2025年ノーベル経済学賞》「革新主導の経済成長」を解明 モキール氏、アジオン氏、ハウイット氏の3人に

2025-10-14 18:23
2025年のノーベル経済学賞は、モキール氏・アジオン氏・ハウイット氏の共同受賞となった。(画像/ネットから転載)
2025年のノーベル経済学賞は、モキール氏・アジオン氏・ハウイット氏の共同受賞となった。(画像/ネットから転載)
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2025年のノーベル経済学賞は台北時間13日夕方に発表され、ジョエル・モキール(Joel Mokyr)氏、フィリップ・アジオン(Philippe Aghion)氏、ピーター・ハウイット(Peter Howitt)氏の共同受賞となった。受賞理由は「革新(イノベーション)が駆動する経済成長の解明」。スウェーデン王立科学アカデミーはとりわけ「この賞の半分」を米ノースウェスタン大学のモキール氏に授与すると強調し、その理由を「技術進歩による持続的成長の前提条件を明らかにしたため」と説明した。残る「もう半分」は、フランス高等研究院および欧州工商管理学院(INSEAD)のアジオン氏と、米ブラウン大学のハウイット氏が共同で受け取る。「創造的破壊によって持続的成長が実現する」という理論的貢献が評価されたためだ。

アカデミーは発表リリースで、過去二世紀にわたり世界が初めて持続的な経済成長を経験し、無数の人々が貧困から脱し、今日の繁栄の基盤が築かれたと指摘。2025年の受賞者3氏の理論は、革新が経済を押し進める原動力であることを解き明かしたと評価した。一方で、急速に変化する技術が生産方法や製品を次々に旧技術へ置き換える終わりなき循環こそが持続的成長の根幹である半面、人類史の多くの時期では「停滞」が常態で、重要な発見があっても成長はしばしば鈍化してきたとも述べた。

BREAKING NEWS
The Royal Swedish Academy of Sciences has decided to award the 2025 Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel to Joel Mokyr, Philippe Aghion and Peter Howitt “for having explained innovation-driven economic growth” with one half to Mokyr…pic.twitter.com/ZRKq0Nz4g7

— The Nobel Prize (@NobelPrize)October 13, 2025

スウェーデン王立科学アカデミーは、モキール氏が膨大な歴史資料を丹念に読み解き、「持続的成長が新常態となった」要因を導く重要な道筋を示したと称賛。革新を自己増殖的に成功させ続けるには、事実を知るだけでなく、その背後にある科学的原理を理解し、次の改良へつなげることが不可欠だとする。産業革命以前はこの“原理理解”が弱く、新たな発見・発明から継続的な発展へと結び付けにくかったという。あわせて、社会が新しいアイデアに開かれ、変革を受け入れる姿勢の重要性も強調した。 (関連記事: 2025年ノーベル文学賞》村上春樹氏はまたも受賞逃す、ハンガリーの小説家ラースロー・クラスナホルカイ氏が栄冠に 反ユートピアと憂鬱な世界 関連記事をもっと読む

アジオン氏とハウイット氏も、持続的成長を支えるメカニズムを追究。1992年の論文で彼らは「創造的破壊」の数理モデルを構築し、より優れた新製品が市場に登場すると旧製品を扱う企業が損失を負うプロセスを明示した。革新は創造であると同時に破壊でもあり、企業の技術が時代遅れになれば競争で敗れる。アカデミーは、3氏が異なる手法で、創造的破壊が衝突を誘発し得ること、そしてそれらは建設的に管理されなければ既存企業や利益団体によって革新が阻まれうることを示した点を評価している。

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