【スクープ】米外交界は国民党・鄭麗文主席に「困惑」 米シンクタンク幹部が語る訪米の意味 国民党の鄭麗文主席は4日、米ワシントンのシンクタンク研究員、ライル・ゴールドスタイン氏(左から2人目)と対談した。(国民党提供)
台湾の最大野党、国民党の鄭麗文 主席(党首) は台北時間4日、米ハーバード大学のキャンパス内で、 米シンクタンクのディフェンス・プライオリティーズ(Defense Priorities)アジア担当ディレクターのライル・ゴールドスタイン(Lyle Goldstein)氏と昼食を共にし、会談を行った。この会談についてゴールドスタイン氏は風傳媒の取材に対し、米国の外交当局は台湾政界に現れたこの新進気鋭の人物(鄭麗文氏)に「かなりの困惑」を感じているのが実情だと語った。ただ同氏個人 としては、鄭氏との間で両岸(中台)の緊張緩和という喫緊の課題を巡り「明確な共通認識が得られた」と述べた。
「鄭氏は台湾情勢の複雑さを深く理解 」 ゴールドスタイン氏は米東部時間6月8日、鄭氏の訪米成果および会談の内容について問う 風傳媒への電子メールでの回答を通じ、「台湾からの訪問者と非常に楽しい時間を共有した」と述べた。その上で「ケンブリッジ(ハーバード大学の所在地)で鄭氏と踏み込んだ対話を行った。彼女は個人的な魅力、知的好奇心、そして明晰な思考を兼ね備えた優秀なリーダーであり、台湾情勢の複雑さを深く理解できるとの印象を受けた」と振り返った。
ゴールドスタイン氏によれば、鄭氏および国民党代表団との1時間にわたる協議の中で双方は、先ごろ鄭氏が行った北京訪問や、いわゆる「トゥキディデスの罠」、台湾の統治機構に対する彼女の確固たる信頼など、多岐にわたるテーマについて話し合ったという。「すべての問題で意見が一致したわけではないが、それは想定の範囲内だ。重要なのは、両岸の緊張緩和という喫緊の課題において、我々が 明確な共通認識が得られたことだ」と説明した。
頼清徳総統を「無謀な指導者」と批判した人物 ゴールドスタイン氏 は昨年、米誌、タイム(TIME)への寄稿で台湾の頼清徳・総統を「無謀な指導者」と批判し、台湾で大きな注目を集めた。同氏はワシントンのシンクタンク幹部としての顔を持つ一方、米ブラウン大学ワトソン国際公共政策研究所の中国研究拠点、「チャイナ・イニシアチブ」のディレクターも務めている。
タイム誌が2025年10月23日に掲載した記事の中でゴールドスタイン氏は頼清徳総統を「無謀な指導者」と称した。(タイム誌公式サイトのスクリーンショット)
米外交界は鄭氏の主張に不安を抱いているか 鄭氏の立場や発言が米外交界で忌避されているのではないかとの見方についてゴールドスタイン氏は風傳媒に対し、今年4月の寄稿ですでに言及した通り、ワシントンの多くの有識者が、両岸の平和、共通のアイデンティティ、そして中国政府との妥協を唱える鄭氏の言説に「不安」を抱いていると指摘した。
鄭氏と習近平・ 中国国家主席の会談を受け、ゴールドスタイン氏は香港英字メディア、アジア・タイムズ(Asia Times)に寄稿(4月22日付記事) し、「大半の米国の戦略家にとって、これらの言葉は耳障りなものだ。なぜなら、彼らは過去10年にわたり、外交上の接触や和解ではなく、軍事的威嚇を通じて両岸関係を安定させる術を模索し続けてきたからだ」と論じている。
ゴールドスタイン氏は当時、「国民党は米国に対し、中国との戦争を回避する道筋を提示した」と題する同記事の中で、鄭氏のアプローチを「新鮮」だと評価した。その理由について「遠く離れた 米国の関心は分散し、軍事力も限定的である現状において、台湾が中国との軍拡競争に勝利することは不可能だと彼女は認識している」と指摘した。
同氏は、台湾の政治情勢が今後さらに「混迷を極める」と予測しつつ、「世界は、深刻化する対立や大国間競争という危険な流れを共に食い止めることができると希望を持つ必要がある」と指摘。その上で鄭氏との昼食会を終え、私は最悪の(戦争という)事態は回避可能だと信じることができ、安堵を覚えた」と記している。
また、ゴールドスタイン氏は鄭氏との会談でのエピソードも披露した。それによれば、鄭氏の名前の最後の一文字「文」は、中華民国の国父・孫文氏の名前に由来し、敬意を表して付けられたものだと本人が語ったという。「これは非常に興味深い発見であり、彼女の独自の洞察力や、より安定的で平和な両岸関係の実現に向けた決意を説明するものかもしれない」と締めくくっている。
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