台湾の最大野党・中国国民党の鄭麗文(てい・れいぶん)主席と中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席による4月の会談、5月中旬のドナルド・トランプ米大統領と習氏による米中首脳会談、さらに鄭氏の訪米を受け、米中台関係は今年、大きな転換点を迎えている。
こうした動きは、トランプ氏が過去9年間にわたって続けてきた対中強硬路線を転換し、台湾問題で明確な立場を示さなくなったことを意味するのか。この点について、カート・キャンベル元米国務副長官は、トランプ政権の対台湾政策は、多くの人が想像する以上に曖昧なものになる可能性があると指摘している。
台湾への武器売却を米中はどう扱うのか
キャンベル氏は5月22日、米スタンフォード大学フーヴァー研究所のハーグローブ上級研究員、エリザベス・エコノミー氏との対談番組に出演し、トランプ政権のインド太平洋政策や対中戦略について言及した。
同氏によると、これらの政策の策定や実行を実質的に担っているのは、マルコ・ルビオ米国務長官ではないという。キャンベル氏は、ルビオ氏について「ほとんど関与しておらず、中東や中南米情勢への関与の方が大きい」と述べた。
キャンベル氏は、中国に関するあらゆる問題で、スコット・ベッセント米財務長官が実質的な主導権を握っていると指摘する。トランプ氏と習氏が、台湾への武器売却をめぐる問題をどう管理するかについて話し合ったことは広く知られているという。しかも、それは5月中旬に北京で行われた米中首脳会談に限らず、それ以前の米中首脳電話協議の段階で、すでに明確に示されていたとした。
キャンベル氏は、善意に解釈すれば、今回の会談記録は曖昧であり、トランプ氏が従来とは異なる対応を取る可能性を示す兆候もあると述べた。そのうえで、トランプ氏の過去の言動からは、大国が周辺地域に対してより強い発言権を持つべきだと考える傾向がうかがえると分析する。
同氏は、トランプ氏の中南米に対する見方や、ウクライナ問題をめぐるロシアへの姿勢にも同様の発想が表れているとし、「今後の動向を見守りたい」と語った。
一方でキャンベル氏は、こうした大国中心の発想が、トランプ氏の中国および台湾問題に対する見方にすでに影響を与えている明白な兆候があると懸念を示す。また、第2次トランプ政権の初期段階、あるいはトランプ氏自身の中には、大国には「勢力圏」があるという考え方が存在していると指摘した。
さらに、第2次トランプ政権は第1次政権に比べ、経験や能力、知識、とりわけアジアに関する知見で大きく劣ると評価した。 (関連記事: 【舞台裏】馬英九財団問題が国民党を揺さぶる 「鄭派」「趙派」対立で党内に沈黙広がる | 関連記事をもっと読む )
米国は中国の軍事行動への意欲を過大評価しているのか
ベテラン外交官であるキャンベル氏は、2024年2月から2025年1月まで、ジョー・バイデン前大統領の下で国務副長官を務めた。それ以前には、バイデン政権の国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官を歴任している。2009年から2013年にかけては東アジア・太平洋担当の国務次官補を務め、バラク・オバマ元大統領政権下における「アジア回帰」戦略の主要な立案者として広く知られる。米メディアでは「インド太平洋の司令塔」や「アジア政策の司令塔」とも呼ばれてきた。












































