トランプ氏和平案にプーチン氏拒否 ポクロフスク陥落なら東部防衛崩壊も

2025-11-03 11:30
2025年10月2日。ロシア兵がウクライナ陣地に向けて発砲している。(写真/ロシア国防省報道サービス経由 AP通信提供)
2025年10月2日。ロシア兵がウクライナ陣地に向けて発砲している。(写真/ロシア国防省報道サービス経由 AP通信提供)
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2024年初のアブディフカが陥落して以来、ウクライナ戦場で最も重要な町の攻防戦がドネツク州の戦略的中枢地、ポクロフスクで全面的に展開されている。ウクライナ武装部隊総司令官オレクサンドル・シルスキー上将は11月1日に前線に赴いた際、精鋭部隊を投入し「数千の敵軍」の猛攻を食い止めようとしていると述べた。しかし、クレムリンはウクライナ軍の増援がすでに壊滅したと高らかに宣言し、町の包囲網が着実に狭まっているとした。ポクロフスク戦況について双方が異なる見解を示しており、ウクライナ東部前線の実情を不明確にしている。

ポクロフスクは戦前、6万人が暮らす工業都市であったが、現在は戦火により廃墟と化している。しかし、ドネツクの「門戸」としての戦略的価値があり、重要な争点となっている。ロシアにとってポクロフスクを制することは、ウクライナ軍がドンバス地域に築いた二大拠点、クラマトルスクとスラヴィャンスクへの北上ルートを開くことを意味し、プーチン政権にとっても「特別軍事行動」が決定的な進展を遂げていることの証左となる。一方、キエフ当局にとっては、ここを失陥すれば東部戦線の防衛線が崩壊し、補給路が断たれてしまうため、軍事的および政治的な打撃が計り知れない。

ウクライナ大統領ヴォロディミル・ゼレンスキーは10月31日の演説で、ポクロフスク防衛が「現在の最優先課題」であると強調した。ウクライナの情報機関は、約200名のロシア兵が小規模に市内へ浸透することを確認した。攻防戦の行方は、前線の寸分の土地を左右するだけでなく、米国からの軍事支援や世界的な外交関係にも微妙な影響を与えることになる。

特殊部隊の敵後の大博打 「ブラックホーク」をめぐる羅生門

ポクロフスク戦局の急激な悪化は、衝撃的な映像に端を発している。米製「ブラックホーク」ヘリコプターが泥濘の中で低空ホバリングし、完全武装のウクライナ兵が次々と降下して戦闘に突入する様子がドローンによって撮影され、SNSで拡散された。この映像はその後、ウクライナ国防情報局(GUR)の情報提供者がCNNに確認し、この作戦がGUR主導のものであり、キリーロ・ブダノフ局長自らが現地で指揮を執っていると示された。ウクライナ第七速攻部隊は、部隊の協調性が要求されるこの空襲が成功を収めたと宣言し、ウクライナ軍は市内のいくつかの区域で戦術的な位置を改善し、過去1週間に85人のロシア兵を殲滅したと報じた。 (関連記事: トランプ大統領、ゼレンスキー非難後にプーチンとの会談見送り、ウクライナ戦争で対立深化 関連記事をもっと読む

一方、モスクワの国防省は、ポクロフスク北西郊外でのウクライナ特殊部隊の空襲を「撃退」し、搭乗していた兵士11名を「全て撃破」したと主張した。この主張を裏付けるため、ロシア側は降伏したとされる2人のウクライナ兵が、疲労の色を隠せないまま戦況の激しさと包囲された絶望について語る映像を公開した。この映像の真偽は独立して確認されておらず、キエフ側も未だ公式なコメントを発表していない。「ブラックホーク」救援の壮絶な作戦はこうして「乱象」を生み出し、ポクロフスク戦場に漂う戦争の霧を強調している。ウクライナの情報筋は、CNNに対しロシア側の主張を「偽り」と短く語り、ブダノフ指導の「安定行動」が続いていると説明した。しかし、情報のトップが自ら指揮し、特殊部隊が通常部隊の防線が崩れた市区に派遣されることは、正規部隊の防線が危機的な状況にあることを間接的に示している。

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