台湾の政界関係者が日本を訪れた際、アメリカのトランプ氏と中国の習近平氏の手相を日本の占い師に鑑定してもらったところ、その内容があまりに的確で衝撃を受けたという。占い師は、トランプ氏について「手は分厚いが指が短い。欲しいものは何でも手を伸ばすが、結局しっかり握れないタイプ」と説明。対する習近平氏については「指が細長く、しっかりと握ることはできるが、常に強い不安を抱えている」と語った。
この鑑定結果を知った元台湾大学副学長の包宗和氏は、「国家指導者の性格がそのまま国の運命に反映されているようだ。まるで台湾危機を暗示しているかのようだ」と述べている。
興味深いのは、6月14日と15日がそれぞれトランプ氏と習近平氏の誕生日であり、時差を考慮しなければ“同じ日生まれ”である点だ。米中の二大リーダーがほぼ同じ日に生を受けたという事実は、両国の緊張関係に何らかの因縁を感じさせる。
トランプ氏の指は短く、習近平氏は不安だらけ?「米中リーダーの本性」
この台湾の政界人物は、トランプ氏の初任期中に日本を訪れ、日本の政治家との面会の合間に占い師に手相を依頼したという。ネット上から2人の手の写真を探し、名前は伏せたまま見せたとのこと。

日本の占い師の分析によると、トランプ氏の手相は欲しいものを手にするが、何も握れないという結果が出た。(AP通信)
この鑑定があまりにも的を射ていたため、台湾に帰国後に周囲に共有され、政界でも密かに話題になった。指導者の個性は国家の方針や対外姿勢に反映されると考える政治家は少なくない。
現在、トランプ氏は2期目、習近平氏は3期目に入っている。中国は習近平政権下で急速に国力を高め、国際社会でもアメリカに劣らぬ存在感を見せている。一方で、米中関係は緊張を続け、台湾問題をめぐる駆け引きも激しさを増している。

前台湾大学副学長で元監察委員の包宗和氏が《風伝媒》のインタビューに応じた。(写真/楊騰凱撮影)
中国大陸は習近平氏の政権下で経済発展の機会を掴み、着実に台頭してきた。多くの分析では、中国の経済基盤はもはやアメリカに劣らない水準にあるとされている。ただ一方で、中国はアメリカに対して強硬な姿勢を取り続け、「上から目線」で接する態度を強く拒んでいる。台湾海峡をめぐる問題においても強い姿勢を崩さず、いわゆる「戦狼外交」とも言えるその姿勢の裏には、アメリカの台湾への介入に対する「深い不安感」があると見られている。
今回は《風伝媒》が台湾大学政治系名誉教授包宗和氏をインタビューし、政治学の視点からこの政界人物の手相解釈の物語を分析した。
トランプ政権下のアメリカ:「何も握りきれない」
包氏は、日本の占い師がトランプ氏を「何でも欲しがるが、何も握りきれない」と評した点について、「まさに今のトランプを象徴している」と語っている。習近平氏に対する「何でも握れるが、不安感が強い」という解釈について、包氏自身は手相の専門家ではないが、政治学的な観点から見ると、独裁色が強まる国家の指導者にはある種の不安感がつきまとうのは自然なことだと分析する。ロシアのプーチン氏にも同様の傾向が見られるという。
包氏は、今の米中関係には信頼がほとんど存在しておらず、トランプ氏の政策はあまりに不確実性が高いため、どのような決定が下されるか予測が難しいと指摘する。この不安定さは世界中の国々にとって共通の懸念であり、合意してもすぐに覆される可能性がある以上、安心して取引することはできない。

アメリカは債務危機と製造業の国外流出への不安に陥っており、トランプ氏がすべての難題を一度に解決するのは難しい状況だ。(AP通信)
たとえば、トランプ氏が「中国製造2025」をけん制しようとしても、その成果は簡単には得られない。現在、世界中の市場に中国製品が供給されており、アメリカ一国が拒絶しても大きな変化にはならないと包氏は語る。関税収入が一時的にアメリカの財政にプラスになるかもしれないが、現実にはその効果は限定的だ。むしろ、関税がインフレを招き、商品価格の上昇を通じて最終的にアメリカ国民が負担する構図になる。
商品価格が上がれば、消費者の購買力は下がり、アメリカの市場経済にもマイナスの影響を与える。コスト増は企業だけでなく、連邦や州の政府財政にも跳ね返るため、関税での財政改善は楽観できる状況ではない。要するに、収入が増えても支出も増える、というわけだ。
包氏はこうした現状を踏まえ、「トランプ氏は多くを求めるが、実際には何も握りきれていない」と改めて指摘する。
習近平の「不安感」は台湾危機につながる
包氏は、中国が今や世界第2位の経済大国となり、経済力・技術力ともに自信を深めている点に注目する。「毛沢東は中国を立ち上げ、鄧小平は豊かにし、習近平は強くした」と言われるように、中国は大きな変化を遂げた。
この自信は、アメリカとの関係における強硬な姿勢にも表れている。中国は一貫して「不平等な立場で扱われること」を嫌い、特にトランプ氏とのやり取りではその反発がより顕著になっている。ただ、アメリカが依然として優位な立場を持っている以上、中国側が「見誤ること」が許されない状況でもある。

習近平氏が台湾問題に高度な不安感を抱いている場合、中国政府が極端な行動を取り、それが台湾の危機となる可能性がある。(AP通信)
包氏は、台湾問題には2つの軸があると語る。「台湾政府の対中政策」と「米中関係」だ。台湾が中国に対して友好的な政策を取るなら、北京は台湾海峡をそれほど敏感な問題とは見ない。しかし、米中の緊張が高まっている今、台湾海峡は非常に敏感な地域となっている。中国の強硬な態度は不安感からではなく、状況の複雑さと敏感さゆえだという。
とはいえ、中国大陸が台湾を失うことに強い恐れを抱いているのは事実だと包氏は指摘する。台湾が「反中」や「脱中国」政策を進める場合、中国側の不安はさらに増す。アメリカが台湾を支援して中国と距離を取らせるなら、なおさら中国は警戒を強めるだろう。
以前は中国にそこまでの力がなかったため、台米関係を見守るしかなかったが、いまは状況が違う。中国が力を持ちながらも不安を抱える現在、その「不安感」が台湾にとっては極めて危険な要素となる。場合によっては、過激な行動を引き起こす可能性さえあると包氏は分析する。
そして彼はこう強調する。「強い者が深い不安感を持っているとき、弱い者にとってはそれが最も危険だ」と。加えて、トランプ氏が状況次第では「台湾を切り捨てる」判断をする可能性も、十分にあり得ると警鐘を鳴らしている。