尹前大統領夫人・金建希氏に懲役4年判決のソウル高裁判事、裁判所テラスで死亡

2026-05-07 14:07
2025年8月6日、株価操縦や選挙介入、収賄などの疑いで、ソウル特別検察官事務所に出頭し取り調べを受ける韓国の前大統領夫人・金建希氏。(AP通信)
2025年8月6日、株価操縦や選挙介入、収賄などの疑いで、ソウル特別検察官事務所に出頭し取り調べを受ける韓国の前大統領夫人・金建希氏。(AP通信)

韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏による株価操作および収賄事件を担当していた申鍾五(シン・ジョンオ)ソウル高裁判事が6日、裁判所庁舎の屋外テラスで倒れているのが見つかり、その後死亡が確認された。この出来事は韓国の司法界に大きな衝撃を与えただけでなく、もともと政治的分断が深い韓国社会で、さまざまな憶測を呼んでいる。

『聯合ニュース』によると、警察は5日深夜、申判事の家族から行方不明届を受理した。警察は6日午前1時ごろ、ソウル高等法院庁舎の低層階屋上、5階の屋外花壇テラスで申判事を発見した。救急隊が病院に搬送したものの、死亡が確認された。警察は初動捜査の結果、他殺の痕跡は確認されていないと説明し、変死事件として手続きを進めている。現時点では転落による死亡とみられるが、詳しい経緯は引き続き調べている。

関心が集まっているのは、申判事が遺書を残していたかどうか、またその内容が最近の担当事件に触れていたかどうかという点だ。『聯合ニュース』によれば、警察は申判事が死亡時に着用していた衣服のポケットから、短い自筆の遺書を見つけた。そこには「申し訳ない。自ら去る」といった趣旨の文言が記されていたという。警察は、遺書には最近の裁判業務に関する記述はなく、金氏の名前も書かれていなかったと説明した。あわせて、遺書の全文は公表しない方針を示している。

先月末に金氏に重い判決を言い渡した判事が、長年勤務した裁判所の建物外で死亡したことを受け、韓国のネット掲示板やSNSでは大きな波紋が広がった。事件との関連を疑う声や、政治的圧力があったのではないかとする見方も一部で出ているが、いずれも確認されていない。

遅すぎた正義か、それとも政治的報復か 金建希氏への懲役4年

『聯合ニュース』によると、55歳の申鍾五判事は、ソウル高等法院刑事第15部2班の裁判長を務めていた。申氏は今年2月6日、金氏の控訴審を正式に担当した。その後、申氏率いる合議体は3カ月にわたる集中的な審理を経て、世間の予想を上回る厳しい判決を下した。金氏が関与したとされる「ドイツモーターズ株価操作事件」と「統一教会請託収賄事件」について、控訴審は重い判断を示し、申判事の法廷は金氏に懲役4年、罰金5000万ウォンを言い渡した。

一審で金氏に言い渡されたのは懲役1年8カ月だった。控訴審判決はそこから2年4カ月の上積みとなり、実質的に2倍以上の厳罰化となった。韓国で高位政治関係者に対してここまで重い判断が示されるのは異例と受け止められている。『聯合ニュース』によると、控訴審は懲役刑と罰金に加え、金氏が所有していた6220万ウォン相当のグラフ(Graff)のネックレスの没収を命じ、さらに2094万ウォンの不法利益について追徴を決定した。
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『聯合ニュース』は、控訴審が大統領夫人に対する刑を大幅に引き上げた最大の理由として、一審が「ドイツモーターズ株価操作事件」で金氏の資本市場法違反の共犯性を認めなかった判断を覆した点を挙げている。また、一審が十分に踏み込まなかった、統一教会が請託目的で金氏(当時は尹錫悦氏が大統領当選者)に贈ったシャネルのバッグについても、控訴審はすべて有罪と判断した。申判事は判決を言い渡した後、10日も経たないうちに死亡した。この事実は、政府への不信感が強い韓国社会で、背後関係を疑う声をさらに強める要因となっている。

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