台湾出身の采さん「3.5個の学位」を持ち、3カ国を経て 東京で新しい人生を見出す

采さんは台湾出身で、現在東京で働いている。(黄信維撮影)

台湾出身で現在東京で働く采さんは、「優等生」と呼ばれる程の才媛だ。台湾大学で経済学部と財務金融学部のダブルメジャー、日本語学科の副専攻、さらに早稲田大学政治経済学部でダブルディグリーを取得。彼女が笑いながら言うように、「3.5個の学位」を持っている計算になる。日本での滞在期間は通算8年以上となる采さんは、日本での生活の鍵は自分に合った方法を見つけることだと考えている。外国の基準や価値観を日本人や日本企業のやり方と比較し続けると、居心地の悪さを感じることとなるため、自分なりのポジションを見つけて長所を活かすことで、より楽しく過ごせるようになるという。

台湾大学と早稲田大学のダブル・ディグリー・プログラムで最初に来日し、采さん1年半早稲田大学で学んだ。台湾に戻って台湾大学の単位を修得した後、スウェーデンで1年間の交換留学を経験。異なる国での生活を経験した後、最終的に日本での就職を決意した。留学について采さんは、最初は日本の文化や生活に憧れを抱いていたが、周囲の日本人学生との違いに気付いたという。多くの日本人学生が欧米への留学を望んでいる中、自身はカナダのトロント大学への進学機会を諦めた。その選択が他人が渇望するものだったと気付き、心の葛藤を感じたという。

20250223-采来自台灣,目前在東京工作。(黃信維攝)
20250223-采は台湾出身、現在東京で働いておる。(黄信維撮影)

コンサルティング業界、ブランド業界でのキャリアを経て専門性を確立

采さんは自身のキャリアについて語った。最初はコンサルティング業界でSalesforceなどの顧客関係管理システム(CRM)を含むITシステム導入に特化したサービスに従事。主にラグジュアリーブランド関連の業務に携わっていたことから、元クライアントである現在の会社に転職し、ラグジュアリーブランド業界で働いている。現在は、ジュエリーや時計などを扱う会社でプロジェクトマネジメントを担当。ただし、彼女のプロジェクト管理業務は製品販売に直接関わるものではなく、社内システムの導入と統合に重点を置いている。

具体的な業務として、注文管理システム(Order Management)や顧客関係管理システム(CRM)の導入・管理を手がけている。この仕事では、各部門のキーユーザーと連携して要件を把握し、それらを取りまとめて本社の開発チームへ報告する必要がある。ITシステムのメンテナンス自体は担当せず、主にシステム要件の収集と調整業務を行っている。会社が複数のブランドを保有しており、各ブランドが独自の部署を持っているため、各ブランドの責任者とコミュニケーションを取り、要件を統一して本社に正確に伝達することが求められている。

20250223-采来自台灣,目前在東京工作。(黃信維攝)
采は台湾出身、現在東京で働いておる。(黄信維撮影)

誰にも苦労はある 日本での居心地の良い場所とポジションを見出す

采さんは自身の人生経験を語る中で、他の人と比べれば特に苦労したわけではないが、決して楽な道のりではなかったと話す。台南出身で、大学時代は台北で過ごし、その後日本とスウェーデンで生活を送った。他の人のような苦難は経験していないものの、どの段階でも苦労はあったと言う。しかし、努力を重ねることで、日本での居心地の良い場所とポジションを見つけることができた。自身のこの経験を『台北女子図鑑』に例えている。

ただし、『台北女子図鑑』のストーリーは愛と人生の方向性を探す過程で、ある程度の困難と苦痛を伴うものだった。一方、采さんは自身の経験をより前向きなものと捉えており、ドラマのような苦痛や課題は経験していないという。過程での苦労はあったものの、最終的に日本での快適な生活圏を見つけ、大きな葛藤や困難は感じていない。取材当日は池袋の西武百貨店のカフェで行われ、改装工事で複雑になった経路を経てようやく場所にたどり着いた。これは、日本でポジションを探し続け、最終的に快適で適した人生を見つけた彼女の経験になぞらえることができるかもしれない。

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