AIはがんを治せるか?「発症前に発見」「最適な薬を選ぶ」がん治療10年以内に「治癒時代」へ 米専門家が大胆予測

2025-11-04 16:05
AIが「医師の目にも見えないがん細胞」を見つけ出せるようになったとき、医療テクノロジーの想像の限界は打ち破られつつある。(イメージ図/Open AI生成)
AIが「医師の目にも見えないがん細胞」を見つけ出せるようになったとき、医療テクノロジーの想像の限界は打ち破られつつある。(イメージ図/Open AI生成)
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AIが絵を描き、文章を書く時代はすでに現実となった。だが今、人工知能は「医師の目にも見えないがん細胞」を見つけ出す段階へと進化している。米国の医学専門家マーク・シーゲル(Marc Siegel)氏は最近、「今後10年以内にAIががん治療における『治癒レベルの突破』をもたらす」との見通しを示した。長年がんの脅威に直面してきた台湾社会にとっても、これは医療の転換点となり得る。

3つの重要ポイント

  • AIががん化前に異常を検知し、医師が危険な細胞を「一歩早く」発見できる
  • 精密医療(Precision Medicine)が主流に。AIが「誰にどの薬が最も効果的か」を解析
  • 5〜10年以内に複数の“治癒可能ながん”が登場すると専門家が予測

医師より早くがんを見つけるAIの力

シーゲル氏によると、AIの最大のブレークスルーは「がんが発症する前」にその兆候を捉える能力にある。同氏は例として、米ハーバード大学が開発したAIプログラム「Sybil」を挙げた。このシステムは肺のスキャン画像を解析し、人間の目では見逃すような微細な異常部位を検出する。放射線科医はこれにより、潜在的ながんリスクを早期に追跡・介入できるようになるという。

「AIはがんになる前の段階で診断できる」シーゲル氏はこう語り、診断スピードの短縮と死亡率の低下につながると強調した。

AIが「抗がん薬のオーダーメイド化」を実現

AIは診断だけでなく、治療のあり方そのものも変えつつある。シーゲル氏は、人工知能が患者の遺伝子特性やがん細胞の分子構造を照合し、最も効果的な薬剤を特定できると説明する。「AIは『この薬はこの人に効く』『あの人には効かない』と教えてくれる」こうした個別化された処方は、治療効果の最大化と副作用の最小化を同時に実現する。同氏は「AIによる精密医療の進化で、多くのがんは今後10年以内に『治せる病気』になる」と予測している。

科学と信仰は両立するか 医療と心の関係

ただし、シーゲル氏は「科学技術だけが治療の力ではない」とも指摘する。著書『The Miracles Among Us』の中で、信念や人とのつながりが健康に与える影響を論じており、ニューヨーク大司教ティモシー・ドラン氏の言葉「医師は神の手である」を引用し、医療と信仰が協働する時、人は奇跡的な回復を遂げることもあると述べている。

台湾が次の「AI医療立国」になる可能性

台湾ではすでにAI医療と画像解析技術の研究が進んでおり、台大病院や工業技術研究院(ITRI)がAI診断システムを開発している。シーゲル氏の予測は、世界が「予防型AI医療」時代へ突入したことを示すものだ。台湾が豊富な医療データベースと半導体計算能力を活用すれば、AIによるがん検出や個別化治療の分野で、次なる国際的イノベーションの中心となる可能性がある。

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編集:梅木奈実

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