、現在は笹川平和財団の上級研究員を務める山本勝也氏は、この見方に異議を唱えている。《風傳媒》のインタビューで、高市氏は「極右」政治家ではなく、戦略的思考を持つ伝統的な保守派であると指摘した。

「台湾有事、日本有事」という台湾で話題を呼んでいるスローガンについて、山本勝也氏は、「多くの人がこの言葉を誤解している。この言葉は、日本が台湾を支援するために軍隊を派遣するという意味ではなく、ひとたび台湾海峡で紛争が勃発した場合、日本は絶対に無関心ではいられないことを示唆している」と述べた。

日本の政治主流は変わらず、保守的だが右傾化はしていない

本氏は8日、台北で開催された「新南向政策+智庫高峰会:インド太平洋のレジリエンス政策展望」に参加するため来台し、活動の合間に『風傳媒』のインタビューを受けた。その中で、日本の政治構造が依然として変わっていないことをさらに分析した。

山本氏は、現政権は自民党であり、自民党自体は左派、中道、右派を横断していると指摘した。「石破茂氏のチームは中左寄り、高市早苗氏とその支持者は中右寄りだが、全体の主体、すなわち保守的な中道勢力は揺るぎないままだ」と述べた。

10月8日,前日本海上自衛隊海將補(相當於少將)、現任笹川和平財團高級研究員山本勝也接受《風傳媒》專訪,解析日本自民黨黨魁高市早苗未來政策走向。(王秋燕攝)
10月8日、前日本海上自衛隊海将補で、現在は笹川平和財団の上級研究員である山本勝也氏が『風傳媒』のインタビューを受け、日本自民党の党首である高市早苗氏の今後の政策方針について分析した。(写真/王秋燕提供)

山本勝也氏は、外部ではしばしば「保守」と「右派」が同義語として扱われがちだが、それは誤解であると指摘した。「高市早苗氏は極右ではなく、伝統的な保守派に過ぎない。彼女の政治目標は体制を変えることではなく、国家の安定を維持し、繁栄と国益を守ることだ。これは保守派の最も核心的な理念である」と述べた。

また、山本氏は日本の政治伝統において「保守派」とは現状を維持し、異なる立場を調整することを意味し、排他的な民族主義を指すものではないと補足した。安倍晋三元首相が典型的な例であるとし、「安倍氏は外部では右派と見なされていたが、実際には異なる派閥を統合する現実主義者だった」と評価した。

さらに、「安倍氏は左派とも協力でき、中央派とも妥協できる賢明な政治家だった。安倍氏がそのような人物であったように、高市氏も同様である。彼女は、日本の役割は自己防衛だけではなく、地域全体のバランスを維持することだとしっかり理解している。これこそが保守派の責任である」と述べた。

日本前首相安倍晉三與美國總統川普層建立良好關係。圖為,安倍晉三夫婦與時任美國總統的川普夫婦一同用餐後合影。(翻攝安倍昭惠IG)
日本の前首相安倍晋三氏は、アメリカのトランプ大統領と良好な関係を築いていた。写真は、安倍晋三夫妻と当時のアメリカ大統領トランプ夫妻が共に食事をした後に撮影されたもの。(写真/安倍昭恵氏のInstagramより引用)

安倍氏の戦略を継承し、高市氏はトランプとの関係を維持

外部では高市早苗氏の保守的なイメージや「親台」姿勢に注目が集まっているが、山本勝也氏は、高市氏の真の特徴は「戦略的思考」にあると指摘した。この点は、安倍晋三氏の考えを引き継いでいるという。

山本氏は、「保守派はイデオロギーを持つ者ではなく、戦略家である。左派や極右派は理想に縛られることが多いが、保守派は現実を重視し、何が国家の平和と幸福を維持するための道かを考える」と述べた。

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