中国人民解放軍による台湾周辺での軍事演習は一層頻繁になっており、昨年は「聯合利剣-2024A、B」に加え、「聯合戦備警巡」を40回実施した。今年2月から3月にかけても同様の演習を8回集中的に行い、4月初旬には「海峡雷霆-2025A」を2日連続で実施した。中国軍の「演習の常態化」は台湾海峡の緊張を一層高め、日本の南西防衛ラインにおける政治的なバランスにも再び影響を及ぼしている。
『風傳媒』は、日本航空自衛隊で「三星空将(空軍中将に相当)」として退役し、現在は日本安全保障戦略研究所の上級研究員を務める小野田治(以下、小野田)氏に対し、地域情勢、日中関係、日台関係に関する質問を独占インタビュー形式で行い、詳細な分析を得た。
質問一:中国共産党が頻繁に台湾周辺で軍事演習を実施していることは、「存立危機事態(準有事)」に該当する状況となっているのか。自衛隊は対応基準を強化すべきか。
小野田氏は、中国が台湾周辺で行っている軍事活動の頻度と強度が確かに顕著に増加しており、これは日本にとって中長期的なリスクであると指摘した。特に、これらの演習が日本の南西諸島周辺、特に台湾に非常に近い与那国島や宮古島にまで拡大するかどうかに注目している。現時点では、「存立危機事態」には至っていないが、日本政府の内部ではすでにこれを常態化した地域的圧力と見なしており、偵察および警戒レベルを引き上げ、関係機関の即応能力も見直しと強化が図られている。
日本の安全保障法制における「存立危機事態」の定義は非常に厳格であり、法律上のメカニズムが容易に発動されることはないが、実務の面では自衛隊の運用がすでに高強度の情報監視段階に入っていると強調した。第一列島線における戦略的配置はすでに明確に進展しており、たとえば与那国島への地対空レーダーの配備や、沖縄における陸上自衛隊の即応部隊の強化は、すべて中国の軍事活動の変化に対応するためのものである。

2025年4月10日、日本航空自衛隊の退役「三星空将」である小野田治氏が『風傳媒』の単独インタビューに応じた。(王秋燕 撮影)
質問二:もし台湾海峡での衝突が激化した場合、日本は実際に自衛隊を派遣することになるのか。法的枠組みと政治的現実はどのように連動するのか。
小野田氏は、これが「存立危機事態」と認定されるかどうかに完全に依存すると指摘した。2015年の法改正後の「安全保障関連法」によれば、日本の存立が脅かされる場合、あるいは密接な関係にある国(例えばアメリカ)が攻撃を受け、それが日本の安全に間接的な脅威を与える場合に限り、内閣は国会への報告を経た上で自衛隊を動員することができる。つまり、たとえ台湾で衝突が起きても、日本が直接攻撃されたり、切実な脅威に直面したりしない限り、政府が簡単に部隊を派遣して支援することはできない。これが法律の枠組みの制限である。
小野田氏はさらに、「存立危機事態」の認定は実際には政治的なものであり、単なる法律問題ではなく、戦略と世論を含めた総合的な判断であると分析した。日本政府は通常、次の三つの要素を考慮する:①衝突が日本本土や経済的生命線(たとえばエネルギー輸入の航路)に波及するかどうか、②アメリカの態度と要請、③国内世論と国会の支持。
注目すべきは、最近、日本の学術界および防衛界が「台湾有事」のシミュレーション演習を集中的に実施している点である。これは防衛省内部に限らず、超党派の国会議員やシンクタンクも含まれており、この問題が学術的なシミュレーションを超えて、現実的な政策課題として検討されていることを示している。
質問三:日本の首相・石破茂が率いる内閣が日米同盟の強化を進める中で、国会の超党派による「日中友好議員連盟」が4月末に中国訪問を予定していることについて、どのようなシグナルと受け止めるか。
小野田氏は、石破首相は防衛分野において深い専門知識を有しており、中国に対して戦略的対話に開かれた姿勢を持っていると回答した。「備えながら対話を続ける」ことを主張し、「抑止力の構築」と「対話のパイプ維持」を両立させることを強調しているが、これは弱腰という意味ではなく、衝突のエスカレートを回避したいという考えによるものである。
石破氏は自民党内の「安全保障リアリズム」派閥に属し、中国に対する姿勢は親中的というよりも、「強硬でありつつも対話の余地を残す」という立場であり、これが現在の日本政界の共通認識でもある。国防を強化し、日米同盟を深化させながらも、中国との対話チャンネルは断たないという姿勢である。

2025年3月30日、アメリカのヘグセス国防長官が東京を訪問し、日本の石破茂首相と会談した。(AP通信)
また、共同通信の報道によると、日本の国会における超党派の「日中友好議員連盟」は、4月27日から29日にかけて中国を訪問する予定であり、訪問メンバー15名には、同連盟会長で与党自民党幹事長(秘書長に相当)である森山裕氏や、同連盟の事務局長で自民党組織運動本部長を務める小渕優子氏が含まれている。日本側はこの議員外交を通じて、中国側と日本産水産物の輸入禁止措置解除などの議題について交渉を強化する意向を示している。
質問四:あなたが参加している「言論NPO」の調査によれば、日中両国民の相互感情はどのような状況か。また、日本の世論は政策の実質的な展開にどのような影響を与えるのか。
小野田氏によると、「言論NPO」は毎年、日中双方における世論調査を実施しており、2024年のデータはこれまでで最も深刻であると指摘した。日本人の90%以上が中国に好感を持っておらず、中国人の対日感情も初めて90%が否定的となり、これは前例のない状況である。
中国人の対日感情が悪化した直接の引き金は、福島の処理水放出にある。日本はIAEAの科学的検証を経て安全に排出しているにもかかわらず、中国政府は国内宣伝において極端に否定的な立場を取っており、それが民間レベルでの敵意の急激な高まりを引き起こしている。
注目すべきは、これを単一の出来事として片付けるべきではなく、過去10年間の日中関係における「世論の構造的転換」を反映しているという点である。尖閣諸島問題、歴史認識問題、軍事安全保障や環境問題まで、いずれの問題においても、両国の国民感情はますます対立を深めてきた。
こうした世論の空気は政策選択にも影響を及ぼす。日本政府が中国との協力を選ぶ場合、国内からの強い反発に直面することになる。これが台湾を、日本にとって地域安全保障戦略の中で「より協力しやすく、信頼度の高いパートナー」と位置づけさせる一因にもなっている。
日本と中国では政治体制が異なるため、日本政府は国民の言論や感情を統制しない。したがって、世論は当然ながら政治判断に影響を与える。日本と中国が良好な関係を維持するためには、互いの国民に向けたメッセージの伝え方に、より注意深く、慎重である必要がある。
質問五:日本の元統合幕僚長・岩﨑茂氏が台湾の行政院顧問に就任したことについて、どのように受け止めているか。このことは日台関係にどのような影響を及ぼすと考えるか。
小野田氏はまず微笑み、数秒間沈黙した後、「岩﨑茂氏がなぜ顧問になったのか、具体的に何をするのかも分からず、この件について明確なコメントをするのは難しい」と率直に語った。

日本の元統合幕僚長・岩﨑茂氏が台湾の行政院顧問に任命され、3月21日に訪台した際、『風傳媒』の単独インタビューに応じた。(王秋燕 撮影)