インドネシア学生デモ、死者8人に 催涙弾と火炎瓶で緊張高まる

2025-09-03 18:21
2025年8月31日、インドネシア・ジャカルタの国会議事堂前で、警察に石を投げる抗議者の様子。(AP通信)
2025年8月31日、インドネシア・ジャカルタの国会議事堂前で、警察に石を投げる抗議者の様子。(AP通信)

インドネシア・西ジャワ州のバンドン市で、学生団体と当局の間で激しい衝突が続いており、警察は市内2大学の周辺でデモ参加者に催涙弾を発射した。この抗議活動は既に8人の死者を出しており、抗議者の一部は省議会の建物に火炎瓶を投げ込むなど、緊張は一層高まっている。

ロイター通信によると、バンドンイスラム大学(Bandung Islamic University)と隣接するパスンダン大学(Pasundan University)の学生団体は、Instagramを通じて警察が校門付近で催涙弾を使用したと発信した。バンドンは首都ジャカルタから140キロ以上離れた都市である。パスンダン大学の学生ヨガ・タディヤラガ・ルチヤット氏は、学生たちは当局の行動に強い怒りを感じていると述べた。

2025年8月30日、インドネシア東ジャワ州スラバヤで、警察が催涙ガスの煙の中で抗議者を排除しようとする様子(AP/Trisnadi)
2025年8月30日、インドネシア東ジャワ州スラバヤで、催涙ガスが立ち込める中、警察が抗議者を排除しようとする様子。(AP/Trisnadi)

長年にわたり、インドネシアの大学生は民主化運動の先導役とされてきた。1998年には、当時の権威主義大統領スハルト氏の退陣に至る抗議行動を学生が主導している。バンドンイスラム大学の学生団体は、治安部隊が異議を抑え込もうとしていると非難し、警察による催涙弾使用を「校内への粗暴な攻撃」と批判した。

フランス通信社(AFP)の報道によれば、今回の抗議活動は、国会議員が享受する高額な手当や特権に対する市民の不満が発端である。抗議者の不満は警察にも向けられ、さらに、若いバイク便配達員が警察の手で死亡する場面がネット上で拡散されたことで、抗議活動は全国的に広がっている。

2025年8月30日、インドネシア東ジャワ州スラバヤ市の東ジャワ州総督官邸が抗議活動中に放火された様子(AP)
2025年8月30日、インドネシア東ジャワ州スラバヤ市で、抗議活動中に東ジャワ州総督官邸が放火された場面。(AP)

人権団体「失踪者と暴力被害者委員会(KontraS)」によると、現時点で23件の失踪通報があり、20人が所在不明となっている。これらの失踪者はジャワ島の万隆やデポック、首都圏の中ジャカルタ、東ジャカルタ、北ジャカルタなどで確認されている。一件については失踪場所が不明として報告されている。

国営通信社アンタラ(Antara)によると、警察は8月25日以降、首都ジャカルタで1240人を拘束した。軍隊が首都に配備されて以降、大規模な集会は見られず、抗議者の数は大幅に減少している。西ジャワ州警察のヘンドラ報道官は声明で、警察と学生らが校内に誘導され「衝突を引き起こそうとした」と説明。夜間には道路封鎖を行った「騒擾の疑いのある集団」に対して催涙弾を使用したとしている。

抗議活動はバンドンに留まらず、スマトラ島のパレンバン、カリマンタン島のバンジャルマシン、ジャワ島のジョグジャカルタ、スラウェシ島のマカッサルなど、各地に広がっている。スラウェシ島ゴロンタロ市では、催涙弾や放水車による警察との衝突が発生した。万隆では抗議者が省議会に火炎瓶を投げ、警察は夜間に封鎖道路の集団に催涙弾で応対するなど、事態は依然として緊迫している。

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編集:田中佳奈

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