「対等関税」一時停止も交渉継続が鍵 日本がトランプ氏と交渉の最優先権を獲得、専門家が語る石破政権の3つの戦略

日本の首相石破茂(左)がアメリカのトランプ大統領(右)との優先的な交渉権を獲得。(資料写真、AP通信)

金融市場をまるでサウナのように揺れ動かすアメリカのドナルド・トランプ大統領は、本日(10日)未明、「対等関税」を90日間一時停止し、税率を10%に引き下げると発表した。ただし、中国に対してのみ関税を125%に引き上げるとした。このニュースを受けて、米国株は急騰した。台湾大学政治学科の左正東教授は、「計画は変化に追いつかず、変化は上司の一言に追いつかない。各国のリーダーたちは、トランプ氏の一言を待っている。しかし、関税が一時停止されても、交渉は止めてはならない。でなければ90日後に再び関税が復活する可能性がある」と指摘した。

左正東氏はフェイスブックに投稿し、日本がすでに最優先の交渉権を獲得したとされていることを明らかにした。他国の順番はまだ不明だが、優先的な順番に位置するということは、戦略が成功したことを意味するだけでなく、序列そのものが権力の表れであり、まるで諸国が朝貢するかのような主権的立場を示しているとも言える。石破茂政権の戦略は非常に興味深いもので、簡潔に言えば「誘因を示しつつも底を見せない」「誠意はあるが弱さは見せない」「中国を巧みに利用する」と要約できる。

1.誘因を示しつつも底を見せない

2月7日に石破茂氏が訪米した際、米国への1兆ドルの投資を表明したが、その具体的な投資先については明言しなかった。「対等関税」が発表された後、石破氏は交渉の意向を示したが、交渉内容についても「包括的な提案がある」と述べるにとどまり、交渉の場につく前に詳細を語ることはなかった。

2.誠意はあるが弱さは見せない

「対等関税」の発表後、石破茂氏はトランプ氏との早急な電話会談を希望する旨を表明したが、同時に「日本は不公正な貿易はしていない」と強調し、日本の立場は堅固であることを示した。

3.中国を巧みに利用する

「対等関税」と自動車関税の発表前、日本の経済産業大臣である武藤榮治氏は、韓国および中国の貿易部長と三者会談を行った。会談後、中国メディアは「3か国でトランプ関税に共同で対応する」と報道したが、日本と韓国はこれを否定し、日本側は「日中韓の自由貿易協定(FTA)交渉を積極的に推進する」との立場にとどまった。

左正東氏はさらに、外交部の林佳龍部長が昨日「台湾もすでに交渉の番に加わっている」と発言したことに言及し、「頼政権において、誰が交渉の主な代表を務めるのか? また、トランプ政権のどの大臣や部局と交渉を行うのか? 現時点ではまだ明らかになっていない」と述べた。

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