「テレサ・テン幻の新曲」数十年ぶりに発見!未発表音源が東京の倉庫で発掘、6月リリースへ

雲林県政府は中秋節前夜に雲林県立体育館で《テレサ・テン再現雲林-ホログラムコンサート》を開催。(画像/雲林県政府文化観光処提供)

世代を超えて愛される歌声を持つ、故台湾の音楽界の歌姫テレサ・テン(鄧麗君)は、台湾のみならず、日本や中国の音楽界でも確固たる地位を築いている。最近、日本の音楽業界からのニュースとして、1980年代に収録されたにもかかわらず、数十年間暗室に保管されたまま発表されなかった彼女の楽曲が発見され、テレサ・テンの美しい歌声が見事に保存されていたという。この「新曲」は、6月に配信予定で、ファンは長い時を経て彼女の新たな歌声を再び耳にすることができるという。

東京新聞の報道によると、この数十年間失われていた楽曲は、ユニバーサルミュージック(Universal Music)の社員が、東京にある倉庫で古い録音資料を整理していた際、偶然カセットテープの中に発見されたものだった。そのカセットテープには、テレサ・テンの歌声や伴奏が多数収録されており、「マルチトラックテープ」に分類されるという。

テレサ・テンさんの未発表曲発見 - アジアの歌姫、80年代録音https://t.co/34V3eBreWn

— 共同通信公式 (@kyodo_official)April 10, 2025

この発見は関係者にとって非常に驚きだった。当時、カセットテープは高価であり、音楽会社は制作コストを抑えるため、録音テープを繰り返し使用し、新しい録音で古い録音を上書きすることが一般的であった。にもかかわらず、この未発表曲はカセットの形で完全に保存されており、上書きや破損もなく、非常に珍しいケースとされている。

この未発表の軽快なポップソングは、1980年代中期に録音されたと推測されており、作曲家の三木剛(たかし・みき)と作詞家の荒木豊久(とよひさ・あらき)が共作した作品とみられる。この名コンビは、かつてテレサ・テンに数々の日本でのヒット曲を提供しており、中でも「時の流れに身をまかせ(我只在乎你)」は中華圏でも広く知られている名曲である。

20220527-鄧麗君。(取自維基百科)
テレサ・テン。(ウィキペディアより)

日本メディアによると、今回発見された新曲は、テレサ・テンがこれまでによく歌ってきた日本の曲とはやや異なるスタイルであるという。発見当時、曲にはまだタイトルがなかったため、作詞家の荒木豊久が「ラブソングは夜霧の中で」と命名した。この楽曲は、故作曲家・三木剛の作品集のひとつとして、3枚組アルバムに収録され、6月25日に発売予定となっている。

テレサ・テン(鄧麗君)は1953年、台湾・雲林県で生まれ、華語圏における伝説的な女性歌手の一人とされ、「アジアの歌姫」と称されている。1967年にデビューし、甘く心に響く歌声と繊細で優しい歌唱スタイル、そして感情豊かなラブソングによって、台湾、香港、日本などで急速に人気を博し、その後も華語圏や東南アジア全体で絶大な人気を得た。

彼女の代表曲には「月亮代表我的心(月はわが心)」、「小城故事」、「我只在乎你(時の流れに身をまかせ)」、「甜蜜蜜(甘い笑顔)」などがあり、言語や世代を超えて歌い継がれている。

中国語の楽曲のみならず、テレサ・テンは流暢な日本語で1974年に日本デビューを果たし、「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」などの日本語ヒット曲も多数発表。日本の主流音楽シーンに進出した数少ない中華圏の歌手の一人である。彼女は単なるポップスシンガーにとどまらず、文化の架け橋としても活躍し、その歌声は冷戦時代の政治的障壁を超えて中国本土でも広く親しまれた。

1995年、彼女はタイ・チェンマイでの休暇中に喘息発作により急逝し、享年42歳。その突然の死は世界中のファンに衝撃と深い悲しみを与えた。 (関連記事: 台湾にルーツを持つ声優・安齋由香里が挑む新たな境地 「温泉むすめ」で台湾文化を伝える 関連記事をもっと読む

中国語関連記事

編集:梅木奈実

台湾ニュースをもっと深く:風傳媒日本語版Xをフォロー👉 @stormmedia_jp