オラクル、AMD製AI GPUを5万個導入へ 米国AI産業に「脱エヌビディア」の潮流?

2025-10-16 13:55
AMD。(写真/柯承惠撮影)
AMD。(写真/柯承惠撮影)

米ソフトウェア大手オラクル(Oracle)のクラウド部門「オラクル・クラウド・インフラストラクチャ(OCI)」は、日本時間10月14日夜、2026年後半からAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)製のAI向けGPUを5万個導入すると発表した。この発表を受け、AMDの株価は時間外取引で約3%上昇した。

AI(人工知能)需要が世界的に拡大するなか、今回の決定はクラウド業界のリーダー格であるNVIDIA(エヌビディア)へのプレッシャーともなっている。AI運用を支えるクラウド事業者の間では、NVIDIAへの過度な依存を避けるため、代替供給源の確保が重要な経営課題となっている。

オラクルは単なる大量購入にとどまらず、AMD製チップの性能を高く評価している。海外報道によれば、同社が採用するのは2025年初頭に発表予定のAMD「Instinct MI450」GPU。これはAMDが開発した初の「大規模モジュラーAIチップ」で、最大72基のGPUを連携させて動作させるシステム構築が可能となる。この新構造により、より高度なAIモデルを効率的に学習・運用できるとされる。

オラクルの発表に先立ち、ChatGPTの開発元として知られるOpenAIのサム・アルトマンCEOも10月初旬にAMDとの長期提携を公表している。契約によると、AMDは今後数年にわたり最大6ギガワット(GW)の電力規模に相当するAIチップ供給を行う予定で、最初の1GW分の展開が2026年から開始される見通しだ。

甲骨文擁有雲端資料儲存技術,可解決TikTok的資安問題。(美聯社)
オラクルはクラウドデータストレージ技術を保有し、TikTokのセキュリティ問題を解決できる。(写真/AP通信提供)

また、契約の進捗によっては、OpenAIがAMD株式最大1億6,000万株(約10%の持分)を取得する可能性もあると報じられている。

現在、NVIDIAはAI向けGPU市場で9割以上のシェアを占め、依然として圧倒的な地位を維持している。しかし、AI処理需要が急増するなか、OpenAIをはじめとする大手企業は、サプライチェーンの多様化を進めている。

OpenAIはAMDに加え、Broadcom(ブロードコム)と共同で自社専用AIチップの設計にも着手しており、業界では「ポストNVIDIA時代」への布石と見る向きもある。オラクルとAMDの提携は、その潮流をさらに加速させる可能性が高い。

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