抗日戦争80年 中国共産党の貢献は誇張か 米大学研究員・郭岱君氏「紅軍の行動が蔣介石を後押し」

2025-08-30 16:05
米スタンフォード大学フーバー研究所の研究員・郭岱君氏、29日に国家政策研究基金会で抗戦史を講演。(写真/楊騰凱撮影)
米スタンフォード大学フーバー研究所の研究員・郭岱君氏、29日に国家政策研究基金会で抗戦史を講演。(写真/楊騰凱撮影)
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今年(2025年)は日中戦争(抗日戦争)勝利から80周年にあたる。台湾の野党・中国国民党のシンクタンク「国家政策研究基金会」は8月29日、記念シンポジウムを開催し、米スタンフォード大学フーバー研究所の研究員、郭岱君氏を招いて抗戦史をめぐる講演を行った。郭氏は、中国と日本の国力差が極めて大きかったため、当時の国民政府軍を率いた蔣介石が「日本は国土が小さく人口も少ない」と分析し、長期戦で持久的に抗戦する戦略を立てたと指摘した。

蔣は四川を抗日の最終拠点に定めたが、当時の四川は地方軍閥の支配下にあり、国民政府の力は及ばなかった。最終的に共産党軍が四川に進入したことで、国民政府軍は「共産党討伐(剿共)」を名目に介入し、四川を掌握することに成功。こうして蔣が構想した持久戦の戦略が完成したと郭氏は述べた。

国家政策研究基金会は同日、「中国国民党記念・抗戦勝利および台湾の日本統治からの解放(台湾光復)80周年座談会」を開催し、郭氏が抗戦史について講演を行った。

日本侵攻と蔣介石の初期の忍耐

郭氏はまず、当時の中国と日本の国力差は歴然としており、国民政府には抗戦能力が不足していたと強調した。1931年の満州事変(九一八事変)や1933年の長城抗戦では、中国側は後退を余儀なくされ、「隠忍と退却」を選ばざるを得なかったという。

当時の行政院長(首相に相当)は汪精衛、軍事委員会委員長は蔣介石だった。郭氏によれば、汪は「戦えば卵で石に挑むようなものだが、戦わなければ世論の猛批判を浴びる」と語り、左派知識人からの非難を恐れていた。蔣もまた「中日の国力差はあまりに大きく、軽率に戦うことはできず、ただ忍ぶしかない」と述べていたという。

郭氏はさらに「1931年から33年にかけて、蔣の手記には繰り返し『忍辱負重(屈辱に耐えて重責を担う)』との言葉が記されている」と紹介した。当時の中国政府の対日方針は、蔣の日記からも「外交では和解を装い、交通整備は軍事準備に、産業発展は経済基盤に、教育は国防強化に」と読み取れるとし、「韜光養晦(力を蓄え機を待つ)」が唯一の選択肢だったと説明した。

國政基金會29日舉行「中國國民黨紀念抗戰勝利暨台灣光復80週年座談會」。(楊騰凱攝)
国家政策研究基金会が29日に開催した「中国国民党・抗戦勝利および台湾光復80周年記念シンポジウム」。(写真/楊騰凱撮影)

郭氏によれば、1933年以降になると中華民国の対日戦略は徐々に形をなし、「持久戦」が大戦略として固まった。これについて「持久戦は毛沢東の発想ではないか」との問いに、郭氏は「持久戦という概念は古今東西に共通するもので、誰かの専売特許ではない」と述べた。

この頃、蔣は南京を離れ、西北から西南に至るまで各地を巡っていた。学者の間では「何をしていたのか」と長らく疑問視されていたが、公開された日記から「抗日の最終拠点」を探していたことが判明。最終的に四川を根拠地に選び、重慶を陪都(副都)、雲南・貴州を後方支援地域に定めたという。 (関連記事: 北京観察》九三軍事パレードを前に日中で世論戦勃発 日本は560億円で国際イメージ刷新、中国メディア「何を恐れているのか」 関連記事をもっと読む

しかし当時の四川は各地軍閥の勢力が割拠し、国民政府の統制は及ばなかった。郭氏は「1934年、蔣は『共産党討伐(剿共)』を名目に西南へ進出する策を得た」と解説する。江西を拠点としていた共産党軍(紅軍)は「長征」により四川、雲南を経て延安へ向かったが、それは国民政府軍の包囲作戦によって西南に追い込まれた結果だった。

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