台湾のグリーンエネルギーは失速か トランプ氏も頼清徳氏も後押しせず、再エネ論争で民意離反

2025-11-03 15:39
国際エネルギー展の昨年のにぎわい。(写真/貿易協会提供)
国際エネルギー展の昨年のにぎわい。(写真/貿易協会提供)
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国際エネルギー展は開幕したものの、ブース数や来場者数は前年を下回り、再生可能エネルギーの停滞が浮き彫りになった。業界団体は「産業への相応の敬意」を求めるが、盛衰の分岐は、業界内の競争と自律の欠如、国内での対立激化に加え、頼清徳政権の消極的な政策対応が追い打ちをかけたとの見方が強い。

今回のエネルギー展では、1階の太陽光関連は特に縮小傾向が目立ち、多くのデベロッパーが出展規模を絞り、参加を見送る企業も。光電(太陽光)ゾーンのブースは前年比で約200減り、近年でも小規模な部類となった。

国際エネルギー展、来場・出展とも鈍化 冷え込みが可視化

国内の業界ムードは重く、太陽光事業者は「露出を増やしても得るものが少なく、かえって目立てば逆風になりかねない」として、今回は低調に乗り切る構えだ。各社は、今後想定される事業者選定(選商)に向けた準備を優先している。

今回の洋上風力の出展は、オーステッド(Ørsted)、CIP、SRE、SkyBorn Renewables の4社にとどまった。過去には積極的に顔を出していたEDF、台亞風能、すでに台湾市場から撤退したCorio Generationの姿はなく、例年に比べ華やかさは後退した。一方で業界内からは「今年は入札年ではなく、各社とも企業向け電力売買契約(CPPA)の締結対応が中心。展示は優先度が下がるが、将来の機会をにらんで露出を続ける動きもある」との声も聞かれた。

トランプ政権は「気候詐欺」を批判 風力支援を巻き戻し

ドナルド・トランプ米大統領は再生エネを「気候詐欺」と位置づけ、就任直後の今年初めに覚書へ署名。連邦海域での新規・更新の風力リースや許認可の審査手続きを停止し、既存案件の再点検を指示した。承認済みのRevolution Windなどには停止命令が下され、米海洋エネルギー管理局(BOEM)は「国家安全保障」等を理由に工事中断を命じた。開発側の損失と市場心理の悪化は大きい。

アメリカ大統領トランプ。(美聯社)
ドナルド・トランプ米大統領。グリーンエネルギーを「気候詐欺」と位置づけた。(写真/AP通信)

その後、連邦政府は港湾や風力関連インフラ向けの補助金など複数の資金支援を取り消し、約6.79億ドルの拠出を撤回。通商・補助の面でも、風力部材に約50%の関税を課し、洋上風力の「コスト過大・信頼性不足」を強調して支援制度を明確に後退させた。これを受け、米国で投資を進めていた欧州系デベロッパーの間では案件の手控えや様子見が広がり、世界の洋上風力には一段の不確実性が生じている。 (関連記事: 現場》台湾・頼清徳政府の全社会防衛レジリエンス、花蓮のせき止め湖災害で試練 救助は国軍とスコップヒーローに依存 関連記事をもっと読む

左派団体は「汚名返上」を要請 産業の尊厳回復を

国内で逆風が続く中、左派系の台湾再生可能エネルギー推進連盟(TRENA)は太陽光事業者とともに記者会見を開き、政府に対し偽情報を即時・透明に打ち消すよう要求。汚名が長期的発展を損なうと警鐘を鳴らした。高如萍・事務局長は士気の低迷を踏まえ、「台湾再生エネルギーの日」の創設や、持続可能性賞の受賞者を府内に招いた対話の場を設け、信頼回復を図るよう提案。太陽光のヒートアイランド化、水庫の水質汚染、風車の耐颱風性などの流言が事業者に重圧となっていると指摘した。

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