米国のトランプ大統領と習近平中国国家主席が5日に電話会談を行った後、米中両国は9日からイギリスのロンドンで新たな経済貿易協議を始めた。5月のジュネーブ会談と比べ、今回はスコット・ベッセント財務長官とジェイミソン・グリア通商代表に加え、ハワード・ルトニック商務長官も新たに加わった。2日間の交渉後、米中高官は、双方が貿易を促進するための「枠組み」で合意したと発表。ルトニック長官は、レアアースの制限問題も解決できるだろうと述べた。
今回の米中ロンドン経済貿易協議は、5月にジュネーブで達成された暫定的な関税削減合意を基盤として進められた。新華社の写真によると、今回米国側からはベセント財務長官、ルトニック商務長官、グリア通商代表が参加。中国側は、何立峰国務院副総理、王文濤商務部長、李成剛商務部貿易交渉代表が出席した。
中国中央テレビのニュースによると、現地時間6月9日午後、米中経済貿易協議メカニズムの初会合がロンドンのランカスター・ハウスで開かれ、10日も引き続き交渉が行われた。この協議の前に北京がレアアースの輸出規制を緩和したようだが、米中の経済貿易問題は広範囲にわたるため、交渉の見通しにはまだ高い不確実性が残っている。
この「枠組み合意」はまだ米中両国の首脳の承認が必要だ。AFP通信によると、ベッセント長官は10日、注目される米中貿易交渉は実りあるものだったと評価したが、日程の都合でロンドンを早めに離れてワシントンD.C.に戻った。しかし、会談は継続されるという。グリア通商代表は報道陣に、「できるだけ早く行動している」「米国は中国との関与に楽観的だ」と語った。
ルトニック長官は11日、米国がロンドンで中国と合意した貿易枠組みと実施計画は「レアアースと磁石の制限問題を解決できるはずだ」と述べた。さらに、米国の交渉チームはこの枠組みをトランプ大統領に提出し、承認を得る予定であり、新協定の実施に役立つことを期待していると付け加えた。
海外メディアの分析では、ベッセント長官は対中融和派で中国側との合意達成を望んでいたが、議会公聴会に出るため早めに帰国した。一方、ルトニック長官は関税引き上げを支持するタカ派であり、彼の参加は中国側にとって良いニュースではなく、今後の米中交渉は依然として難しい道になるだろうと見られている。米中貿易交渉に世界の株式市場は緊張感を抱いているが、ウォール街の主要指数は10日、会談の進展への期待から上昇して取引を終えた。
編集:田中佳奈 (関連記事: トランプ氏、対中半導体規制緩和を検討 レアアース輸出と「バーター交渉」本格化? | 関連記事をもっと読む )
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