ライチ、マンゴーがパリを魅了 台湾農業を世界水準に押し上げた「食への執念」

2026-06-08 12:33
台湾人の食へのこだわりが農業の強みにもつながっている。ライチ、マンゴーからアボカドまで、品種改良の実力を見る。(写真/中央社記者・趙世勲撮影)
台湾人の食へのこだわりが農業の強みにもつながっている。ライチ、マンゴーからアボカドまで、品種改良の実力を見る。(写真/中央社記者・趙世勲撮影)

【編集部注】台湾産のライチ、マンゴー、ドラゴンフルーツが欧州連合(EU)の厳しい検疫をクリアし、6.5トンの果実がフランス・パリの高級市場へ正式に進出した。この見事な「フルーツ外交」は、筆者に近隣住民からライチを振る舞われた温かい記憶を呼び起こすとともに、台湾農業の圧倒的な実力に改めて感嘆させるものであった。

この発展は、台湾人の食に対する「クレーマー(要求水準が極めて高い顧客)並みのこだわり」が、世界レベルの農業革命を逆説的に牽引した結果である。国際的な知名度を誇る「金煌(きんこう)マンゴー」から、欧州の人々を驚愕させるほど柔らかく甘いキャベツに至るまで、これは単なる農業の成功譚ではなく、無数の農家や研究員が汗水流して築き上げた誇りの結晶である。

台湾の人々は食に対して並々ならぬ執着を持っている。単に美味しいだけでなく、最高の甘さ、柔らかさ、香りを求め、皮は極限まで薄く、種は最小であることを望む。さらに栽培面でも、台湾の気候に適応し、病害虫に強く、可能であれば一年中収穫できることが求められる。サービス業の視点から見れば、食に対するこのこだわりは間違いなく「世界一のクレーマー」と言えるほど厄介なものである。しかし、この極端とも言える要求水準こそが、台湾を世界でも稀有な「消費者の嗜好が農業革命を牽引する地域」へと押し上げたのだ。

台湾の農業改良技術の圧倒的実力、ライチやキャベツの独自の進化

​ライチを例に挙げよう。台湾の「玉荷包(ぎょくかほう)」という品種は、皮が非常に薄く、果肉は肉厚で豊か、種は無視できるほど小さい。口に含むと爽やかな甘みが広がり、渋みは一切ない。これらはすべて育種(品種改良)の成果である。本来、ライチの種は大きく果肉の割合は限られていた。しかし、農業試験所などの研究機関が開発した「焦核化(種の退化)」技術により、特定の受粉組み合わせと後代の選抜を通じて、発育過程で種子を自然に退化・縮小させ、果肉を大幅に増やすことに成功した。数十年にわたる選抜の蓄積が、現在の玉荷包を生み出したのである。

農業試験所の取り組みは種の退化技術にとどまらない。彼らはライチ産業全体の構造を見据え、早生品種の玉荷包(5月)、中生品種の黒葉(6月)、晩生品種の糯米(もちごめ)ライチ(7月)など、異なる品種を育成した。これらがリレー形式で市場に出回ることで、ライチの生産シーズンを従来の1か月から3か月へと延長させた。この戦略は、消費者が長期間にわたってライチを楽しめるようにするだけでなく、全品種が同時期に出荷されて供給過多となり価格が暴落するのを防ぐという農家保護の目的も兼ね備えている。育種の背景には、農業経済に対する緻密な計算が存在しているのだ。
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台湾人が海外で必ず受けるカルチャーショックの一つに、キャベツの違いが挙げられる。台湾人は柔らかく、甘く、繊細なキャベツを好むが、この嗜好が台湾の農業当局の育種方針となり、糖度が改良の核心的指標として設定された。世代を超えた選抜の結果、台湾のキャベツの食感は、欧州の人々はおろか、世界中の誰もが全く経験したことのない領域へと到達した。

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