イチロー選抜、女子高校選抜に快勝　14奪三振＆松井秀喜の一撃に観客2万人熱狂

日米の球界で活躍したイチロー氏（51）、松井秀喜氏（51）、松井稼頭央氏（49）、松坂大輔氏（44）が出場した「SATO presents 高校野球女子選抜 VS イチロー選抜 KOBE CHIBEN」（読売新聞社など主催）が8月31日、名古屋市のバンテリンドームナゴヤで行われた。

​試合はイチロー選抜が女子高校選抜に8―0で快勝し、2021年から5年連続の勝利を飾った。観客は2万1233人に達し、会場は熱気に包まれた。​

イチロー、9回完封で14奪三振

イチロー氏は「1番・投手」として先発し、9回を111球で投げ切り、被安打1、14奪三振、無失点で完封勝利を収めた。打席でも5打席に立ち、1安打1四球を記録した。

試合後の会見では「2週間ほど前に肩を痛めて、シアトルに戻ろうかと思った時期もあった。ノースロー期間もあり、本当に投げられるのか心配だった」と吐露し、「111球を投げて14三振を奪えたのは奇跡のよう」と安堵の表情を見せた。

松井秀喜の3ランに「スーパースターの証」

試合の転機となったのは3回、松井秀喜さんが右翼席へ放った先制3ランだった。イチローさんは「今日はさすがにしんどいかなと思っていた。なかなかホームランのイメージはできなかったが、こういう人、いるんですよね。スーパースターはこういうことをやるんですよ」と絶賛した。前日のフリー打撃では自身が33スイングで8本の柵越えを放ち「松井秀喜が1本入れて終わりたかった」と話していたが、その松井さんが練習ではノーアーチ。それでも本番で一振りに結果を出した姿に「本当にずるいですよね」と羨望を込めた。

「ジャイアンツ監督」発言にユーモアで返答

松井氏が30日のトークショーで「ジャイアンツの未来に自分自身が関わっても不思議じゃない」と語った件について、イチロー氏は「意味深ですね」と笑顔を見せ、「もちろんファンは見てみたいだろうけど、彼はウチの大事な戦力。そっちの方が大事」とユーモアを交えて返答し、報道陣の笑いを誘った。

さらに「僕は背番号51で51歳までやった。だから彼も最低55歳までは続けてもらわないと」と冗談を飛ばした。松井氏の現役続投を期待するかのように語った。​

野球界への提言

今年1月にアジア出身選手として初めてアメリカ野球殿堂入りを果たしたイチロー氏は、「日本の野球が米国を追いかけているうちは絶対に超えられない。成熟してきた今だからこそ、日本独自の形を大切にし、誇りを持ってほしい」と呼びかけた。メジャーリーグのルール改正についても「壊してはいけない部分に手をつけている。リプレー検証ばかりで選手が塁上に残るのも本来の野球に対するリスペクトが欠けている」と苦言を呈した。

また、少子化による競技人口減少にも触れ、「公園でキャッチボールすらできない環境では子どもは他の遊びに流れてしまう。瞬間的な利益ではなく、将来を見据えた判断を大人にしてもらいたい」と訴えた。

名古屋との縁と松坂への言葉

名古屋での開催については「若い頃は中日ドラゴンズのファンで、1994年の『10・8決戦』をナゴヤ球場で生観戦した」と回顧。「上林選手と短期間一緒に練習したことがあるが、1日だけじゃ分からない。最低でも1週間は必要」と述べ、「彼が僕に憧れて51番をつけていると言われたけど、本当にそうならちょっと不自然じゃないかな」と冗談を交えて笑わせた。

松坂大輔氏については「実は登板も考えていたらしい。結局諦めたけど、そういう気持ちを持ってくれるだけで嬉しい。存在そのものが特別」と語り、「この試合はただの試合ではなく、野球を広める舞台。これからも続いてほしい」と締めくくった。

編集：梅木奈実

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