アメリカのトランプ大統領は先週、国内の関連産業を守るため、鉄鋼とアルミニウムにかけている関税を現在の25%から50%に引き上げると発表した。6月4日午前0時(アメリカ東部時間)から新たな関税が適用されることが正式に公告され、本人も本日署名を行った。
ただし、イギリスから輸入される鉄鋼とアルミニウムについては、当面は25%のまま据え置かれる。ホワイトハウスによると、米英間で交渉が進められている「経済繁栄協定」の今後の進展次第で、7月9日以降に関税率の調整や数量制限(クオータ)の導入が検討される見通しだ。
この措置は、トランプ氏が3月12日に鉄鋼とアルミ製品全般に25%の関税をかけて以来、さらなる追加策となる。今年1月にホワイトハウスに復帰して以降、彼はアメリカ経済の再活性化と製造業の国内回帰を掲げて関税政策を次々に打ち出している。
トランプ氏は今回の発表の中で、商務長官のハワード・ルトニック氏が提供した最新の情報をもとに、「これらの製品の輸入が国家安全保障上の脅威となる可能性を防ぐため、追加的な関税措置が必要」と判断したと述べた。
さらに、関税の引き上げは「海外からの安価で大量の製品流入を抑えるとともに、アメリカ国内の鉄鋼・アルミ産業の競争力を守るため」だとしている。
ホワイトハウスが発表したファクトシートによると、アメリカの鉄鋼・アルミ業界は「不公正な貿易や世界的な生産過剰によって深刻な打撃を受けてきた」としており、今回の関税強化はそうした業界を支える目的があるという。
今回の関税は、鉄鋼とアルミニウム成分が含まれる輸入製品に適用されるが、それ以外の成分に対しては別の関税が適用されることも明記された。
アメリカのCNNは報道の中で、今回の措置によって苦境にある国内の鉄鋼産業が持ち直す可能性があるとしながらも、一方で建築業や製造業にとっては重要な素材のコスト増につながるリスクもあると伝えている。
商務省のデータによると、アメリカは昨年、総額313億ドル(約4兆9500億円)相当の鉄と鋼を輸入しており、カナダはその中で最大の供給国。輸出額は76億ドル(約1兆2000億円)に達している。
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