AIクラスターの規模が急拡大する中、GPUやHBM(広帯域メモリー)間のデータ転送において、低遅延、高帯域幅、低消費電力での相互接続が急務となっている。米エヌビディア(NVIDIA)の次世代超高速相互接続アーキテクチャ「Feynman GPU 3.2T」時代において、Micro LED CPO(Co-Packaged Optics)が極めて重要な役割を果たす見通しだ。
「COMPUTEX TAIPEI 2026(台北国際コンピュータ見本市)」が開幕し、CPO光相互接続技術が会場における技術的焦点の一つとなった。生成AIの普及により高速光通信への需要が急増している。現在、大規模なAIデータセンターでは依然として銅線ケーブルやプラガブル光モジュールを使用した信号伝送に大きく依存している。
しかし、スイッチの通信速度が800Gから1.6T、さらには3.2Tへと引き上げられるにつれ、信号減衰、消費電力、EMI(電磁干渉)、熱問題など、銅線の物理的な限界が顕在化し始めた。特にAIクラスターの規模が大幅な拡大を続ける中、GPU間のデータ転送は低遅延、高帯域幅、かつ低消費電力での相互接続を実現しなければならない。このため、将来的な光通信が全面的にCPOへとシフトすることは、世界のクラウドサービスプロバイダー(CSP)、GPUメーカー、およびネットワーク機器大手にとって、現段階における技術開発の最重要課題となっている。
TSMCのCOUPEプラットフォームが光相互接続革命を加速
台湾積体電路製造(TSMC)は先日開催した技術フォーラムで、同社の「コンパクト・ユニバーサル・フォトニクス・エンジン(Compact Universal Photonic Engine、以下COUPE)」技術がCPOソリューションの統合を加速させる方針を明らかにした。COUPEは、シリコンフォトニクス、SoIC(System on Integrated Chips)、およびCPOを組み合わせたTSMCのフォトニクスエンジンプラットフォームであり、AIデータセンターにおけるチップ間伝送の消費電力と遅延を低減することを目的としている。
従来のプラガブル光モジュールから、プロセッサーに近接したCoWoS(Chip on Wafer on Substrate)インターポーザを採用し総帯域幅115.2Tを実現したCPOスイッチを開発した現在の「Blackwell」拡張版シリーズ、さらに来年第1四半期に投入予定でプロセッサやGPU内部の極めて近接した距離で光シリコン接続を完結させる「Rubin Ultra」シリーズに至るまで、COUPEプラットフォームの技術はここしばらくの間で加速度的な進化を遂げている。
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Feynman GPUが登場、3.2T時代が本格到来
COUPEフォトニクスエンジンプラットフォームは、AIデータセンターのアーキテクチャが光電融合の相互接続へと移行するための重要な推進力だ。次の段階として、TSMCはエヌビディアの「Feynman GPU」アーキテクチャの導入に合わせ、メモリーと「Compute Fabric」間の全光相互接続(オールオプティカルインターコネクト)を実現する新世代の構築に注力する構えだ。同アーキテクチャのコアには3.2T(1チャネルあたり400G)の超高速相互接続とCPOアーキテクチャが全面的に採用され、Micro LED CPOも登場しTSMCのCOUPEプロセスに組み込まれる見通しだ。
富采光電(エンノスター)が光通信に参入、Micro LED商機が浮上
3.2Tの全光相互接続の実現に向け、世界のMicro LED関連サプライチェーンはすでに本格的な動きを見せており、次世代光通信のビジネスチャンスを虎視眈々と狙っている。世界的なMicro LED技術開発の最前線に立つ台湾LED大手・富采光電(エンノスター、Ennostar)の范進雍会長(董事長)は、「光通信に取り組むのは我々が望んだからではなく、市場にそのような需要があるためであり、開発に協力すべく努めている」と明言した。この言葉は、Micro LEDの光通信への応用がまもなく現実のものとなることを示唆している。
低消費電力と高い安定性が最大の強みに
Micro LEDは消費電力がわずか1〜2 pJ/bit(ピコジュール毎ビット)であり、1×10⁻¹⁰という低いビット誤り率(BER)を誇る。調査会社トレンドフォース(TrendForce)の研究によると、Micro LEDはスケールアップ(Scale-Up)型データセンターのネットワークにおいて、AEC(アクティブ電気ケーブル)やVCSEL NPO(垂直共振器面発光レーザーニアパッケージドオプティクス)と並び、ラック内(Intra-Rack)における三大短距離高速伝送ソリューションの一つになることが有望視されている。
特にデータセンター内における10メートル以内の短距離高速伝送用途では、CPOやAOC(アクティブ光ケーブル)の高速相互接続に適している。さらに他の光通信用光源ソリューションと比較して、Micro LEDは高温環境下での安定性や3万時間にも及ぶ長寿命といった複数の優位性を備えており、データセンターの伝送用電力消費と冷却需要を大幅に削減できる。3.2T超高速相互接続アーキテクチャの時代が到来した際、Micro LEDはAIデータセンターの高密度かつ高効率な伝送環境において極めて高いポテンシャルを発揮し、重要な役割を担うこととなる。
エヌビディアが新基準を策定、Micro LED CPOに熱視線
現在エヌビディアはシリコンフォトニクスCPOの仕様目標を提示しており、低消費電力(1.5 pJ/bit未満)、小型化(0.5 Tbps/mm²超)、そして高い信頼性、すなわち10 FIT(Failure in Time、10億時間あたり10回未満の故障率)未満であることが含まれる。こうした背景から、Micro LED CPO技術は独自の強みを発揮している。50マイクロメートル以下のチップサイズとCMOS駆動回路を統合することで、わずか1〜2 pJ/bitの消費電力を実現し、スケールアップ型のデータセンターネットワークへの理想的な応用が可能となる。
マルチチャネル構成で3.2 Tbpsの超高帯域幅を実現
単一チャネルの通信速度を100 Gbpsに引き上げることを追求する従来のレーザー技術とは異なり、Micro LEDのアプローチは極小面積内にさらに多くのユニットを詰め込むことにある。例えば1平方ミリメートルのチップ内に、35マイクロメートルのサイズで1個あたり2 Gbpsの帯域幅を持つMicro LEDを800個配置すれば、1.6 Tbpsクラスの高帯域幅伝送を安定して提供できる。
あるいは同サイズのチップ内に25マイクロメートルのMicro LEDを1,600個配置すれば、1平方ミリメートルあたり3.2 Tbpsという極めて高い帯域幅での伝送が可能となる。LEDの青色光と緑色光を並行に配列することで帯域幅を拡大できるほか、多波長やマルチチャネルによる空間分割を通じてデータのスループットをさらに向上させることが可能だ。
(本記事は『先探投資週刊』第2407号より許可を得て転載。)