「台湾はアジアの孤児に?」中国人配偶者の強制送還が波紋、両岸関係に新たな火種か

2025-03-31 18:01
大陸配偶者のインフルエンサー「亜亜」劉振亜(左一)が武力統一に関する発言により処分を受け出国を命じられ、25日に家族と松山空港で抱擁して別れを告げた。(資料写真、顔麟宇撮影)
大陸配偶者のインフルエンサー「亜亜」劉振亜(左一)が武力統一に関する発言により処分を受け出国を命じられ、25日に家族と松山空港で抱擁して別れを告げた。(資料写真、顔麟宇撮影)

複数の中国出身の配偶者が頼清徳政権によって強制退去させられたことを受け、中国・北京当局は即座に反応を示しました。しかし、劉振亜氏が福建省福州市の空港に到着した際に出迎えたのは、中国の台湾事務弁公室の関係者および国家安全当局の職員でした。

また、福州空港でこの件を利用してライブ配信しようとした複数のインフルエンサーのアカウントが配信停止処分を受け、一部のネット配信者は空港から退去させられました。数日間にわたり、劉振亜氏は自身のTikTokアカウントを通じて台湾の入国管理局と大陸委員会への不満を表明したものの、それ以外の詳細な説明はありませんでした。

この出来事をきっかけに、一部の中国人はある問題に気付きました。劉氏が一人で福州に帰国し、子供たちは台湾に残っているという事実に、多くの両岸関係に関心のある市民から「なぜ子どもを一緒に連れて帰らなかったのか?」との疑問の声が上がりました。

劉振亞被指鼓吹武統台灣,遭當局取消依親資格。(抖音@「亞亞在台灣」)
劉振亞は台湾の武力統一を煽動したとされ、当局より居留資格を取り消された。(抖音@「亜亜在台湾」)

「一つの中国原則」が政治的なレッドラインから新たな「郷愁」へ

湖南省出身の劉振亜氏(湖南省は毛沢東の故郷でもあります)は、中国へ帰国する前に「台湾国際家庭互助協会」を通じて「私は潔白な形で台湾を去る。正々堂々と台湾へ戻ることを期待している」との声明を発表しました。また、頼政権が彼女を「見せしめ」として選んだと非難し、内政部長の劉世芳氏を名指しで「迫害した」と批判しました。

なお、劉世芳氏は中国の台湾事務弁公室によって「台湾独立派の手先」として名指しされています。しかし、この事件は中国本土のSNS上では大きな話題にはならず、多くの市民は全国人民代表大会(全人代)終了後の経済回復や消費市場の改善に関心を寄せており、今回のような民族主義的な事件は注目されていません。

天津出身の台湾進出企業の妻である張氏は取材に対して、「大きな政治は一般人にとっては浮雲のようなもの。本当に関心があるのは、どうやってこの経済苦境の中で生活を維持するかです」と語っています。

劉振亜氏の他にも、最近になって「一つの中国原則」への賛同や五星紅旗の掲示を理由に、台湾から中国へ強制送還された中国人配偶者が2名います。これらの言動は中高年層だけでなく、台湾に在学中の中国出身の若者たちの関心も集めています。特に台湾で学ぶ大陸からの留学生たちは、政治大学に在学中の李さんは「以前は中国本土出身の学生が標的にされていたが、今度は中国人配偶者が対象。両岸関係は本当に後退するのか?」とコメントしています。

近年、北京当局は国際社会および国内のさまざまな場面において、頼政権に対して強硬な対抗措置を取ってきました。これは「統一」の早期実現を目指す戦略の一環と見られています。一方、頼政権は欧米諸国との情報・軍事部門との連携を強化し、北京による「威嚇」を抑制しようとしています。 (関連記事: 台湾を追放された中国出身配偶者、『潔白な身で出国し、正々堂々と戻る』と涙の訴え──“言論の自由”をめぐり波紋広がる 関連記事をもっと読む

頼政権としては、中国が国際社会においてさまざまな包囲・妨害に直面している現実を理解すべきだと考えており、スパイ事件などが頻発していることを挙げています。一方で、北京は国家の利益が関わる問題においては、「手を下す」能力があることを示唆して警告を発しています。

大陸國台辦上週推出「『台獨』打手、幫兇迫害台灣同胞惡劣行徑舉報專欄」,並列出11位台灣政治及法界人士為台獨份子。(田暢提供)
大陸国台弁は先週「『台独』の手先、共犯による台湾同胞迫害の悪質行為通報欄」を開設し、台湾の政界・法曹界の11名を台独分子として列挙した。(田暢提供)
最新ニュース
速報》マレーシアで天然ガス輸送管が爆発!「幼児の背中が火傷」激痛に叫び声…63人が病院搬送、49軒の住宅が被害
日本の3000人が皇居に戸籍を置いている!日本の戸籍制度はどのように機能しているのか?日台の違いを一目で
台湾独立の大家も赤化と非難される!柯建銘がリコールに激怒し林濁水を「中国を庇う」と非難 本人は苦笑いで一言返す
「中国が台湾周辺で合同軍事演習を開始」台湾国防部長「緊急対応センターを設置、全動向を掌握」
日米防衛相会談 米側「西太平洋有事で日本が前線に」要求 トランプ政権の圧力に日本政府は警戒
Z世代の「推し活」が消費構造を変える?日本の専門家が分析する2つのカギ
トランプ氏、プーチン氏の停戦遅延に激怒 「ロシアに追加制裁も」イランには核合意迫り爆撃を警告
江頭2:50、永野芽郁を泣かせた“暴走演出”に炎上 「オールスター感謝祭」での不適切行動を謝罪
台湾の大規模リコールに懸念 与党議員が異例の進言「一つの声だけではいけない」
警察家庭出身の英国人、京都で子供の相談支援システム開発 いじめ・不登校の支援に「君の味方」全国展開へ
家庭に眠る不要品が資産に?日本の「かくれ資産」が100兆円に迫る衝撃データ
台湾発「P.Seven」新作香水『府城香』が日本上陸 台南文化を香りで体験、誠品生活日本橋店で発売
ミャンマー大地震の死者数1万人超の恐れ!国際社会が支援の手、台湾・米国・中国・インド・日本・ロシアも援助へ
「日本で働いてわかったこと」ー台湾出身アリサさんが語る、東京で見つけた自分らしさ
宜蘭の最強観光スポット約12万人を魅了、​太平山は4位に! 観光客絶賛:「海外の絶景に劣らず忘れられない風景」
プラモデル展で注目の段ボール「大巨人」 ファンタジー風「ピザカッター」が伝統を覆す
バンド活動の夢を捨て 台湾の「ピンク教祖」燕梓、自分を貫きファッションデザインの夢を実現
舞台裏》空回りか?大統領が全社会防衛レジリエンスを操作 「台湾版都市戦」国軍はまだ多くを説明できず
中国、外資再誘致に本気?習近平氏がトヨタ・サムスンなど外資トップ40人と異例の会談
【台湾】国民党、巻き返しへ?民進党議員に罷免の動き拡大、43件が第2段階へ
【AI熱潮】ChatGPTが大ブーム、ジブリ風機能が物議を醸す!宮崎駿がAI創作を「命への侮辱」と激怒、OpenAIが著作権問題に巻き込まれる
速報》ミャンマーでM7.7の強い地震 台湾近隣2か国でも激しい揺れ!最新の被災映像が公開
速報》ミャンマー中部でM7.7の大地震 バンコクでも強い揺れ 津波の心配なし
『海角七号』『第36個故事』出演俳優の中孝介容疑者を逮捕 銭湯で男性に性的暴行か
高輪ゲートウェイシティ開業 JR東日本、旧品川車両基地跡に日本最大級の未来都市
評論》「頼17条」に懸念、台湾学者76人が異議声明 頼清徳総統の大冒険
「台湾有事」を想定 日本政府、沖縄離島の12万人避難計画を発表
中国海警が台湾・東沙に侵入、さらに偽情報を拡散!海巡署が「海上の乱暴者を護衛する蛮行」と厳重非難
台湾に魅せられた日本人女性、47か国を旅して辿り着いた“心の居場所”
特別寄稿》トランプ氏が仕掛ける「中露離間」戦略、再び国際舞台の焦点に——米中露三角の行方は?
月が太陽をかじった!?北半球の一部地域で部分日食の天体ショー
韓国南東部で山火事が拡大、千年古刹が焼失、少なくとも20人が死亡 大統領代行「想定を超えた」
日華懇の長年にわたる台湾支援に感謝 頼清徳総統「台日が連携し“非赤サプライチェーン”の構築を」
論評》米紙分析「賴清徳は危険な賭けに出た」 自己実現する予言?
台湾を追放された中国出身配偶者、『潔白な身で出国し、正々堂々と戻る』と涙の訴え──“言論の自由”をめぐり波紋広がる
楊佩蓉コラム》日本春闘33年ぶりの大幅賃上げ 人材獲得競争で「台湾の若者」が企業の第一ターゲットに?
トランプ政権、軍事計画を米誌編集長に誤送信 トランプ政権の情報管理が危機に?
独占》北京、頼政権に「政治的斬首」警告か?「頼17条」への反撃、中国が重大文書を準備、「台湾独立派リスト」も更新へ
天気予報》再び寒気団が南下!清明節連休の台湾、気温が10度急降下へ 北部では14度の肌寒さに 現地天気予報に注意
独占》トランプが台湾を「売る」日が来る?台湾元高官が衝撃予測「米中会談は巨大取引の場になる」
李忠謙コラム》トランプ政権復帰2ヶ月 哲学者と政治学者が警鐘「米国はもはや信頼できない」
独占》日台安保関係に新展開 岩﨑茂の台湾行政院顧問就任に続き、小野田治氏が台海問題を講演
中国が台湾海峡で異例の軍事行動 「頼17条」への静かなる反撃か
舞台裏》台湾.桃園市でリコール運動が急展開!軍関係者が方針転換 民進党は心理戦を重視、国民党の固定票に動揺広がる
台湾の老舗コンビニ第1号店が36年の歴史に幕!不動産業者が明かす閉店の裏側
中国、「海底ケーブル切断装置」を開発 南華早報「通信網遮断で世界秩序に影響も」
遺伝より“孤独”が寿命を左右?最新研究で分かった長生きの鍵
舞台裏》台湾、国防の新時代へ「軍は戦闘に専念、市民は自らを守る」全社会レジリエンス訓練が本格始動
台湾在住の中国人インフルエンサー「亜亜」、出国命令に抵抗 “武力統一”発言で居留資格剥奪、ネット炎上も
日米防衛協力の新章:日本、統合作戦司令部を創設し米軍との連携強化へ