823第2波リコール案の開票結果が明らかになり、民進党が推進した大規模リコールは32対0で全敗に終わった。新竹市長・高虹安氏に対するリコール案も不成立となった。これについて、時事批判を展開するフェイスブックの人気ページ「エンジニアが見る政治」は、総統・頼清徳氏と民進党団総召・柯建銘氏が主導した「史上最大のリコール劇」が幕を閉じたと指摘した。一年間にわたり台湾全体の貴重な時間を浪費し、経費は4億元にのぼった。この国民を疲弊させる「緑共」による政治的な私闘は、ようやく終わりを迎えたという。
同ページの投稿では、7月26日のリコール失敗後に林右昌氏が辞任し、8月23日の再度の失敗後には郭智輝氏が下台したが、いずれも本質的には彼らの責任ではなく、単なる「スケープゴート」にすぎないと指摘した。真の責任は頼清徳氏と柯建銘氏にあるとしつつも、権力を握る彼らは厚顔無恥に居座り続け、誰も制約できない現実を嘆いた。結果として、彼らが政権に居続ける限り、台湾全体のエネルギーが浪費され、混乱が続くしかないと結論づけている。
エンジニア「内耗は一時収束、だが外圧は嵐の前触れ」
エンジニアは、内向きの消耗戦は一時的に収まったが、外からの圧力はまさに嵐の前兆であると嘆く。思い起こせば、7月26日の大規模リコール終了直後に「関税20%+N」が突如発表され、対米輸出に依存する伝統産業が大打撃を受けた。無給休暇者はすでに4,000人に達し、今後は工場閉鎖や解雇、賃下げの波が徐々に広がると予測されている。さらに8月23日のリコール終了後には、新たな通商条件が水面下で取り沙汰されており、米国は台湾に対し、水産物や自動車および関連製品の関税撤廃、輸入車制限の全面撤廃を求めている。対象は小麦、トウモロコシ、大豆、乳製品、食肉、水産物、野菜や果物、自動車、化学品、化粧品、医療機器、医薬品、機械類にまで及び、あらゆる関税の撤廃が要求されているのである。
また、米国側は台湾に対し、米国産豚肉・牛肉の検疫緩和、米国による鳥インフルエンザの地域限定認定の受け入れを迫っている。これにより牛血や牛脂などの製品も円滑に輸入される道が開かれる。加えて、台湾は4年間で2,500億米ドル(およそTSMCの純資産に匹敵し、政府総予算の約2.5年分に相当)の対米投資を確約することを求められ、さらに1,300億米ドルの商品購入と、4,000億米ドル規模の「金融保証」を拠出し、企業の対米進出を推進することが条件として課されている。
米国への追加投資 エンジニアの歴史的視点「台湾に不平等条約を強要するに等しい」
エンジニアは、米国がすでに5兆円規模に相当するTSMCの投資を奪い、台湾に「20%+N」の関税を課したことに言及したうえで、さらに全面的な関税撤廃と巨額の調達義務、加えて企業の海外移転まで迫っていると批判した。その姿勢は「最も価値ある企業を奪い取り、自国製品は売りつけるが、台湾が米国で利益を得ることは許さない」というものだと断じている。
歴史的な視点から見れば、これは台湾に不平等条約を強要するのと変わらない。戦争に敗れたわけでもないのに、すでに領土割譲や賠償に等しい屈辱を強いられているという。いわゆる「台米友好」とはこのような関係なのか、「民主深化」とはこのような民主のあり方なのかと皮肉り、かつてTSMCの技術を奪おうとした日本の姿と重ねて、米国もまた同じように利益を持ち去っていくと指摘した。
最終的に示される数字は必ずしもここまで極端ではないかもしれない。しかし、国の尊厳と利益を失う事態は避けられないだろう。頼清徳氏には米国に抗う術はなく、差し出せるものはすべて差し出してしまう。産業に新たな市場を開くこともなく、業界は自力で生き残るしかない。やがて伝統産業や自動車産業、農業は次々と打撃を受け、株式市場の指数は上向いても、庶民の暮らしは確実に苦しくなる――。どうか読者自身がこの衝撃に巻き込まれず、私たちがともに米台両政権の政治的嵐を乗り越えられるよう願う、と結んでいる。
編集:柄澤南 (関連記事: TSMC「米国は出資せず」明言 トランプ氏がインテルを選んだ背景と郭明錤氏の分析 | 関連記事をもっと読む )
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