寄稿:世界大地震の中で、緑陣営はまだ罷免の夢を見ている

行政院長の卓栄泰は大規模罷免運動を宣伝するのが得意だが、トランプ関税政策による世界的混乱への対応には全く無策である。(劉偉宏撮影)

4月3日清明節連休の初日、台湾人には連休の喜びはなかった。より正確に言えば、全世界で米国人以外は誰も笑えなかった。台湾人にとって、米国が32%の高関税を課すことは受け入れ難く、米台関係が史上最良・歴史的瞬間と称されながらも、このような扱いを受けることに納得できない。しかしさらに腹立たしいのは、前夜に政府が安心して眠るよう国民に伝えたにもかかわらず、夜が明けると状況が一変し、政府は対応せず眠っていたことだ。夢を見ていたのか、それとも無駄な仕事をしていたのか。

24時間以内に、頼政権による積極的で効果的な対応は見られず、ただ「厳正な」抗議声明を発表しただけであった。その表現は通常中国を非難する際の千分の一程度であり、どこかを刺激することさえなかった。政府が一晩中待機し、厳正に対応した結果としては考えられない最良の対応であった。一方、台北市長の蒋万安はすでに関連部署に対応を指示し、最も直接的な影響を受ける輸出産業や中小企業を積極的に支援・指導するよう命じた。国際貿易は本来中央政府の権限であるが、この時に頼りになる後ろ盾となるのはわずかに地方首長だけである。中小企業を国の基盤としている台湾にとって、この状況はあまりにも厳しい。国民の不安は行き場を失い、頼清徳や卓栄泰のフェイスブックを批判で埋め尽くしても何の役にも立たない。無能な統治では期待できるものはない。

時間を少し巻き戻してみると、ここ数週間、我々の政府は何をしていたのだろうか?与党である民進党はどのような準備をしていたのか?「議会のサボタージュ、全国的な悪質な罷免運動」の八文字で表現できる。立法院の民進党議員たちは会議を開かず、議会を占拠し、官僚たちの質疑を阻止し、経済部長がメディアの取材を受けようとしても、柯建銘総召集人によって阻まれた。行政権は完全に機能不全に陥り、政府は半停止状態となった。同時に、政府官僚たちは仕事を終えると、週末には突如として活気づき、こぞって大規模な罷免運動について語った。史上最高額の総予算があるにもかかわらず、皆が予算不足を嘆き、仕事ができないと訴えた。そして今や、米国から32%の関税を課され、台湾の輸出は本当に困難に直面しているが、すべての責任を野党に押し付け、予算凍結・削減が全ての原因であり、民進党が罷免運動に全力を注ぎ、国政に心を砕かなかったせいではないと主張している。

前回の台湾積体電路が1000億米ドルの大規模投資を強いられた際、行政機関は全く知らずにいながら、恥知らずにも喜び祝い、台湾の影響力が世界に広がったと宣言した。今回も関税の大鉈が32%振り下ろされ、我が国の輸出産業チェーンに大打撃を与えた。清明節連休と重なり株式市場が開いていなかったからよかったものの、さもなくば国家安定基金がどこまで市場を支えるために介入せざるを得なかったか想像もつかない。これら二つの大事件は、与党が国際情勢の把握に極めて弱く、我が国の産業発展に注意を払っていないことを浮き彫りにしている。彼らは国家統治の全エネルギーを大規模な罷免運動にのみ注ぎ、再度の選挙によって権力の指輪を取り戻そうとしているだけである。しかし彼らは完全に忘れている。民主政治の核心精神は、国民が政府に権限を与えるのは良い仕事をして生活をより良くするためであり、最も基本的な任務さえ果たせなければ、どれだけ多くの策略を弄しても国民の信頼を得ることはできず、当然どんな選挙にも勝てないということを。

しかしこの統治の教訓は、民進党にとっては耳を傾けないものである。まさに「眠りを装う人は起こせない」というように、民進党は頼清徳から全てのネット軍や側翼に至るまで、現在大規模な罷免運動の白日夢を見ており、野党を打ち破り再び全面的に政権を握れば全てが好転し、すべてをやり直せると妄想している。しかし世界情勢は大地震の只中にあり、政治経済のプレートが大きく移動している中で、台湾はこのような内部闘争と無駄な時間によって一刻一刻と遅れを取り、競争力は常に追い越されている。緑陣営が春秋の大夢から目覚めた時、台湾に何が残っているだろうか?このことを考えると、ただ頭を垂れてため息をつくしかない…

*筆者は電子商取引プラットフォームの運営者。

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