呉典蓉コラム》台湾のゼレンスキーになることは、もはや褒め言葉ではなくなった時

2025-02-27 16:34
総統の賴清德は、台湾独立に対する確固たる姿勢で、ウクライナのゼレンスキー大統領と最も比較される指導者とされてきたが、最近この比較は不吉な兆しとなっている。(総統府公式サイト)
総統の賴清德は、台湾独立に対する確固たる姿勢で、ウクライナのゼレンスキー大統領と最も比較される指導者とされてきたが、最近この比較は不吉な兆しとなっている。(総統府公式サイト)

賴清德と蔡英文、この二人の前後任総統は行動様式が大きく異なり、さらに「英頼の争い」によって二人は表面的な関係を保つのみであったが、賴清德が先日ハリファックス台北フォーラムに出席した際、トランプ2.0の大変化に対する対応策として提案したのは、蔡英文時代のものとまったく同じだった。「今日のウクライナは明日の台湾である」が国際メディアの焦点なっている今、賴清德の発言は実に時空間の錯覚を感じさせるものであった。

権威主義国家の結集を語る 賴清德とトランプは平行世界に生きている

賴清德の当日の発言には二つの要点があった。第一に、ロシア、北朝鮮、イラン、中国などの権威主義国家が引き続き結集しているため、民主陣営はより団結すべきであること。第二に、台湾は非中国系サプライチェーンを構築すべきであること。

この発言は現在の国際情勢との間に大きな隔たりがある。賴清德はまるでトランプと平行世界に生きているかのようだ。実際には、トランプはロシア・ウクライナ戦争の早期終結を急いでおり、ウクライナの天然資源を強要する一方で、いかなる安全保障の約束もせず、さらにゼレンスキーを極度に侮辱している。ロシアのウクライナ侵攻の主張を完全に受け入れ、ウクライナが戦争を引き起こしたと非難している。先日、ロシアのウクライナ侵攻3周年を記念して、国連総会ウクライナが提出したロシア非難決議が採択したが、アメリカはロシア、北朝鮮と共に反対票を投じた。これはアメリカの従来の投票行動を完全に覆すもので、アメリカは権威主義国家と同じ立場に立つことを選択した。あるいは、トランプのロシア接近は「ロシアと連携して中国に対抗する」戦略と見なすことができるという意見もあるかもしれないが、そのような見方は時期尚早かもしれない。少なくともトランプの現実的な外交においては、民主主義と権威主義による二分法は絶対に用いられず、台湾が提唱する民主主義はトランプの目にはもはや加点にならない。第二に、過去数年の米中技術戦争を経て、台湾の現状はすでに「非中国系サプライチェーン」となっており、28ナノメートル以上の半導体のみが中国大陸への輸出を許可されている。トランプ政権は現在、高性能半導体をアメリカに「回帰」させることを段階的に進めている。言い換えれば、台湾がアメリカの言うことを聞いて「非中国系サプライチェーン」の目標を達成した後、アメリカは更に一歩進んでTSMCのコア技術を要求している。これは過去数年間、台湾の人々が頼りにしてきた「シリコンシールド」であり、台湾がシリコン・シールドがなくなれば、トランプの目に台湾はまだ防衛する価値があるのだろうか。 (関連記事: ウクライナが米国に屈服、鉱物資源協定へ トランプ氏「金曜日にゼレンスキー大統領がホワイトハウスで署名」 関連記事をもっと読む

公平に言えば、第二次世界大戦後のアメリカ主導の国際枠組みにおいても、伝統的な大国政治は依然として重要な役割を果たしている。例えば、中国を封じ込めるためにインドを引き込もうとして、アメリカとインドは過去数年二国間関係を強化してきたが、表面上は民主陣営に属するインドは依然としてロシアと緊密な関係を維持しており、完全にアメリカの指示に従っているわけではない。インド政府はカナダでシク教指導者の暗殺を企てたり、アメリカでシク教徒を監視するために人を派遣したりした疑いがあるが、これらの民主主義同盟国の政府はこれまでインドに対する非難は極めて弱く無力であった。アメリカ歴代政権の主な違いは、トランプが完全にソフトパワー包装を望まず露骨な弱肉強食の利害外交を展開していることにある。

最新ニュース
台湾女性「新千歳空港保安検査員に胸を触られる」被害! 容疑者逮捕…「触ったか覚えていない」と弁明
舞台裏》呉春城が責任認め辞任!なぜ柯文哲は壮世代を重視したか 仲介者は当時影響力を持った「あの女性」だった
台湾祝日“二二八”とは? 二二八記念日の由来と死者数:80年前の語られざる秘密
「これは台湾人の人権と尊厳に関わる問題だ」!日本の戸籍で台湾表記が可能に 日本議員が舞台裏の推進秘話を公開
収監中の元台北市長柯文哲、父親死去で一時面会許可に 妻「人の命はお別れ式で終わらない」
日本中部の名古屋市と台湾中部の台中市が「友好交流覚書」を締結
「ゴシップガール」悪女役・ミシェル・トラクテンバーグさん死去、享年39歳
風評》曹興誠の札束と女性たち
【インタビュー】「龍が如く6」美女キャラから実業家へ!日台ハーフSORAさんが語る波乱の幼少期と文化の架け橋への夢
ウクライナが米国に屈服、鉱物資源協定へ トランプ氏「金曜日にゼレンスキー大統領がホワイトハウスで署名」
台中市長が札幌ドームを視察、多機能設計に感銘 「人間中心」の理念を台湾へ持ち帰る
中国軍が台湾の高雄・屏東沖で予告なく「射撃演習」実施 国防部:国際航空に重大な危険をもたらす
【メジャー引退】イチローの元同僚・チェン・ウェイン、台湾史上最高額5年8000万ドル契約の左腕が現役に別れ
論評》トランプ氏、ウクライナをメニューに変え、次の一品は台湾か?
北海道ボールパークFビレッジが台湾の手本に 台湾・台中市長が日ハム新球場を視察
台湾・澎湖間の海底ケーブル切断!中国系貨物船が関与か 台湾当局「中国のグレーゾーン作戦の可能性」
山口議長が台湾・高雄市を訪問 TSMC進出で熊本と高雄の絆深まる
李忠謙コラム》トランプが欧州を見捨てた時、台湾は今日のウクライナの二の舞になるのか?
台湾の救急外来の混雑問題はどこにあるのか?医師が日本と比較:台湾救急医療の4つの課題「半分だけの対策」
日本野党の「キーパーソン」リーダー玉木雄一郎と会見 頼清徳:共に非レッドサプライチェーンを構築
京華城事件》朱亜虎、威京法務部が柯文哲への贈賄を認め、起訴猶予が確定
台湾のYouTuber・Lindaさんがアンバサダーに就任、日台の自転車愛好家をつなぎ、福島の再生と変貌を共に見届ける
台湾出身の采さん「3.5個の学位」を持ち、3カ国を経て 東京で新しい人生を見出す
鹿児島県出水市長が台湾・桃園市訪問 桃園市の蘇副市長が外交の秘密兵器を披露
韓国の半導体技術水準、中国に逆転される!トランプ氏のTSMC圧力とインテル救済がサムスンの転換点に
DeepSeekの奇襲で2億ドルが蒸発!中国が米国のビッグ・テック7社を複製中
世論調査》大規模リコールが自身に飛び火?頼清徳氏の信頼度が50%を下回り、不満度は就任以来最高に
特報インタビュー》関税より科学技術戦が主戦場へ―中央研究院・朱敬一院士が語る台湾半導体の優位性
内幕》民進党高層は以前から林岱樺との調整を望んでいた?「防風林」が形成され 高雄市長予備選は単純化へ
内幕》45日かかった柯文哲に対し、黄国昌はたった3日で彼女の同意を得る この人物の民衆党復帰が最強の政治的布石に
日本で餃子店経営 9億元稼ぐも、自身は破れた畳で生活…100歳の台湾独立革命家・史明の私生活明らかに
YouTubeクリエイターに没頭 クォーターのZuzuさん、日台友好の架け橋目指す
『雨の中の情欲』東京国際映画祭コンペティション部門に 金鐘奨・助演女優賞の李杏「監督の特別な指導」を明かす
金馬奨受賞の李康生 主演映画、『黒の牛』東京国際映画祭に登場! 撮影中「牛から振り落とされ…」と告白
内幕》曹興誠はなぜ彼女の魅力された?中国籍愛人の驚くべき経歴が明らかに 広州企業に1.3億元投資、多岐にわたる事業は
台湾のバンドが日本語で創作! “ゲシュタルト乙女”インスピレーションの源を明かす、バンド名は心理学から
台湾人投手・王彦程選手インタビュー》心境の変化を語る「来年は100イニングを」
初の個展を日本で開催!音楽専攻出身の潘克定 中年での「人生リスタート」新進気鋭の写真家に
「大規模リコール」で全台湾動員 連勝文氏が民進党を批判「権力争奪を画策」:中国の文化大革命と変わらない
台湾・国民党の台中市長が近く訪日 次期総統選へ布石
陶朱隠園、「一戸41億円以上」から半額で販売へ!管理費はいくら?政府の政策が販売開始の背景に?
唐獎特集映像:許倬雲氏が語る戦争と平和 戦争体験から導く両岸協力と文化復興への願い
台湾最強のカフェはどこ?世界トップ100入り「濃厚で繊細なコーヒー、感動的なケーキ」で外国人も訪れる聖地に
夏珍コラム:政治の司法介入、司法の予備選介入―粛清か汚職捜査か?
林岱樺議員の捜査は黒幕の仕業か?郭正亮氏が柯文哲案との類似性を指摘:地方の確執が関係か
東アジア情勢さらに複雑化?専門家がトランプ氏の対中露朝「穏健」姿勢を懸念:韓国の視点から見る「楽園」台湾
コラム:アメリカの対台湾姿勢に変化、台湾独立派はまだ夢を見ているのか
トランプ氏にとって台湾はより「取引材料」に?NYT:習近平主席との直接対話を望み、より広範な米中新協定を目指す
【新新聞】舞台裏》消えた大臣 実は大統領が頼りにする防波堤
民進党の林岱樺立法委員が事務員給与費の汚職疑惑!検察と調査局が自宅・事務所を捜索、取り調べへ