李在明大統領、トランプ氏と会談後にCSISで演説 「国益中心外交」と韓米同盟強化を強調

2025-08-27 14:10
2025年8月25日、韓国の李在明大統領がワシントンのシンクタンクCSISで演説する。(写真/YouTubeより転載)
2025年8月25日、韓国の李在明大統領がワシントンのシンクタンクCSISで演説する。(写真/YouTubeより転載)
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米国大統領トランプ氏との会談を終えた直後、韓国大統領李在明(イ・ジェミョン)氏は25日、ワシントンのシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」で外交政策演説を行った。満席となった米国の政界関係者や学者を前に、李在明氏は「国益中心の実務外交」を核心路線として掲げ、政変後の時代において韓国をいかに導き、米中対立、北朝鮮の核脅威、国内の分裂といった複雑な課題の中で韓米同盟の「無限の可能性」を切り拓くかを詳しく述べたのである。

李在明(イ・ジェミョン)氏のCSISでの演説は、米国外交界から大きな注目を集めた。出席者にはハーゲル氏、コーエン氏、両元国防長官、ジョーンズ元大統領補佐官(国家安全保障担当)、クラッパー元国家情報長官、キャンベル元国務副長官ら、錚々たる人物が名を連ね、ワシントンが韓国新政権の外交方針を重視していることを浮き彫りにした。

演説の中で李在明氏は、当面の課題は「より強固で強靭な韓米同盟の構築」にあると指摘した。まず、韓国が軍事クーデターの危機を収束させる過程で、米国が示した「揺るぎない信頼、団結、支持」に謝意を表明した。そのうえで、新政府は自由と民主を重んじる国民によって選ばれた政権であり、国際社会において相応の責任を担う準備が整っていると強調した。CSISの報告が「フライパンから火の中へ」と形容する厳しい環境に直面する中で、「国益中心の実務外交」がその解決策となり、韓米同盟はその外交路線を支える「基盤かつ柱」であると位置づけたのである。

李在明氏は、今後の韓米関係を安全保障、経済、先端技術の三本柱に根ざした「未来志向の包括的戦略同盟」と定義し、「韓米同盟の黄金時代はまだ到来していない。なぜなら我々には無限の潜在力があるからだ」と強調した。李在明政権は韓米同盟の二つの大きな転換を推進するとしている。

第一に、安全保障面での主導性強化である。韓国は国防予算を増額し、将来の戦争で勝利し得る「スマート軍」へと軍隊を転換、さらに先端兵器の導入を進める方針を示した。トランプ大統領はこれに「積極的支持」を表明し、先端防衛産業分野での協力拡大を約束したという。これは韓国が朝鮮半島の安全保障において、より主導的な役割を担うことを意味する。

第二に、経済面での互恵性拡大である。李在明氏は、韓国がかつての援助受給国から米国最大のグリーンフィールド投資国へと転じたことを指摘した。さらに、両国間で合意した関税協定や、世界最強水準を誇る韓国の造船業が「米国造船業の復興」に寄与し、両国に共同繁栄をもたらすと述べたのである。 (関連記事: 李在明氏、台海リスクを前に訪米決断 トランプの対中要求に揺れる韓国外交 関連記事をもっと読む

硬軟両面から平壌に対応

朝鮮半島で最も厄介な課題である北朝鮮の核問題について、李在明氏はこれまでの抑止と制裁の政策が結果的に北朝鮮の核・ミサイル計画の進展を止められなかったことを率直に認めた。「過去3、4年で北朝鮮が保有する核兵器の数は2.5倍に増加し、核分裂性物質の生産能力も大幅に拡大、さらには大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発完成に近づいている」と指摘した。そのうえで、北朝鮮による核兵器増産やICBM開発を阻止しつつ、朝鮮半島の非核化という最終目標を堅持するため、「実行可能な解決策(a practicable way)」を見いだす必要があると強調した。

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