台湾在住の中国籍配偶者であるインフルエンサー「亜亜在台湾」は、自身の動画で「武力統一論」を語ったとして通報され、その後、移民署により配偶者居留許可が取り消されました。3月13日、頼清徳総統は国家安全保障会議(国安会)後の重要演説を行いましたが、世間の注目が軍事裁判制度の復活に集中する中、もう一つの重要な新政策が打ち出されました。それこそが亜亜の処分につながった「禁じ手」でした。
中国・香港・マカオ出身者の台湾定住に新たな国家安全保障基準
頼清徳総統は、中国や香港・マカオ出身者の台湾への帰化および社会統合について、台湾社会の発展と個人の権利権益に配慮しつつ、より厳格な国家安全保障上の考慮が必要だと強調しました。具体的には、中国の出身者が台湾定住を申請する際には、法律に従い中国の戸籍やパスポートを正式に放棄し、二重国籍を持つことは認められないというものです。
また、香港・マカオ出身者については、定住・居住に関する制度を改定し、長期滞在規則を新設する方針が示されました。しかし、一介のインフルエンサーに過ぎない亜亜が、なぜ頼政権にとって容認できない存在となったのでしょうか?

認知戦に協力、国家安全保障機関が一部の中国系インフルエンサーを早期に特定
当初、この新規定は中国の住民票(戸籍)を持つ者が台湾の地方議員になる事態を受けた対応とみられていました。しかし、実際には亜亜のような人物を対象にしているということです。頼総統は演説の中で、この政策が「国家安全保障上の考慮」に基づくものであることを強調しました。亜亜の動画は通報され、その内容には「中国による台湾の武力統一にはもはや理由は必要ない」「なぜ武統(武力統一)がまだ実行されていないのか」などの発言が含まれていました。
実際、台湾に定住する一部の中国系インフルエンサーは、すでに国家安全保障当局によって特定されており、一部は中国当局と連携し、動画制作や組織活動、さらには「認知戦」(プロパガンダ活動)に関与していることが判明しています。
台湾政府「武統発言は戦争扇動、平和破壊、人道違反」
国家安全保障当局の関係者によると、亜亜の「武統発言」は戦争を扇動し、平和を損ない、人道に反する行為であり、場合によっては「国際犯罪」に該当する可能性があると指摘されています。頼清徳総統の国家安全保障演説の方針に基づき、亜亜の配偶者居留許可は内政部移民署によって正式に取り消されました。
また、大陸委員会(陸委会)の梁文傑副主任委員も「中国籍の配偶者が台湾の身分証を取得しても、それが免罪符にはなりません。法律に基づき、定住許可の取り消しや身分証の剥奪も可能です」と述べました。 (関連記事: 中国人配偶者YouTuberが「中国人の夫」を台湾へ呼び寄せる?SNSで話題の「家族ぐるみ人口操作」の真相 | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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