台湾「体育クラス」制度の課題:運動一辺倒の弊害と今後のあり方を探る

2026-05-04 15:35
多くのアスリートの夢は学生時代の「体育クラス」から芽生える(資料写真、顔麟宇撮影)。
多くのアスリートの夢は学生時代の「体育クラス」から芽生える(資料写真、顔麟宇撮影)。

台湾の教育現場における「体育班(スポーツ特待クラス)」制度を巡り、早期からの過度な競技専門化が、生徒の成人後の成長やキャリア形成に悪影響を及ぼしているとの指摘が出ている。青少年期に顕著な成績を収める一方で、より高いレベルの競技環境への適応や、引退後のキャリア転換において大きな壁に直面する実態が浮き彫りになっており、制度の見直しを求める声が高まっている。

台湾の体育班制度は1968年の試験導入を経て、2011年に正式に法制化された。国家による早期の才能発掘と育成を目的としており、小学生段階から適性を見いだし、中高生で専門的な訓練と進学を結びつけるシステムとして定着している。こうした制度のもとで育成された選手は、特に青少年期の国際大会などで輝かしい成績を残してきた。

「三級野球」とは、台湾特有の学生野球制度であり、少年野球(小学生、約10~12歳)、青少棒(中学生、約13~15歳)、および青棒(高校生、約16~18歳)の3つの年齢層に分かれた育成体系を指す。

こうした若年層の成功は、膨大な練習時間と高い訓練強度によって支えられている。多くの体育班では、授業時間中の訓練が週15~20時間に及び、プロチームに近い運用が行われているのが実態である。一方で、頻繁な練習や試合により授業への参加が断続的となり、「スポーツ偏重、学業軽視」の傾向が常態化している。交友関係もチームメイトや指導者に限定され、同じキャンパス内にありながら一般の生徒とは分断された生活環境が形成されている。

さらに、同制度を通じて最終的にトップアスリートになれる割合は極めて低く、数千人に1人にとどまるとの推計もある。しかし、長年にわたり競技訓練に専念してきたことで、他の学問領域や技能の習得が不十分となっている。指導者、スポーツ医学、スポーツマネジメントといった関連分野の教育も系統的に組み込まれておらず、プロへの道が断たれた後のキャリア選択が著しく制限されるという構造的なリスクを抱えている。

多くの国では小中学校にスポーツ専門のクラスを設けず、課外活動やクラブチームを通じて競技力を養う仕組みが一般的である。生徒が多様な選択肢を残しながら、より成熟した段階で専門的な競技への道を選択できるよう配慮されている。

専門家からは、台湾においても少数のトップ選手の育成のみを目的とするのではなく、長期的な視点に基づく「スポーツ人材」の育成へと転換すべきとの見方が示されている。早期の専門化を緩和し、学業とのバランスを改善するとともに、競技を離れた後のキャリア支援体制を確立することが、同制度の今後の重要な課題として提起されている。

*筆者は「諄筆群」の主筆である。

編集:佐野華美

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