【台湾】トランプ氏の対中関税包囲網に板挟み 学者「中国は非平和手段に出る可能性」

専門家は、米国のトランプ大統領の次のステップは、中国への関税引き上げだけでなく、台湾や日本などの重要なパートナー国に対して、世界的な対中経済戦線の構築を求めることだと指摘している。(資料写真、AP通信)

アメリカのトランプ大統領が強硬な関税政策を打ち出し、世界を襲った“関税津波”が株式市場に激震をもたらしている。マーケットが全面安となる中、多くの産業も連鎖的な影響を受けている。『ニューヨーク・タイムズ』の著名コラムニスト、トーマス・フリードマン(Thomas Friedman)は本日掲載の最新コラムで、トランプ氏による対中追加関税の脅しが、米中貿易戦争の再燃を招く可能性があるばかりか、中国の製造業のグローバル拡張とサプライチェーン再編をむしろ加速させ、「関税による包囲網」は中国にとってむしろ「好都合」となる可能性を警告している。アメリカ在住の学者・翁履中氏は、トランプ氏の関税政策は強硬ではあるが、慎重さを欠けば中国がこれを契機に「グローバル・サウス(南半球諸国)」に戦略的に軸足を移す口実を与え、さらに他国との経済的結びつきを深めてしまい、アメリカの抑止力が相対的に弱まる危険性を指摘する。

翁氏は自身のFacebookで、フリードマン氏のコラムを引用し、新型コロナのパンデミック以降、西側企業が大量に中国を撤退したことで、アメリカが中国の産業実態を正確に把握できなくなっている一方で、中国はこの間に先進的な製造業の大規模アップグレードを完了し、かつてない「スマート製造エンジン」を構築したと指摘。この新たな製造ブームにより、中国製品の輸出が急増し、世界では“津波級”の製造業リストラが進んでいるという。欧米や日本、東南アジアがその波に焦る中、中国は依然として加速を続けており、アメリカはそれに対し「全面開戦型の関税」で応じるのみであると批判する。フリードマン氏は、「全方位関税」よりも、欧州やアジアの工業国と連携して対中牽制に臨むべきだと主張した。 (関連記事: トランプ氏、TSMCに圧力 「アメリカで工場を建てなければ100%関税」 関連記事をもっと読む

トランプ氏の「反中経済戦線」構築に台湾は板挟み?

翁履中氏は、注目すべきはトランプ氏の次の一手であると指摘する。それは、単にアメリカが対中関税を強化するだけでなく、日本、台湾、欧州、インドなどの主要パートナー国にも、中国に対して懲罰的関税を導入するよう求め、「グローバル反中経済戦線」を構築することである。これは単なるスローガンではなく、最近のトランプ氏による強硬な外交発言や経済官僚からのシグナルを鑑みれば、2025年下半期におけるアメリカと各国との二国間交渉の新たな条件となる可能性が高い。

この場合、台湾は深刻なジレンマに直面する。仮にアメリカの提案に追随しなければ、「制裁回避の抜け穴」と見なされる恐れがあるが、追随すれば今度は中国からの強烈な報復リスクを背負うことになる。

翁氏は、台湾が交渉を通じて特例免除を勝ち取る努力は可能だが、トランプ政権が50か国以上に圧力をかけている中で、台湾だけが特別扱いされると楽観視することは難しいと述べる。特に、もしトランプ政権が「中国への関税強化」を、「台湾への関税緩和」との交換条件とするならば、台湾はそれに応じるべきか、どう応じるかという難題に直面する。これは台湾の経済・貿易政策と安全保障に直結する重要な判断であり、もう一つ忘れてはならない重大なリスクは、「両岸(中台)政治の反応」である。