舞台裏》国民党主席選び沈黙 盧秀燕氏不出馬で浮上した意外な名前

2025-08-27 11:35
国民党主席選挙は膠着状態に陥っている。台中市長の盧秀燕氏が不出馬を表明し、現在党内には一線級の有力者が立候補する気配がない。(写真/陳品佑撮影)
国民党主席選挙は膠着状態に陥っている。台中市長の盧秀燕氏が不出馬を表明し、現在党内には一線級の有力者が立候補する気配がない。(写真/陳品佑撮影)
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 823リコール戦が幕を閉じ、国民党はリコール推進団体と民進党に対し圧倒的勝利を収めたものの、党内の歓喜は長く続かなかった。次期党主席が不透明なままという不安が、すぐに喜びをかき消したのである。国民党主席の朱立倫氏は、823当日の夜に「安心してバトンを渡し、自らは再任を目指さない」と明言。翌24日には、次期党首として党内から最も期待されていた台中市長の盧秀燕氏が「台中市の産業が難局に直面している時期であり、母親は家に残る」と述べ、党主席選への不出馬を明確に表明した。朱氏はバトンを渡す意向を示し、盧氏はそれを受け取らない姿勢を示したことで、国民党主席選は予測不能な膠着状態に陥っている。

次期国民党主席選は10月18日に投票が行われ、候補者登録の締切である9月5日まで残り10日を切ったが、党内の有力「Aクラス」人材が誰も名乗りを上げず、むしろ「Bクラス」「Cクラス」の人物が立候補を競うという異様な状況となっている。ある党幹部は率直に語る。野党としてリコールを阻止し国会での優勢を守ることには成功したが、2026年の地方首長選や2028年の総統選を見据えれば、新党主席に課される責任は過去に例を見ないほど重い。それにもかかわらず、孫文学校総校長の張亜中氏、前立法委員の鄭麗文氏、前彰化県長の卓伯源氏らが出馬に意欲を示しているものの、いずれも政治的な知名度、経歴、党務経験のいずれにおいても国民党を背負う器ではない。党内の有力者が適任者を調整できないのであれば、国民党が中央政権への復帰を語る資格はない、というのである。

20250823-国民党主席朱立倫が823罷免失敗について声明を発表した。(蔡親傑撮影)
国民党主席朱立倫(中央)が再選しないことを表明し、盧秀燕に交接を望んでいる。(写真/蔡親傑撮影)

党内で大物が出馬せず、盧秀燕氏の責任が問われる

盧秀燕氏は党主席選への出馬を明確に否定した際、党務から距離を置くことはしないと約束した。しかし同時に、党主席は民主的な選挙であり、誰かが指名するべきものではなく、意欲ある者が立候補すべきだと強調した。この発言は多くの国民党関係者にとって「傍観者的」な印象を与え、特定候補を支持する意向がなく、誰を推すかも公にしないという姿勢を示したものと受け止められている。

国民党の資深党務関係者は「これでは主席選の情勢は一層混迷を深め、適任ではないB級、C級人材が勝ち上がる可能性も高まる。極めて好ましくない兆候だ」と指摘する。もし新主席の下で党が混乱に陥った場合、本来責任を担うべき立場にありながら回避した盧氏は、すべての政治的結果を背負わざるを得ず、「逃げ切れず、責任を免れることはできない」とまで語った。

一方で、盧氏に近い人物は別の見方を示す。盧氏は、新党主席に力量がなければ2026年、2028年の選挙に悪影響を及ぼすことを十分理解しているという。そのため、同志の立候補の権利を尊重し、特定候補を公然と推して党員の自主的投票に影響を与えることはしないものの、決して袖手傍観するわけではないとされる。少なくとも、能力と存在感を備えた人物を選挙に引き込むことで、適任者が勝ち抜くよう裏で働きかける。それこそが盧氏の水面下の役割であり、将来の総統選に向けた布石でもあるという。

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