トランプ氏、初の「中間テスト」で敗北 民主党穏健派スパンバーガー氏がヴァージニア州初の女性知事に当選 “振り子効果”で党内主導権を握る

2025-11-05 13:55
2025年11月1日、アメリカ前大統領オバマ氏、民主党のバージニア州知事候補スペインバーガー氏を支援し、勢いを付ける。(写真/AP通信提供)
2025年11月1日、アメリカ前大統領オバマ氏、民主党のバージニア州知事候補スペインバーガー氏を支援し、勢いを付ける。(写真/AP通信提供)
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アメリカ・ヴァージニア州知事選が11月4日に行われ、元連邦下院議員のアビゲイル・スパンバーガー(Abigail Spanberger)氏が共和党の副知事ウィンソム・アール=シアーズ(Winsome Earle-Sears)氏を破り、同州史上初の女性知事に当選した。全米が注目したこの「指標州」での勝利は、民主党にとって大きな追い風となり、今後の党内路線を左右する分水嶺として、穏健派の存在感を一段と高める結果となった。

米政治専門紙『ザ・ヒル(The Hill)』は、スパンバーガー氏の勝利を「民主党穏健派の大きな成功」と位置づけた。進歩派と穏健派が党の理念と将来像をめぐって対立する中、スパンバーガー氏は「現実主義」と「超党派協調」を掲げ、政治の風向きを象徴するヴァージニア州で勝利を収めた。この結果は、穏健派が今後の中間選挙に向けて打ち出す「勝利の方程式」を提示した形となる。

2025年11月1日、アメリカ前大統領オバマが民主党バージニア州知事候補スパンバーガー氏の応援演説を行った。(AP通信)
2025年11月1日、アメリカ前大統領オバマが民主党バージニア州知事候補スパンバーガー氏の応援演説を行った。(写真/AP通信提供)
2025年11月2日、民主党バージニア州知事候補スパンバーガー氏が大逆転で当選。(AP通信)
2025年11月2日、民主党バージニア州知事候補スパンバーガー氏が大逆転で当選。(写真/AP通信提供)

元CIA捜査官から州知事へ スパンバーガー氏の異色キャリア

46歳のスパンバーガー氏は、まさに「逆転劇」のような経歴を持つ。政治経験のなかった2018年、地元ヴァージニア州第7選挙区で再選を目指す共和党のデイヴ・ブラット(Dave Brat)氏に挑戦。当時、ブラット氏はティーパーティー運動の象徴的存在で、2014年には下院多数党院内総務エリック・カンター(Eric Cantor)氏を破り、全米を驚かせた人物だった。しかし4年後、そのブラット氏をスパンバーガー氏が「青い波」に乗って撃破し、共和党の牙城とされた選挙区を奪取した。

彼女の政治的説得力を支えたのは、その職業経歴である。看護師の母と連邦法執行官の父を持ち、公共奉仕の精神を受け継いだスパンバーガー氏は、自身も連邦捜査官として麻薬密輸組織や児童虐待事件を捜査。その後、CIAの情報官に転じ、対テロ任務に携わった。この経歴が彼女の信頼性と強いリーダー像を形作り、選挙戦でも最大のアピールポイントとなった。

民主党のバージニア新知事スパンバーガー氏。(AP通信)
民主党のバージニア新知事スパンバーガー氏。(写真/AP通信提供)

選挙戦の最終段階で、スパンバーガー氏の選挙広告はこの経歴を強く打ち出し、「私は両親の足跡を追い公共サービスに従事し…CIAで追跡したのはテロリストだった」という力強い告白で、彼女の堅実かつ専門的な愛国形象を築き上げた。彼女が国会議員(2019-2025)を務めた期間、スパンバーガー氏は共和党との協力を積極的に行い、国会超党派「問題解決者連合」のメンバーになり、双方で共通点を探ることに尽力した。この実務重視の政治スタイルにより、中間層の有権者から高い支持を得ることになった。 (関連記事: ニュージャージー州「ポスト・トランプ」初の中間テスト 民主党のシェリル氏が接戦を制し、64年の“三連覇ジンクス”を破る 関連記事をもっと読む

スパンバーガー氏の知事選挙キャンペーンは二年前から静かに始まっていた。当初、ベテランの連邦下院議員ボビー・スコット氏が出馬する可能性があるとの噂もあったが、最終的にスパンバーガー氏は挑戦者なしに民主党内予備選で楽々と勝利を収めた。彼女の選挙チームは高度な規律性と集中力を発揮し、選挙全体でスパンバーガー氏は常に生活問題、特に生活費や物価問題に火力を集中させ、バージニア州の利益を守り、トランプ氏による連邦雇用削減の衝撃から州を守ることに力を注ぐことを強調していた。

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