舞台裏》台湾・賴清德総統とTSMCとはどんな関係なのか?トランプ政権の圧力と台湾の戦略

2025-03-14 10:27
総統賴清德(左)と台積電会長魏哲家(右)は3月6日、台積電の対米投資案について記者会見を開いたが、世間では賴政権が事前にこの件を把握していたのかどうかが注目されている(資料写真、顏麟宇撮影)
総統賴清德(左)と台積電会長魏哲家(右)は3月6日、台積電の対米投資案について記者会見を開いたが、世間では賴政権が事前にこの件を把握していたのかどうかが注目されている(資料写真、顏麟宇撮影)

台湾の国家安全保障において最近いくつかの重大な出来事が発生しています。賴清德総統が3月13日に軍事裁判制度の復活を宣言したことに加え、国民がより関心を寄せているのは、「護国の神山」と称されるTSMC(台湾積体電路製造)の対米投資です。「神の山」が今後「半分の山」になるという声もあります。中国の国台弁(中国政府の台湾問題を担当する機関)は、民進党当局が「アメリカに頼って独立を図る」ために、「台湾を売る」という底なしの行為に驚かされると表明しました。戦闘的な野党・藍営(国民党系)のリーダー趙少康氏は、「(TSMCの会長)魏哲家氏は逮捕されるべきではないか?」と疑問を呈しています。

一方、富邦グループ兼台湾モバイル会長の蔡明忠氏は、TSMCは台湾のICT産業を守っているとの見解を示し、さらにTSMCは愚かな企業ではなく、世界で最も優れた企業であり、何をすべきか理解していないはずがないと直言しました。工商協進会の会長吳東亮氏は、TSMCの米国進出は市場シェア拡大につながる非常にポジティブなことであり、韓国の競合他社は大きなプレッシャーを感じているとし、「我々はすでに彼らを競争で上回っているからだ」と述べています。TSMCの米国投資拡大には賛否両論がありますが、今なお解明されていないのは、賴清德政権がこのことを事前に知っていたかどうかという点です。というのも、郭智輝経済部長は最初、経済部は事前に把握していなかったと発言したからです。 (関連記事: 「護国神山」TSMC が米国へ、台湾は終わりか? 専門家分析「最初に潰れるのは韓国だ」 関連記事をもっと読む

20250225-経済部長郭智輝25日至立法院備詢。(柯承惠攝)
郭智輝経済部長はTSMC投資案について、当初「把握していなかった」と述べ、世間を騒がせた。(資料写真、柯承惠撮影)

TSMCと政府:相互依存の緊密な関係 早期から連携体制を構築

郭智輝氏はその後、政府とTSMCは常に「密接な連携」を取っていたと発言を訂正しましたが、TSMCと賴清德政権はこの件についてどのようにやり取りしていたのでしょうか。国家安全保障関係者によると、実際にはTSMCの対米投資拡大について政府は「全過程」を把握しており、かなり前から双方の間でこの件に関する連絡や協議が行われていたとのことです。

賴清德総統はこのためにTSMC創業者の張忠謀氏、TSMC会長の魏哲家氏、TSMC取締役の林全氏などを直接訪問しています。また、魏哲家氏は米国でトランプ大統領との記者会見後、台湾に戻り総統府で賴清德総統とも記者会見を行い、全体的な投資ロジックについて説明しました。しかし、台湾政府がTSMCに国を救う手助けを頼んだのでしょうか、それともこれはTSMCが自ら進んで投資したいという意思だったのでしょうか。国家安全保障関係者は、これはお互いのニーズであると語ります。TSMCは台湾での基盤を深めるために政府の支援が必要であり、国家もTSMCというこれほど大きな産業の発展を必要としており、国益の文脈で考える必要があるとしています。

多くの見方では、米国大統領トランプ氏の圧力によって台湾はTSMCを手放さざるを得ず、「米積電(米国積体電路製造)」になってしまったというものです。しかし国家安全保障関係者は、国家の視点から見れば、将来的に米国のハイテク産業はほぼ全面的に台湾に依存することになり、この点だけでも台湾は国家安全保障上大きな利益を得ると述べています。

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編集:梅木奈実

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