自民党・高市早苗氏が維新会と政策協議開始 新連立政権誕生の可能性も

日本維新の会の現任党代表、吉村洋文氏。(写真/政党公式ページ提供)
日本維新の会の現任党代表、吉村洋文氏。(写真/政党公式ページ提供)

次期首相を選出する国会の指名投票を控え、公明党がこれまでの与党連合から離脱したことで日本の政局は一気に流動化した。自民党が安定政権を維持できなくなった中、三大野党が転換の好機を迎えているものの、独自に政権を奪取するには難路が残る。特に、有力野党の一角である日本維新会との接近が進んでおり、これが高市早苗氏の首相就任を現実味のあるものとしている。

朝日新聞によると、高市早苗氏は10月15日、日本維新会の代表・吉村洋文氏と会談。両者は16日以降、政策面での協議を開始し、「連立政権の成立」を目指す方向で一致した。高市氏は、次期国会での首相指名選挙において維新会票を獲得できれば当選可能性が大きく跳ね上がると見ており、維新会を「最重要パートナー」と位置づけている。

現在の衆議院465議席の構成を見ると、自民党は196議席、公明党24議席の計220議席。対する野党勢力では、立憲民主党が148議席、日本維新会35議席、国民民主党27議席、さらに令和新選組9議席、日本共産党8議席、参政党3議席、有志・改革の会7議席、減税保守児童2議席、無所属6名が存在する。

もし公明党を除く野党三党が結束すれば合計210議席が確保でき、自民党を押しのけて政権を奪える可能性があった。しかし野党の結集は非常に困難であり、どこか一党でも維新会側に傾くなら、自民党側は優勢を取り戻し得る。

日本在野勢力之一、國民民主黨現任黨魁玉木雄一郎。(翻攝自玉木雄一郎X粉專)
日本の野党勢力の一つ、国民民主党の現代表・玉木雄一郎氏(写真/玉木雄一郎氏のX公式アカウント提供)。

実際、立憲や国民民主よりも、かつてから右派や対中強硬路線の色を帯びていた日本維新会が、自民党側に引き込みやすい目標とされてきた。維新会の前身には、自民党出身の石原慎太郎氏も関わっており、政界流動性との接点は以前から見られていた。

会談後、維新会代表の吉村氏は「高市氏と政策の方向性はほぼ一致している」と表明。高市氏も会談中、「日本を前に進めるために共に努力しよう」と呼びかけた。両党は「副首都構想」「社会保障改革」など複数の重点政策で大枠の合意に至っており、今後は詳細調整により真の連立政権構想が形になるかが焦点となる。

2025年10月4日,高市早苗贏得自民黨總裁選舉後在辦公室留影。(美聯社)
2025年10月4日、自民党総裁選に勝利した高市早苗氏が、自身の事務所で撮影に応じた。(写真/AP通信提供)

一方で、野党再結集を主張してきた立憲民主党は、維新会と国民民主党による野党統一候補擁立を訴えていたが、維新会が自民党との協議を先に進める意向を示した時点で、その戦略は事実上揺らぎつつある。かつての政権交代を狙う野党勢力の希望は、またしても高市-維新ラインの陰に隠れることになるのかもしれない。

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