ウクライナが米国に屈服、鉱物資源協定へ トランプ氏「金曜日にゼレンスキー大統領がホワイトハウスで署名」

2025年2月23日。ウクライナのゼレンスキー大統領(Volodymyr Zelenskyy)がウクライナのキエフで開かれた記者会見にて。(AP)

複数の米メディアによると、ウクライナはアメリカが提案した「鉱物資源と引き換えの米国支援」協定に同意し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、この協定が金曜日(28日)にホワイトハウスにてウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領との調印式で締結されると述べた。協定の詳細は現時点でまだ不明だが、トランプ氏は25日、「これは非常に大きな取引であり、価値は数兆ドルに達する可能性がある」と述べた。米国側は以前、ウクライナに対して5000億ドル相当の鉱物資源の利益を米国に引き渡すべきだと要求していた。

AP通信は、ウクライナの高官3名の話として、ウクライナと米国が広範な経済協定の枠組みで合意に達したと伝えており、その中にはウクライナのレアアース鉱物の取得も含まれている。これらの高官は公に発言する権限がないため匿名を条件としており、その中の1人は、キーウはこの協定を通じてウクライナが緊急に必要としている米国の支援が中断されないことを確保したいと強調した。ゼレンスキー氏は先日、トランプ氏との対話には応じる意向を示したものの、5000億ドルの鉱物資源の利益は受け入れられないとし、「10世代のウクライナ人に借金を負わせる条項には署名しない」と述べた。『エコノミスト』誌は、貧しいウクライナにとって5000億ドルは非常に大きな負担であり、これはウクライナのGDPの2倍以上に相当すると指摘している。

米国の重要鉱物リストには50種類の鉱物があり、ウクライナはそのうち少なくとも20種類を保有していると考えられている。これらの鉱物にはリチウム、グラファイト、チタン、ウラン、レアアースが含まれる。「レアアース」は17種類の金属元素の総称であり、携帯電話から国防産業まで多くの分野で不可欠である。推定によれば、ウクライナの鉱物資源の潜在的総価値は数兆ドルに達するが、現在ロシア占領地域にある鉱床は40%を占め、さらにウクライナの多くの鉱床は実際には一度も採掘されたことがない。『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、これらの鉱床に商業的価値を持たせるには、数年の研究と数億ドル規模の投資が必要になる可能性があると指摘している。 (関連記事: 論評》トランプ氏、ウクライナをメニューに変え、次の一品は台湾か? 関連記事をもっと読む

2025年2月20日。美國的俄烏特使凱洛格(Keith Kellogg)和烏克蘭總統澤倫斯基(Volodymyr Zelenskyy)在基輔會面。(AP)
2025年2月20日。米国のロシア・ウクライナ特使ケロッグ(Keith Kellogg)とウクライナのゼレンスキー大統領(Volodymyr Zelenskyy)がキーウで会談。(AP)

ゼレンスキー氏は当時、過去数年間の米国からの支援は「贈与」であって「債務」ではなく、金額も決して5000億ドルほどではないと述べた。しかし、ウクライナの平和とNATO加盟資格が保証されるのであれば、直ちにウクライナ大統領を辞任する用意があるとも述べた。現時点では、米国側が鉱物資源の利益要求額を引き下げたのか、あるいはゼレンスキー氏がもはやこれを阻止できなくなったのかは確認できないが、トランプ氏が24日にこの取引は「数兆ドルに達する」と述べたことから、米国側さらに多くを要求しているように思われる。しかし『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、金曜日に予定される調印式を「ゼレンスキー個人の勝利」と表現しており、彼がトランプ氏との対面会談を推進してきたためだとしている。