張忠謀TSMC復帰の噂!専門家警告「台湾工場の稼働率崩壊、インテルの二の舞いになる」

2025-03-06 14:42
TSMCが米国での投資を拡大し、各方面から注目を集めている。(資料写真、柯承惠撮影)
TSMCが米国での投資を拡大し、各方面から注目を集めている。(資料写真、柯承惠撮影)

米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は米東部時間3日、TSMC(台湾積体電路製造)の魏哲家会長とホワイトハウスで共同発表を行い、TSMCがアメリカに少なくとも1000億ドルの追加投資を行い、3つのウェハー工場、2つの先進パッケージング工場、および1つの研究開発センターを建設する計画を明らかにした。台湾大学管理学院の邱宏仁副教授は、TSMCが誇るウェハー受託製造モデルが競争優位性を失い、「インテル(Intel Corporation)の衰退の道」を辿るリスクが急速に高まっていることを懸念している。「張忠謀氏は2度目のTSMC会長職復帰をするべきなのだろうか?」

邱宏仁はフェイスブックで分析し、TSMCが追加投資を行うことで、先進パッケージングを含め米国に合計1650億ドルを投資することになり、「台湾のウェハー受託製造業には一体どんな注文が残るのか?」と問いかけた。関税の脅威の下で、魏哲家会長は屈服したように見える。TSMCの主要顧客は米国系テック企業であり、もし米国で先進プロセス製造とパッケージング能力を大幅に増強すれば、台湾の工場の稼働率は急落する恐れがある。彼は、TSMCの専門受託製造の成功の鍵は、高度な規律と効率的な運営モデルにあり、これが先進プロセス技術の優位性の基盤となっていると指摘した。しかし、米国に移転すると、それらが失われる可能性が非常に高いという。

​邱宏仁は、米国テクノロジー企業の「アセットライト」(軽資産)ビジネスモデルが、高い粗利益と事業運営の柔軟性を維持する鍵であると指摘した。それによって初めて従業員、特に研究開発や営業部門に業界トップクラスの給与を提供できるのだという。しかし、たとえ製造の優等生であっても、技術やコスト面で国際競争力のあるレベルを維持することは難しい。また彼は、トランプが高関税を導入して国内製造業者を支援しようとしているが、それが本当に国際競争力を高めることができるのかという疑問も呈している。彼はその点について懐疑的な姿勢を示している。

邱宏仁は、さらに悪いことに、米国の工場が台湾の「スウェットショップ」、つまりエンジニア、製造管理者、サプライヤーの技術者がいつでもオンコールで対応する運営モデルを活用できなくなることで、歩留まりが急落する可能性が非常に高いと指摘している。また、全体の運営コストが大幅に増加する中で、そのコストを完全に受託顧客に転嫁できる可能性は低く、粗利益率の大幅な低下の影が株価の急落を引き起こすだろうという。このような状況では、TSMCは「米積電」(アメリカのTSMC)になる必要もなく、台湾から離れていき、引き続き海外で国を守ることになるが、守るのは米国になるだろう。

​「張忠謀は二度目のTSMC会長職に復帰すべきなのか?」邱宏仁は文末の総括で率直に述べている。今はまさにTSMCの重大な局面だという。まず前会長の劉德音が圧力に抗しきれず米国での工場設立を決め、次に魏哲家が素早く降伏し、米国での資本支出を急増させた。これにより台湾の先進プロセス製造やパッケージテストはすぐに「待っても誰も来ない」状態になるだろう。これはTSMCが誇る「ウェハー受託製造」モデルがその競争優位性を失う可能性につながり、また「インテルの衰退の道を辿る」リスクを急激に高めることになるだろう。

台湾ニュースをもっと深く:風傳媒日本語版Xをフォロー👉 @stormmedia_jp

最新ニュース
台湾、日本産牛肉の「全月齢」輸入解禁へ アメリカ・カナダに続き3カ国目の認定に
台湾は菜食料理大国と称賛 日本の「精進料理」名シェフが伝統から革新への覚悟を語る
台湾・桃園の交通が国際化!MRT桃園空港線が南海電鉄と組んでラッピング車両を展開
論評》原発追放、TSMCを追い出 台湾に残るのは大規模リコールだけ?
台湾・屏東の第三原発で火災発生!冷却塔から黒煙 原子炉の安全に影響なし
呉典蓉コラム》TSMCの米国進出 頼清徳はゼレンスキーに及ばず
京都初の創業ビザ取得!張舜智が注文システムで日本市場に進出 次のステップは台湾市場へ
【日英中全文】トランプ大統領、議会施政方針演説全文
TSMCが中国の手中に落ちても構わない?米国で再び「台湾放棄論」:台湾のために戦わず、台湾陥落に備え布石を打つ
トランプ議会演説、なぜ台湾を名指し?台積電の1兆円投資「最も恐れること」を見抜く!関税新政策の厳格実施を誓う
舞台裏》頼清徳の詰問も無駄!この国営企業が詐欺ブラックホールのワースト1に
舞台裏》語られぬ国軍の秘密作戦 顧立雄が2度言及した参謀本部の衝撃発言
ゼレンスキー大きく譲歩、「トランプ大統領の強力なリーダーシップで平和実現へ」軍事援助停止の直後に和平交渉の用意を表明
重要インタビュー》頼清徳の発言は民主党寄り?中央研究院学者が警鐘:トランプは「第一列島線」に関心なし、台湾が取るべき現実的戦略とは
自民党所属・神戸市議が台湾議会乱闘に衝撃「これは民主主義の自殺行為」 昨年賴清徳総統就任式に骨折を押して出席
DeepSeekの実態とは?「オープンソース」の嘘と安全性問題―台湾の計算能力不足が浮き彫りに
論評》ゼレンスキーの「悲壮」 台湾への警告
論評》台湾経済相「米国の半導体100%関税は不合理ではない」 どこの国の大臣?疑問視される郭智輝氏
トランプ氏、中国・日本に通貨安警告!「不公平だ」関税に続き通貨戦争も開始か
TSMCが過去最大の米投資、1000億ドル!日台計画や配当政策への影響は?
台湾学者が警告「トランプ&マスク連合が創る新帝国主義」 台湾、米国信仰を捨て中国と和解すべき時
「台湾はウクライナより孤立無援に」台湾の作家が警告―半導体交渉カードも失われつつある現実
李忠謙コラム》トランプ氏が大国間の駆け引きのチェス盤をひっくり返したとき
ウクライナへの全軍事支援停止をホワイトハウスが正式確認  トランプ氏「ゼレンスキーが譲歩するまで再開せず」
海外優秀人材を誘致 京都が「スタートアップビザ」推進に協力 第一号は台湾人起業家
台湾総統府、野党に大法官推薦の文書送付は慣例ではないと主張 黄国昌はこう反論:去年の民進党を否定するのか?
重要インタビュー》トランプ政権下で「台湾放棄論」が再燃!国民党副主席が警告「対米外交には"トランプ理解者"が不可欠」
台湾・台南の黄偉哲市長が熊本訪問!「日台会館」オープンに出席 両地域の絆さらに強く
トランプ大統領の関税政策でも揺るがぬTSMCの台湾生産基盤 エコノミスト誌が明かす半導体産業の現実
台湾台中市・盧秀燕市長、初の訪日で札幌・名古屋・東京を結ぶ!小池都知事との会談も実現
東京銀座の新ランドマーク「Ginza Sony Park」を現場取材 チームの建築理念を広報担当者へ直接インタビュー
舞台裏》台湾の無人機、少なくとも10年遅れ!中国軍「1万台制御可能」と主張 台湾侵攻の脅威に軍はどう対応?
日本で「声優」の夢を追いかけ… 台湾人女性“ねんねん”がYouTubeクリエイターに転身!
【南投旅行】日月潭が287万人を魅了!CNNが認めた絶景サイクリングロード、清境や九族文化村を上回る
19年ぶりに台湾人監督が黒澤明賞 受賞 傅天余監督「非常に光栄だ」
キャンバスからカメラへ転身 写真家・小孟が日本で挑戦:「瞬間を記録する感覚がより私を満たしてくれる」
インディーズバンドSweet John、初の日本公演「夢の武道館へ第一歩」
逢甲夜市は4位!台中の最強スポット第1位は917万人集客 観光客絶賛:「台中で必ず訪れるべき、半日は過ごせる」
高雄トレンドフェスティバル、週末に愛河で盛り上がろう! トレンディなマーケット・音楽パーティーが登場
重要インタビュー》台湾経済研究院理事長・呉中書:トランプの威嚇は米国と台湾の経済に影響、国民の投資はリスク管理を最優先に
台湾女性「新千歳空港保安検査員に胸を触られる」被害! 容疑者逮捕…「触ったか覚えていない」と弁明
舞台裏》呉春城が責任認め辞任!なぜ柯文哲は壮世代を重視したか 仲介者は当時影響力を持った「あの女性」だった
台湾祝日“二二八”とは? 二二八記念日の由来と死者数:80年前の語られざる秘密
「これは台湾人の人権と尊厳に関わる問題だ」!日本の戸籍で台湾表記が可能に 日本議員が舞台裏の推進秘話を公開
収監中の元台北市長柯文哲、父親死去で一時面会許可に 妻「人の命はお別れ式で終わらない」
呉典蓉コラム》台湾のゼレンスキーになることは、もはや褒め言葉ではなくなった時
日本中部の名古屋市と台湾中部の台中市が「友好交流覚書」を締結
「ゴシップガール」悪女役・ミシェル・トラクテンバーグさん死去、享年39歳
風評》曹興誠の札束と女性たち
【インタビュー】「龍が如く6」美女キャラから実業家へ!日台ハーフSORAさんが語る波乱の幼少期と文化の架け橋への夢