トップ ニュース 米イラン戦争は終結か、トランプ大統領が護衛作戦を急停止した舞台裏
米イラン戦争は終結か、トランプ大統領が護衛作戦を急停止した舞台裏 2026年5月4日、ホワイトハウスで中小企業経営者と対話するトランプ米大統領。(AP通信)
米政府がホルムズ海峡の「完全支配」を高らかに宣言した直後、米軍による同海峡の護衛作戦「プロジェクト・フリーダム(自由計画)」が、開始からわずか24時間で中止に追い込まれた。5日に自ら一時停止のボタンを押したトランプ米大統領は、「パキスタンなどの要請を受け、米国とイランとの交渉に大きな進展が見られた」と説明。「包括的合意を最終的にまとめ上げ、署名にこぎ着けられるかを見極めるための猶予だ」と作戦停止の理由を語った。さらにルビオ米国務長官はホワイトハウスで、今年2月に開始した「エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦」が目標を達成したため正式に終了したと表明した。
今年2月28日に米国とイスラエルが共同で発動した軍事作戦「エピック・フューリー」は、当初、イランの核兵器および弾道ミサイルの脅威を一挙に排除し、イスラム組織ハマスやヒズボラへの支援を断ち切ることが期待されていた。しかし、2カ月以上が経過しても作戦は終わらず、底なしの消耗戦へと発展。ホルムズ海峡も封鎖が続き、世界をエネルギー不足とインフレの危機に陥れている。トランプ氏は、作戦初日にイランのハメネイ最高指導者の殺害に成功して以来、一貫して米軍の勝利を宣言し続けてきた。だが、イランは最後まで降伏の姿勢を見せず、米軍も革命防衛隊に封鎖された海峡を自力で打通するには至っていない。
「エピック・フューリー」作戦は終わったのか ルビオ国務長官は5日、ホワイトハウスで「エピック・フューリー作戦」が正式に終了したと確認し、「米国はすでに軍事目標を達成しており、これ以上の事態の発生は望んでいない」と述べた。また、4日に開始した護衛作戦「プロジェクト・フリーダム」については「純粋な防衛行動」と位置づけ、先制攻撃を受けない限り米軍は発砲しない方針を示した。ルビオ氏は、同計画がペルシャ湾に足止めされている87カ国・約2万3000人にのぼる船員を救うためのものだと強調し、彼らは飢餓寸前の状態にあると訴えた。さらにイラン政権が「経済的放火」を行っていると批判し、「常軌を逸している」と切り捨てた。
しかし、ルビオ氏が発言したまさにその時、英国海運貿易オペレーション(UKMTO)は海峡内で貨物船がミサイル攻撃を受けたと報告した。被害の詳細は現時点で明らかになっていない。これに先立ち、ヘグセス米国防長官は、米国がホルムズ海峡の安全確保に成功し、現在数百隻の商船が通過を待っていると主張。イランとの停戦合意は依然として有効との認識を示していた。米統合参謀本部議長のケイン氏も、イランの攻撃を「低水準の嫌がらせ的火力」と定義し、「現時点では大規模な軍事作戦を再開する基準には達していない」と強調。ヘグセス氏の「米イランは現在も停戦状態にある」との立場を裏付けた。
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「海峡は確保した」と主張する米軍、ミサイル攻撃を訴えるUAE 実のところ、「プロジェクト・フリーダム」初日から、米軍とイラン革命防衛隊は海峡内で交戦状態にあった。米軍は、イランの高速艇や巡航ミサイル、ドローンを複数破壊したと発表。対する革命防衛隊は、イランが指定した航路のみが安全であり、そこから逸脱した船舶には断固たる措置をとると警告を発した。この短い護衛の窓口期間中、確かに数隻の船舶が突破に成功している。海運大手マースクの米国籍貨物船「アライアンス・フェアファックス」がペルシャ湾を離れたほか、米フロリダ州に本社を置くクロウリー・マリタイムの「CSアンセム」も安全に海峡を通過し、米海軍の専門的な対応を称賛した。
ところが、ヘグセス、ルビオ両氏の発言の直後、アラブ首長国連邦(UAE)国防省は、自国が再びイランからのミサイルとドローンによる攻撃を受けたと発表した。トランプ大統領はSNS上で護衛作戦の一時停止を宣言したものの、いつまで停止し、いつ再開するのかは判然としない。UAE外務省は、一連の攻撃は事態の深刻なエスカレーションであり、同国の安全保障に対する直接的な脅威だと非難。反撃措置をとる「完全かつ合法的な権利」を留保すると表明した。一方、イラン外務省はUAEの声明に反発し、自国の行動は純粋に米国の侵略を防ぐためのものだと主張している。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ) によれば、UAEは4日だけで弾道ミサイル12発、巡航ミサイル3発、イランから発射されたドローン4機を迎撃した。先月、米イラン停戦合意が発効して以来、イラン側が攻撃を仕掛けたのはこれが初めてである。
泥沼から抜け出せないトランプ政権 トランプ氏による護衛計画への急ブレーキと、軍による「海峡の安全確保」という大々的なアピールは完全に矛盾しており、専門家から強い疑念を招いている。善意を示しつつ相手の出方を探る「観測気球」のようなこの動きは、専門家の目には米国の戦略が行き詰まっている決定的な証拠と映る。
米海軍分析センター(CNA)のジョシュア・タリス氏は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT) に対し、トランプ氏の作戦一時停止は、イランに対して和解の申し出(オリーブの枝)を差し出す一つの手段だと指摘した。一方、民主党のクリス・バンホーレン米上院議員(メリーランド州選出)は「全くの惨事だ」と一蹴。トランプ政権は政治的解決のための平和案をまとめ上げる能力を持たず、さらなる混乱と困惑の種を蒔いているだけだと批判し、「自分が墓穴を掘って埋もれかけていることに気づいたら、これ以上掘るのをやめて這い上がるべきだ」と手厳しく語った。
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米シンクタンク、カーネギー国際平和財団のアーロン・デビッド・ミラー氏もFTに対し、トランプ氏がすでに「袋小路」に迷い込んでおり、どうやってそこから抜け出すのか全く見えないと率直に語る。同氏は、護衛作戦は中途半端な措置に過ぎず、一部の海運業者や保険会社に限定的な航路を提供できるかもしれないが、海峡の内外で立ち往生している全タンカーが抱える根本的な窮状は解決できないとみる。ある元米海軍当局者も、米軍の艦艇や航空機ではイランの攻撃を抑止できず、海峡通過のリスクを引き下げることは不可能だと指摘する。マーク・モンゴメリー退役米海軍少将の推計によれば、米軍の護衛があっても1日にホルムズ海峡を通過できる商船はせいぜい10隻程度。開戦前の1日約130隻という通過量と比べれば焼け石に水であり、商船が「安心感」を得られない限り、海峡の交通が完全に回復することは絶対にないと警告する。
「軍事的解決はない」悟り始めた関係者たち 米中央軍(CENTCOM)の元情報部長であるカレン・ギブソン退役米陸軍中将は、市場は「持続的」な通行にのみ反応すると前置きした上で、イランの目的は明確だと指摘する。すなわち、ホルムズ海峡を商業的に「保険引き受け不可」の状態に維持し、この問題を政治的に未解決のまま長引かせることだ。また、元米国防長官府ペルシャ湾・アラビア半島担当部長のリズ・デント氏は、米軍がかねてからイランの海峡封鎖に対する不測事態対応計画を用意していたにもかかわらず、トランプ政権がそれを全く考慮に入れていなかったようだと明かした。同氏は、トランプ政権がイランの持つ実際の交渉カードを根本から誤解していると断じ、「敵の行動や意図を読み違え続ければ、奇妙な選択を繰り返すだけだ」と苦言を呈した。
新アメリカ安全保障センター(CNAS)のリチャード・フォンテーン代表は、トランプ氏が「トリレンマ(三つのジレンマ)」に直面していると分析する。第一に、海峡通行のみに絞った狭い合意で妥協し、核協議を先送りすれば、イランの港湾を封鎖するという強力な交渉カードを手放すことになる。第二に、より包括的な合意に固執すれば、世界経済へのダメージは拡大の一途をたどる。第三に、爆撃の再開を選択すれば、それがイランを譲歩させて交渉の席に着かせるという危うい賭けに出ざるを得ない。ジェームズ・フォゴ退役米海軍大将は、「この問題に軍事的解決策がないことは誰もが分かっているはずだ。双方は今、外交的解決が必要であることを認めざるを得ない段階にきている」と断言した。
原油価格は急落、外交の主舞台は北京へ トランプ氏が護衛作戦の停止を発表した後、原油価格は大幅に下落した。ロイター通信 によれば、米国産標準油種(WTI)先物は2.30ドル下落し、1バレル100ドルの重要な心理的節目を割り込んだ。5日の終値は前日比3.9%安の1バレル102.27ドル。国際指標となる北海ブレント原油も約4%下落し、1バレル109.87ドルとなった。単日では下落したものの、イラン戦争の影響により、両原油先物価格の今年の上昇率は依然としてそれぞれ78.1%、80.6%に達している。
イラン国営メディアの報道によると、イランのアラグチ外相は6日午前に北京入りし、中国の王毅外相と会談する予定だ。トランプ大統領も5月14日から15日にかけて北京を訪問し、中国の習近平国家主席と首脳会談を行う見通しである。米中イランによる三つ巴の複雑な駆け引きが、ホルムズ海峡の膠着状態を解きほぐすもう一本の「裏の主線」となりつつある。
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ホルムズ海峡封鎖で商船千隻超が足止め トランプ氏、4日に「プロジェクト・フリーダム」開始へ ホルムズ海峡の封鎖が長期化し、ペルシャ湾に千隻以上の商船と約2万人の船員が足止めされる中、ドナルド・トランプ米大統領は3日、イランと積極的な交渉を進めると同時に、4日から「プロジェクト・フリーダム」と名付けた取り組みを展開すると発表した。1万人を超える米軍兵士や軍用機、艦艇を動員し、海峡内に取り残された各国の商船を安全な海域まで「誘導」し、商業活動の正常化を......