陸委会の副主任委員の梁文傑氏は6日、中国大陸で「台籍教師」として活動していた張立齊氏について、大陸の「定居証(中国居住許可証)」を取得したことを理由に、台湾の戸籍を抹消したと発表した。これは「定居証」の取得を理由に台湾籍を喪失した初のケースとなる。張立齊氏は中国のニュースアプリ「今日頭條」に4分間の動画を投稿し、今回の件について見解を述べたうえで、「大陸のほうが台湾よりも民主的であり、少なくとも自国民を害するようなことはしない」と強調した。
張氏は福建省の「華僑大学」で教職に就いており、2024年1月1日に厦門市公安局から定居証を受け取っていた。
陸委会は今年4月、「両岸人民関係条例」第9条の1第1項に基づく新たな解釈を発表。それによれば、「台湾地区の人民は大陸地区に戸籍を有したり、大陸のパスポートを取得したりしてはならない」とし、「戸籍を有する」とは、中国大陸の身分証や定居証の保有も含まれると解釈された。このため、定居証を取得した者は台湾の戸籍を抹消されることとなる。
梁文傑副主任委員は、張立齊氏が2024年に定居証を取得していたことを確認したうえで、すでに台湾の身分を失っていると明言。今後張氏が台湾に入境する場合には、法に則り事前の申請と許可が必要となるとした。
この発表を受け、張氏は中国のニュースアプリ「今日頭条」に4分間の動画を投稿。移民署から届いた通知文を示しつつ、自身の見解を述べた。

張氏は動画内で、「両岸人民関係条例には、定居証を保有した場合に台湾の戸籍が除籍されるといった明確な規定はない」と主張し、「今回の措置は民進党による政治的な弾圧、いわゆる“緑色恐怖”であり、自らの利益のために大陸で暮らす台湾同胞を脅すもので、両岸関係と人民の絆を断ち切ろうとしている」と批判した。
さらに張氏は、陸委会が法令を恣意的に解釈し、立法機関の議決も経ずに一方的に法律違反と断じたことを「行政権の乱用」と非難。「定居証と大陸の身分証は連続性がある」との梁氏の見解に対し、「食事をして喉を詰まらせたからといって、食べること自体をやめるのか? それと同じくらい不合理だ」と強く反論した。
張氏はまた、「陸委会は今や国民を弾圧する手先となっている」と非難し、「自分も含め、家族全員が台湾で生まれ育った本省人だ。台湾の行政部門には法を守り、善良な市民を迫害しないよう心から忠告したい」と述べた。
最後に張氏は、「大陸のほうが台湾よりも民主的だ。少なくとも、自国民を傷つけることはない」と締めくくった。
張立齊氏は陸委会が民衆を圧迫する手先に成り下がっているとして批判し、彼の家族は全員台湾で生まれ育った本省人であり、台湾の行政部門が法律を遵守し、善良な台湾市民をいじめるべきではないと忠告した。
張立齊氏は、大陸は台湾より民主的であり、少なくとも自国民を害することはないと述べた。 (関連記事: 中国定居証を持てば台湾の身分を失う! 陸委会が「最悪の結末」を明らかに | 関連記事をもっと読む )
編集:柄澤南
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