島嶼国の海洋危機に日本が新行動計画 世界島嶼国海洋会議が東京で閉幕

日本財団が外務省等と共催した世界島嶼国海洋会議が東京で閉幕し、島嶼国の持続可能な発展と海洋保全を目指す10年間の行動計画「OCEAN STATES INITIATIVE」が発表された。(写真/日本財団提供)
日本財団が外務省等と共催した世界島嶼国海洋会議が東京で閉幕し、島嶼国の持続可能な発展と海洋保全を目指す10年間の行動計画「OCEAN STATES INITIATIVE」が発表された。(写真/日本財団提供)

日本財団、外務省、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC/UNESCO)が共催する「世界島嶼国海洋会議(Island States Ocean Summit)」が、2026年6月3日から4日までの2日間、東京都千代田区のホテルニューオータニで開催された。最終日のクロージングセッションでは、日本財団名誉会長の笹川陽平氏が、本会議の成果として新たな行動計画「OCEAN STATES INITIATIVE」を発表し、島嶼国が直面する危機の解決に向けた新たな行動の枠組みを示して閉幕した。

天皇陛下や各国代表が参加、海洋危機への対応を議論

本会議には、天皇陛下、高市早苗内閣総理大臣、ノルウェーのホーコン皇太子殿下のほか、太平洋、カリブ海、インド洋などの島嶼国を含む35カ国の首脳級・閣僚級代表、国連機関、専門家など約300人が参加した。小島嶼開発途上国(SIDS)などが直面する海洋環境の変化や深刻化する災害、海洋資源の管理について議論が行われ、海の保全と持続可能な利用を両立するための具体的な方向性を確認し、共同議長声明としてまとめられた。

今回発表された「OCEAN STATES INITIATIVE」は、島嶼国が主体となって自国の海を守り、資源を持続可能な形で活用して経済発展につなげることを目指す10年間の行動計画である。地球温暖化に伴う海面上昇や異常気象に対応するため、最新の科学に基づく観測や研究への支援を強化するとともに、民間財団、各国政府、国際機関による新たな国際協調の枠組みを日本のリーダーシップのもとで構築する。

人材育成・研究拠点・基金設立を柱に国際連携へ

本イニシアチブは3つの柱で構成されている。第1の柱では、これまでに158カ国・2032人の専門家を育成してきた実績を基に、現場の課題解決を担う専門家や、大局的な海洋政策を提言できるグローバル人材の育成をさらに強化する。

第2の柱として、各事業の道標となる拠点「OCEAN HUB」を東京に設置し、人材育成や新規事業開発、海洋政策の立案を一体的に行うほか、世界トップレベルの研究機関が参加するコンソーシアムを形成する。

第3の柱では、島嶼国での「持続可能な海洋計画・管理(SOPM)」の策定と実行を支援するため、日本財団のシードマネーを基にIOC/UNESCOと協働して基金を設置し、各国からの拠出を呼び込んで自律的な事業拡大を図る。

2031年の第2回会議へ、海洋政策の国際連携を継続

日本財団名誉会長の笹川陽平氏は、島嶼国の未来を担う人材を育て、交流の拠点となる場を整備し、具体的なイノベーションへつなげていく決意を表明し、母なる海の恵みを100年先、1000年先の未来へつないでいきたいと言及した。

共同議長を務めたパラオ共和国のスランゲル・ウィップス・ジュニア大統領は、今回の会議が具体的な成果を伴うものであるとし、構築された国際協調の枠組みが島嶼国に必要な仕組みであると確信を示した。また、同じく共同議長を務めたIOC/UNESCOのヴィダール・ヘルゲセン事務局長は、多くの国で既に国家海洋政策などの基盤があることを指摘し、既存の取り組みを連携・強化して統合的な枠組みを構築することが重要であると語った。

日本財団は、10年計画の中間総括として、5年後の2031年に第2回「世界島嶼国海洋会議」の開催を目指すとしている。また、本会議の議論の内容は、IOC/UNESCOを通じて、2026年後半に開催される生物多様性条約締約国会議(COP17)や国連気候変動枠組条約締約国会議(COP31)など、国際的な海洋・気候関連の議論に反映される予定である。

編集:小田菜々香

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