国発基金を通じた「文化コンテンツ投資計画」に不透明な資金流れ 政治的背景も
台湾文化部(文化省)は国内のコンテンツ制作力強化を目的として、国家発展基金(国発基金)から100億元(約470億円)の予算を投じ、「文化創意産業強化投資実施計画」を推進してきた。しかし、その資金の一部が仮想通貨詐欺事件に関与する企業や政治家の関係者が設立した企業に流れていたことが、台湾メディア『新新聞』の調査で明らかになった。
ドラマ『ゼロデイ攻撃』への1.1億元支援も波紋
この投資計画はすでに2024年、国民党の立法委員から「票房不振の政治的コンテンツに公金が投入されている」との批判を受けていた。特に、黒熊学院の沈伯洋氏が総顧問を務め、聯電創業者・曹興誠氏が支援するテレビドラマ『零日攻撃(ゼロデイ攻撃)』に対して、文化部が7131万元、国発基金が4170万元、合計で1.1億元(約5.2億円)を出資したことが物議を醸した。
仮想通貨詐欺関係者の創投企業にも公的資金が流入
しかし、疑惑はそれだけにとどまらない。
文策院(台湾クリエイティブコンテンツ機構)の報告によると、文創基金「昶裕国際創投(Chang Yu Venture Capital)」は、約19億元(約89億円)規模のマネーロンダリング事件で注目を浴びた「王牌交易所(ACE Exchange)」と関係があるとされる。昶裕国際創投の責任者・林婉榆氏は詐欺事件に関与し、2024年に100万元の保釈金で釈放されているにもかかわらず、同社は国発基金から3000万元(約1.4億円)の出資を受けていた。
政治家の息子が関わる企業にも投資
昶裕国際創投が出資していた企業の一つ「喧嘩股份有限公司(Shinhua Co., Ltd.)」の代表は、元民進党立法委員・翁金珠氏の息子で作曲家の劉學軒氏。同社は台湾初の女性クロスオーバー国楽グループ「無双楽団」のマネジメントを行っている。
この「無双楽団」を巡っては、元メンバーとの性加害疑惑が過去に報じられ、最終的には和解に至ったとされる。
投資先にはネットメディア「関鍵評論網」も
文策院の資料によると、Googleのキーワード広告代理店「台北デジタルグループ」も国発基金から3000万元の出資を受け、ネットメディア「関鍵評論網(The News Lens)」に投資していた。
同メディアの関連企業「士奇傳播整合行銷」は、2021年以降、台湾政府から約1億3891万元(約6.5億円)分の広報案件を受注しており、「政府系資金によるメディア支配ではないか」との声も野党から上がっている。
文化部投資先の中には有望企業もあるが…
文化部と文策院は2018年から2023年にかけて「文化内容投資計画」第3期を実施。合計13.67億元を投入し、映画・ドラマ制作会社やアニメ制作会社、音楽・ゲームIP企業など18社以上に出資している。
成功例としては、人気ドラマ『俗女養成記2(私の完璧な30代)』や『熙娣想聊』、『良辰吉時』などを制作した子会社や、「踢帕娛樂(T-PASS)」「火星猫科技」「頑石生活」などの新興文創企業がある。
台湾国内では「文創補助=乞食ビジネス」と揶揄も
文創関連の公的補助は、野党によって「政治的に偏った作品への資金流用」「補助ビジネス化」などと批判され、2025年の中央政府予算では文化部の予算が大幅に削減された。今回明らかになった創投ルートの不透明性も、今後さらなる議論を呼ぶ可能性が高い。 (関連記事: 公共TV、柯文哲氏ばかり標的に? 278億円投入も与党の不正スルー「偏向報道」と批判 | 関連記事をもっと読む )
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編集:高畷祐子