米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアン(黄仁勲)最高経営責任者(CEO)がこのほど台湾を訪問し、同社の技術カンファレンス「GPUテクノロジーカンファレンス」(GTC Taipei)や、アジア最大級の情報技術(IT)見本市、台北国際コンピュータ見本市(COMPUTEX TAIPEI)などのイベントに出席、台湾全土で大きな注目を集めた。
これについて、台湾の著名な経済評論家で財信伝媒グループ会長の謝金河氏は、フアン氏が世界に向けて台湾の物語を発信したと述べた上で、台湾積体電路製造(TSMC)も台湾の伝説を築き上げたと指摘。同社に対し、1987年の設立以来の歩みを伝える体験型の観光工場「TSMCミュージアム(故事館)」の建設を提案した。
謝氏は自身のフェイスブックを更新し、フアン氏の台湾滞在中の動静について言及。数日間にわたりCOMPUTEXの各ブースを視察した際、地面に座り込んでビールを飲んだり、からあげを食べるなど、その気さくな振る舞いが台湾の人々の心をつかんだと述べた。
さらに謝氏は、フアン氏が台湾ローカルフードの代弁者となったのは得難いことだと指摘。同氏が訪れた八徳路の「王記府城肉粽(ちまき)」に長蛇の列ができ、四平街の「富覇王猪脚(豚足)」にも人々が殺到、レストラン「花娘小館」も復興北路エリアでの新店舗オープンに向けて鋭意準備中だ。
謝氏は、フアン氏が台湾のローカルフードを心から堪能することで市民に熱狂をもたらし、その飾らない人柄を通じて世界に台湾の魅力を発信していると述べた。
また謝氏は、TSMCの株主総会における魏哲家董事長(会長)の発言にも触れた。魏氏が「TSMCの業績はさらに上向く。投資家の皆様は安心して買い増してほしい」と自信を示し、競合の韓国サムスン電子が10年以内にTSMCを追い抜くことは「夢物語にすぎない」と一蹴したことについて、数十年にわたり台湾人から失われてきた「覇気と自信」を示すものであり、高く評価すべきだと強調した。
謝氏は、「私はTSMCに対し、『台積電故事館(TSMCミュージアム)』の設立を提案したい」と述べ、台湾を訪れる世界中の観光客が、風景や美食、故宮博物院だけでなく、1987年の設立から現在に至るTSMCの歴史を体験できる場を作るべきだと主張。旧式の製造装置や設備、クリーンルーム、生産ラインを活用して魅力的な観光工場とし、世界にTSMCと台湾の物語を伝えるべきだと訴えた。
さらに謝氏は、「TSMCは台湾に伝説を打ち立てた。台湾もまた、卓越した国家であることを世界に示す努力が求められる。中国が絶えず圧力をかけ、台湾は国ではなく総統も存在しないと主張する今こそ、私たちは世界に台湾の存在をアピールしなければならない」と強調した。
謝氏は、現在の台湾株式市場の時価総額は世界第5位の規模だと指摘。仮に今年の輸出額が9000億米ドルに達すれば世界第5位の輸出国となり、今年の経済成長率も2桁に達する可能性があるとした上で、外貨準備高も踏まえれば、台湾はすでに経済大国の仲間入りを果たしたと断言した。
また、台湾経済の波及効果についても言及した。かつて低迷していたタイ株式市場が今年堅調な推移を見せている要因として、台湾の電子機器大手、台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)のタイ法人、デルタ・エレクトロニクス・タイランド(泰達電)や金宝電子工業(キンポ・エレクトロニクス)傘下の泰金宝科技(カルコンプ・エレクトロニクス・タイランド)が成長をけん引していると指摘。
一方、同じ東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国のインドネシアや、インドの株式市場が急落している点に触れ、インドネシアの実業家・洪振栄氏に現状を尋ねたところ、同国では現在、株安と通貨安の同時進行というアジアにおいて特異な事例が生じていることが分かったという。
最後に謝氏は、「台湾人は台湾の強みを直視し、これを大切にすべきだ。現在、人工知能(AI)ブームがもたらした空前の好機にあり、これを機に我々は台湾の物語をしっかりと世界に伝えていく努力が必要だ」と力を込めた。
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編集:平松靖史 (関連記事: 【TSMC株主総会】魏董事長「AI需要は継続拡大」 2026年売上高30%超成長の見通し維持 | 関連記事をもっと読む )













































