【独占】朱立倫氏に党内から「反旗」 国民党主席選の延期巡り内部対立激化か

2025-06-10 11:30
国民党主席 朱立倫氏。(顏麟宇撮影)

台湾・国民党の朱立倫主席は先日、『聯合報』のインタビューで二つの重要な意向を示した。ひとつは円滑な党の引き継ぎを望むこと、もうひとつは党主席選挙の日程を変更せず、予定通り9月に実施するというものだ。しかし、この発表は大規模なリコールを控えた立法委員たちの反発を招き、党本部に対して批判が相次いだ。風傳媒』の取材によると、6月4日の常務委員会では、ある委員が選挙延期を求める発言をしたが、朱立倫氏とその側近に却下された。その後、立法院の総召集人である傅崐萁氏が支持する、常務委員の中で最多票を得た陳俗蓉氏が各常務委員に直接電話し、ほぼ全員の賛同を取り付けたという。今週、遅くとも来週には党主席選挙延期の提案が正式に提出される見込みであり、これは朱立倫氏の政治的パートナーである傅崐萁氏による事実上の反旗とも言え、朱立倫氏の指導力に一層の打撃を与える恐れがある。

また、『風傳媒』の情報によると、朱立倫氏が『聯合報』のインタビューで円滑な引き継ぎと選挙日程変更なしの二大訴求を表明して以降、大規模リコールに不満を持つ立法委員からの批判が相次いでいる。新北市選出の洪孟楷立法委員をはじめ、多くの常務委員も朱立倫氏の姿勢に強い不満を抱いている。特に党主席選挙に名乗りを上げている孫文学校の張亜中校長は親統一派であることが明白で、もう一人の常務委員で出馬を表明した孫健萍氏も党内でコントロールが難しい人物だ。もし張氏や孫氏が中国との統一を公言するような事態になれば、国民党所属の全立法委員に大きな打撃となり、立法院長の韓国瑜や党全体にも甚大な影響を及ぼすことになる。

こうした懸念がある中、4日の常務委員会では、ある常務委員が直接現場で発言し、朱立倫氏に対して方針転換を求め、党主席選挙の時期を大規模なリコールが終了するまで延期すべきだと訴えた。これに対し、朱氏はこれまでの常務委員を無視する態度を改め、自ら前線に立ってこの問題に応じた朱氏は、党中央はまだ党主席選挙の日程について正式な会議を開いておらず、すべての日程は『聯合報』の取材に基づく回答であり、正式に決まったわけではないと強調した。

さらに、党務幹部は現場でその常務委員に対し、傅崐萁氏が党中央に選挙延期を提案したことを知っており、今回その常務委員が会場に現れたのは傅氏の強い後押しを受けたためだと指摘した。一方で、朱氏が自ら問題に対応したことは非常に誠意ある行動であり、今ここで延期を叫べば、外部から朱氏が私利私欲で主席の座に長く留まろうとしていると批判されかねないとも語った。その上で、その常務委員に対し、中広董事長の趙少康氏に意見を聞いてみてはどうかと促した。

しかし、この発言を受けて、その常務委員は激怒した。自身の政治力は傅氏に決して劣らないからだ。その後、党中央が延期に断固反対する姿勢を鮮明にしたため、傅崐萁氏と花蓮県長の徐榛蔚氏の支援を受け、常務委員選挙で最多票を獲得した陳俗蓉氏は、朱氏派の高思博氏と許育寧氏を除くほぼ全ての常務委員に電話をかけ、口頭で一致した承認を得たという。そして、党主席選挙延期案を今週中、遅くとも来週に提案する予定である。これは、朱立倫氏の政治盟友である傅崐萁氏が率先して朱氏に反旗を翻したことを意味している。

風傳媒の取材によると、この動きが表面化した後、国民党党中央も状況の異変に気づき、急きょ常務委員らと緊急の連絡を取り合ったという。党中央は、今週の常務委員会で組織発展委員会の許宇甄主委と文宣伝播委員会の林寛裕主委による「反悪罷免」プロジェクトの報告が行われる予定であることを説明し、反悪罷免のスローガンなどが提示される見込みだと伝えた。党中央は、常務委員らに対して議論の焦点をぼかさないよう求め、もし提案を出すのであれば18日の常務委員会まで待つよう要請した。しかし、事情筋によれば、陳俗蓉氏は今週の常務委員会に自身で出席し、党中央と正面から対決する構えであり、党内での混乱は収束しそうにないとみられている。

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編集:柄澤南

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