アメリカのドナルド・トランプ前大統領は6月4日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」上で、中国の習近平国家主席に対する個人的な好意を改めて表明した一方で、「非常に手強く、交渉は極めて難しい」との見解を示した。英紙『フィナンシャル・タイムズ』は、この発言が最近行き詰まっている米中貿易交渉と関連しているかどうかは明らかではないと報じている。
トランプ氏は同投稿で、「私は中国の習主席が好きだ。これまでもずっとそうだったし、これからもそうだと思う」と述べつつ、「だが彼は非常に手強く、取引をまとめるのは極めて困難だ」と強調した。
米国は先月、スイス・ジュネーブで合意した貿易休戦の内容を中国側が順守していないとして、中国に対し批判を強めている。米政府関係者は、中国が約束したレアアース(希土類)の対米輸出制限の解除が履行されていない点が交渉の最大の障壁であると指摘している。
一方、中国側も米国を強く批判しており、米国がファーウェイ(華為技術)への新たな半導体規制を導入し、中国企業への半導体設計ソフトウェアの販売を停止したこと、さらには中国人留学生のビザ大量取消などを挙げ、「重大な合意違反だ」と非難している。
米中両国が対立を深める中、トランプ氏とその政権関係者は、「両国の首脳が直接対話することこそが解決の鍵だ」と主張しているが、中国側はこうした呼びかけに対し明確な態度を示していない。
中国の王毅外相は6月2日、米国政府に対し「米中関係の正常な軌道への回帰に必要な条件を整えるべきだ」と述べ、最近の米国の措置が「中国の正当な利益を著しく損なっている」と強く非難した。また、バーンズ駐中国米大使に対して「中国はジュネーブでの合意を真剣かつ厳格に履行している」と主張したという。
しかし、米政府は、中国がレアアースの輸出規制を解除することを期待していたにもかかわらず、未だに具体的な進展が見られないことに不満を募らせている。『フィナンシャル・タイムズ』によれば、中国側は「ジュネーブ協議には、非関税措置の一時停止や撤回に関する合意は含まれるが、レアアースのグローバル輸出管理は対象外である」と明言しているという。
また、中国政府の貿易顧問である崔凡(Cui Fan)氏は、SNS上で「米国は自国の半導体産業の抑制を目的とした輸出規制について『国家安全保障』の観点から交渉の余地がないとしているが、中国の輸出管理制度も実質的に米国を模倣したものだ」と述べ、「今後の交渉では、米国側の規制が『不可侵』であるという前提は見直されるべきだ」と訴えている。
編集:柄澤南 (関連記事: 米中AI戦争に異変!習近平氏「AIは核ではなく電力だ」発言の真意とは? | 関連記事をもっと読む )
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