【メジャー引退】イチローの元同僚・チェン・ウェイン、台湾史上最高額5年8000万ドル契約の左腕が現役に別れ

陳偉殷は2016年シーズン前にマイアミ・マーリンズと5年間8000万ドルの契約を締結し、現在も台湾のスポーツ選手の給与契約の記録となっている。(資料写真、AP通信)
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プロ野球の左投手・陳偉殷(チェン・ウェイン)が本日、引退を発表した。2016年に彼が米メジャーリーグのマイアミ・マーリンズと結んだ5年8000万ドルの契約は、今もなお台湾人スポーツ選手の報酬契約記録となっている。

チェン・ウェインが引退を発表する前日、台湾の野球代表チームはスペインを破り、劇的にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)本大会への進出を決めた。2013年、メジャーリーグに挑戦したばかりのチェン・ウェインは、WBC台湾代表への招集を断ったことで「愛国的」なファンからの批判を浴びた。幸いにも台湾プロ野球の発展とともにファンの意識も進化し、世界12強で金メダルを獲得した英雄・林家正(リン・チアチェン)がメジャーリーグのスプリングトレーニングに専念するためWBC予選を辞退した際には、多くのファンから理解を得ることができた。

台湾のスポーツ選手の契約額記録を保持しているものの、当時のチェン・ウェインのメジャーリーグでの試合は、台湾での注目度が王建民(ワン・チエンミン)ほどではなかった。2016年のこの『新新聞』の記事では、その理由について詳しく説明している。(新新聞編集部)

メジャーリーガーのチェン・ウェインの「世紀の契約」が遂に決定し、年俸約5.37億台湾ドル(約23億円)マイアミ・マーリンズへ移籍した。

この数字がピンとこない方のために例えると、新たに就任した台湾の国会議員の年俸は約874.48万台湾ドル(助手の給与補助、出張費、宿泊費、交通費など諸経費を含む総額)。チェン・ウェインの年俸は、少なくとも61人の国会議員―全体数113人の半分以上―を養うことができる額である。

海外メディアの推計によると、チェン・ウェインの新契約内容は、最初の5年間で8000万ドルさらに一定の条件を満たせば、1600万ドルで1年自動延長となる。それだけでなく、2年後には契約を解除して、フリーエージェント市場でさらに高額な契約を求めることも可能である。

2013年WBC台湾代表招集を拒否

メジャーリーグのフリーエージェント市場が昨年開始されて以来、台湾メディアはほぼ毎日チェン・ウェインの新契約を推測していたが、高額契約が次々と発表される中、チェン・ウェインに関するニュースはなく、ネット上ではチェン・ウェインエージェントを変えるべきだという声も上がっていた。 (関連記事: 台湾出身の余聖傑選手、プレミア12&プロ野球日本一の立役者 関連記事をもっと読む

チェン・ウェインの新契約が明らかになると、台湾のネットユーザーたちは、彼のエージェントであるスコット・ボラス(Scott Boras)を「吸血鬼」の名に恥じないと絶賛した。ボラスは選手のために「巨額契約を強要する」ことで知られ、「野球界で最も嫌われている人物」("baseball's most hated man"、球団の視点から)と呼ばれている。ネットユーザーの中には、ボラスを「労働者の英雄」と称える者もいれば、「蔡英文総統はボラスを労働部長に起用すべき」と冗談を言う者もいた。