米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)の最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスク氏は6月8日に従業員と行った対談の中で、同社が計画する人工知能(AI)データセンター衛星の設計に関する詳細な情報を明らかにした。スペースXは今週中にも過去最大規模とも伝えられる新規株式公開(IPO)を控えており、極めて重要な局面での発表となった。
米経済メディア「ビジネス・インサイダー(Business Insider)」の報道によると、6月8日の対談の模様はX(旧ツイッター)に投稿されている。その中でマスク氏は、現在公開されているAIデータセンター衛星は最終設計の初期バージョンであり、高さ20メートル、翼幅70メートルに達すると説明。これはスペースXがこれまでに打ち上げを試みた中で最大規模の衛星だ。
AIデータセンター衛星は困難な課題ではない
この衛星の構造には、AIチップを搭載したラックが含まれており、両側には熱を管理するための巨大な太陽光発電パネルと液冷式の放熱システムが装備されている。マスク氏は、現在の設計が依然として初期段階の草案に過ぎないとした上で、2019年から展開している衛星通信ネットワーク「スターリンク(Starlink)」の衛星よりも複雑さははるかに低く、技術の多くは同ネットワークの既存システムを応用したものだと説明。また「我々がすでに取り組んでいる事業と比べ、これが特に困難な課題とは考えていない」と語った。
これらの軌道上のデータセンターに欠かせない、膨大な電力を供給するため、専用の大型太陽光発電アレイを米テキサス州バストロップに新設される工場「ギガサット(Gigasat)」で製造する予定だ。現在建設中の同工場は1100万平方フィート(102万平方メートル)以上の面積を誇る。スペースXはすでに同地でスターリンク関連部品を製造しており、マスク氏は、新工場での生産は2027年末までに本格化すると見込んでいる。
軌道上に100万基のAIデータセンターを
マスク氏は以前から、先進的なAIシステムの学習および運用を目的とした軌道上でのデータセンター配備を提唱してきた。その主な利点として、宇宙空間には豊富な太陽エネルギーが存在する、地上のデータセンター開発で頻発する地域住民からの激しい反発を回避できる、の2点を挙げている。スペースXは極めて野心的な目標を設定しており、最終的には軌道上に最大100万基のAIデータセンターを打ち上げる計画だ。この宇宙空間における演算能力の大規模な拡張は、今回のIPOにおいて投資家を引きつける成長シナリオの中核を担っている。
スペースXの今回のIPOにおける企業価値評価額は1兆7500億米ドルに達すると予想されている。同社は関連する監督機関への提出書類の中で、獲得可能な最大市場規模(TAM)は28兆5000億米ドル、そのうちAIの応用分野が26兆5000億ドルを占めると述べ、高い評価額を裏付ける強固な根拠としている。
NVIDIA製チップ採用、将来はテラファブで自社生産へ
スペースXのブレット・ジョンソン最高財務責任者(CFO)は、6月8日に行われた別の対談で、これらAIデータセンター衛星は米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)のグラフィックスプロセッサー(GPU)を採用して演算タスクを実行することを改めて確認した。
今後の展望として、スペースXは耐放射線性能を持つ特殊な半導体チップの製造を「テラファブ(Terafab)」へ移行させる計画だ。テラファブはスペースX、米電気自動車大手のテスラ(Tesla)、米半導体大手インテル(Intel)が共同で開発する大規模な半導体工場で、面積は約1000万平方フィート(約93万平方メートル)に及び、現在テスラがテキサス州オースティンに構える最大の工場の約10倍の規模となる見通しだ。
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編集:平松靖史 (関連記事: スペースX上場後にテスラ合併の観測、マスク氏は人類初の1兆ドル長者へ | 関連記事をもっと読む )
















































