陸文浩の視点:『シャングリラ会合』後の中国軍『遼寧』空母の遠距離兵力支援

2025-06-12 18:50
写真は中国海軍の遼寧艦と山東艦が行う二重空母編隊による遠洋演習。(資料写真、人民海軍公式微博より)

軍事ニュース通信社は、6月6日午前に国防部のウェブサイトで発表したところによると、6月5日に中国軍の航空機38機(うち35機が台湾海峡中線を越えて北部や南西部、東部の空域に進入)、軍艦7隻、公務船1隻が台湾海峡周辺で活動していると明らかにした。図からは、17機の航空機および無人機が台湾海峡西側の空域で活動しており、そのうち14機が台湾海峡中線を越えている。一方で、20機の航空機が台湾南西部の広大な空域で活動しており、1機の艦載ヘリコプターが緑島東方の空域にいたことが確認された。この海域には少なくとも1隻の中国軍艦が常駐し、海上戦略通路を守っている。こうした中、中国軍の活動が一時的に増加したことは、東部戦区などが台湾周辺の空域の天候の改善を待って訓練を行う可能性を示唆している。

6月1日で「第22回シャングリラ・ダイアログ」が終了した後、日本の防衛省統合幕僚監部は6月5日遅くに、中国海軍の4隻の戦闘艦(舷号102、550、538、903)が、6月4日から5日にかけて、東シナ海から日本の大隅海峡と宮古海峡を通過して西太平洋に進入したことを発表した。この中国軍の102遠海編隊は山東省青島に駐留する北部戦区海軍第1駆逐艦支隊に属しており、「遼寧」の航空母艦打撃群の旗艦102とも関連がある。

この102編隊が急速に西太平洋へ南下する様子を受け、先日の5月29日に東部戦区の海上作戦編隊が宮古海峡を経由して西太平洋に進入したことと併せて、東部戦区と北部戦区の対抗の姿勢が明らかになった。北部戦区の102遠海編隊が遼寧の打撃群の遠海行動を支援する可能性も示された。この「遼寧」の航行訓練は、その長距離打撃能力を持つ攻撃型空母としての姿勢を示すものであり、周辺国から注目を集めている。

まず、北部戦区海軍が組織する「遼寧」航空母艦打撃群は、山東省青島駐留の第1駆逐艦支隊からなる055型駆逐艦「南昌」101、辽宁大连駐留の第10駆逐艦支隊からなる052D型駆逐艦「唐山」122、「齐齐哈尔」121、青島駐留の第1駆逐艦支隊からなる055型駆逐艦「无锡」104によって編成され、5月25日から26日にかけて東部戦区が浙江省舟山に駐留する第6駆逐艦支隊054A型護衛艦「安阳」599、「滨州」515、052D型駆逐艦「南京」155、浙江省舟山第3駆逐艦支隊052D型駆逐艦「太原」131と協力して、釣魚島以北の海域で合同演習を実施した。

5月26日遅く、「遼寧」の打撃群は宮古海峡を経由して西太平洋に進入し、5月27日午後8時には日本の宮古島南方約340キロメートル、5月28日午後8時には宮古島南方約800キロメートル、5月29日午後8時には宮古島東南約1030キロメートル、フィリピン東側の海域に到達し、30日には更に南下を続けた。(附表参照) (関連記事: 密かに突破!中国空母遼寧号が第二列島線越え 退役将軍『日本は騙された』と指摘 関連記事をもっと読む

2附表

しかしながら、不思議なのは、日本が我が方を凌ぐ迅速な監視反応を示しながら、29日になるまで、中国軍の駐地である青島第1作戦支援艦支隊901型総合補給艦「呼倫湖」901が「遼寧」に洋上補給を行うことを把握できなかった点である。もしかすると、中国軍は偽装戦術を取って補給艦の動きを隠避した可能性があるのかもしれない。