鄭麗文氏の訪米、在米台湾系の支持で党内反対派に焦り 「鄭・習会談」を対米接触のカードに

国民党の鄭麗文主席は訪米を開始し、現地の親国民党系僑胞から熱烈な歓迎を受けた。党内の反鄭派は警戒感を強めている。(写真/鄭麗文氏のフェイスブックより)
国民党の鄭麗文主席は訪米を開始し、現地の親国民党系僑胞から熱烈な歓迎を受けた。党内の反鄭派は警戒感を強めている。(写真/鄭麗文氏のフェイスブックより)

台湾最大野党・国民党の鄭麗文主席は6月1日、15日間の日程で米国訪問に出発した。今回の訪米で鄭氏が訴える主なメッセージは、国民党こそが両岸の平和を維持し、米国を戦争に巻き込まないというものだ。

この主張が米側にどこまで受け入れられるのか、あるいは疑問視されるのかは、鄭氏がワシントンで米政府当局者や連邦議員と会談すれば、一定程度明らかになるとみられる。ただ、今回の訪米は、4月初旬に中国を訪問し、中国共産党総書記の習近平氏と「鄭・習会談」を行った際に比べ、注目度では大きく及ばない。ネット上での言及量を見ても、訪米は訪中時の5分の1程度にとどまり、否定的な反応も肯定的な反応を大きく上回っている。

それでも、国民党内の反鄭派はまったく異なる受け止め方をしている。関係者によると、鄭氏が米西海岸のサンフランシスコから東海岸のボストン、ニューヨークに至る各地の在米台湾系僑胞向け晩餐会で得た熱烈な支持は、党内における鄭氏の求心力を強めるには十分だという。

加えて、鄭氏は晩餐会で、2026年末の県市長選挙など地方選挙を機に、2028年総統選挙への準備が始まるとの趣旨を語った。国民党側はその後、これは鄭氏個人の出馬準備を意味するものではないと説明したが、もともと鄭氏の総統選出馬を強く警戒していた反鄭派の不安をさらに高める結果となった。

2026年鄭習會,國民黨主席鄭麗文與中國國家主席習近平握手合照。(中央社)
鄭麗文氏(左)が4月に中国の習近平国家主席(右)と北京で会談した際に比べ、今回の訪米をめぐる反響は明らかに低下している。(写真/中央社提供)

「鄭・習会談」を対米接触のカードに

​鄭氏は訪米前、米国在台協会(AIT)台北事務所長のレイモンド・グリーン氏から、国民党が反共の立場を維持しているのかについて公に疑問を呈されていた。グリーン氏は、鄭氏が訪米の機会を生かして疑念を払拭すべきだとも指摘している。与党・民進党側も、今回の訪米は米側から冷遇されるとの見方を強調していた。

しかし、米国の主要メディアはなお鄭氏に一定の関心を寄せており、米国の著名シンクタンクや学界関係者も鄭氏との面会や意見交換に前向きな姿勢を示しているとされる。最終的には、米国務省や米国防総省の当局者、連邦議員らも、国民党の米中台関係に対する見解を聞くため、鄭氏との接触を拒まない可能性がある。

ある国民党有力者は、米側が鄭氏に関心を示す理由について、鄭氏が最近、習近平氏と直接会談し、食事も共にしたという一点に尽きると指摘する。国民党は台湾の野党であり、鄭氏は党主席とはいえ、2028年総統選の有力候補と見なされているわけではない。米国のメディア、シンクタンク、政府当局者が鄭氏に特別な好感を抱いているとも言い難いという。
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鄭氏自身もこの点を否定していない。サンフランシスコでの晩餐会で、鄭氏は「鄭・習会談」がなければ、公職に就いていない野党党首である自分は「取るに足らない存在だったかもしれない」と率直に語った。つまり鄭氏は、米側が習氏との接点ゆえに自分と国民党の訪米を重視していることを理解し、そのカードを隠さず使いながら、米国の政界・学界関係者との面会機会を広げようとしている。

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