天安門事件から36年。今年も6月4日を前に、北京の天安門や中南海、西単、東単などの「敏感地帯」には多くの警察官が配置され、東西長安街の両側や解放軍301病院周辺でも警備が厳重になっている。ただ、外見上は静かでも、内部ではかなり神経を尖らせている様子で、例年よりも「外緩内緊(外は穏やか、中は緊張)」の傾向が強まっている。
各国の在中国大使館は、記念動画や画像をSNSで投稿したが、たとえ外交機関のアカウントでも、中国の検閲の対象となり、削除される事態が相次いだ。たとえば、英国在北京大使館が新浪微博(Weibo)に投稿した無音の動画は、投稿から数時間以内の午後1時ごろに削除された。カナダ大使館も、間接的に中国の言論統制を批判する内容を投稿していた。
この日は特にネット上の管理も厳しく、多くのSNSやプラットフォームでは「技術的な理由」として、ユーザー名やプロフィール画像の変更が一時的に制限された。
北京維穏強化、敏感地域全域に警備
国外では、多くの中国人や民主派団体が記念活動を続けているが、現在、中国領土内で六四事件を公に記念できるのは台湾のみとなっている。
一方、北京で行われた中国外交部の定例記者会では、六四事件や遺族への補償についての質問が相次いだが、報道官の林剣氏は明確な回答を避けた。2018年にも同様の質問が出た際、会見は突然打ち切られていた。
同日、アメリカのルビオ国務長官は声明を発表し、「中国政府は六四の真実を隠蔽し続けている」と指摘。「今日は、自由を求めて命を落とした勇気ある中国人を追悼し、今もなお迫害に耐えながら正義を求め続ける人々に敬意を表する。彼らはリスクを承知で信念を貫いている」と述べた。
これに対し、林剣氏は「米側の誤った発言は、歴史的事実を故意に歪め、中国の政治制度と発展の道を攻撃し、内政干渉にあたる」と強く反発。「中国側はこれに強烈な不満を表明し、断固たる抗議を行った」とコメントしている。

中仏の溝深まる 台湾問題めぐり再び応酬
天安門事件に関する質問が飛んだ際、中国外交部の林剣氏は、「1980年代末に起きたあの政治的な騒動について、中国政府はすでに明確な結論を出している」と回答。さらに、「中国が歩む社会主義の道は、歴史と人民が選んだものであり、全国民の支持を得ている。国際社会からも広く認められており、この道を貫いて中華民族の偉大な復興を進めていく」と強調した。
また、中国外交部は、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)でのフランス側の台湾に関する発言を「不適切」と非難した。
フランスのマクロン大統領は同会議で、「もしロシアがウクライナの一部を制限なく占領することが許されれば、台湾はどうなるのか」と発言。これに対して、中国の駐シンガポール大使館は、「台湾問題とウクライナ問題を結びつけるのは受け入れられない。台湾は中国の領土であり、一つの中国という原則は動かせない」と強く反発した。