舞台裏》野球台湾代表が必死に表現したあのサイン! 「Team Taiwan」アイデンティティの誕生秘話

プレミア12、台湾チームの主将陳傑憲は「四角形のハンドサイン」を示し、ユニフォームに表記できない「Taiwan」を表す。(資料写真、中華野球協会提供)
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世界野球プレミア12で、台湾は国際主要大会で初めて優勝を果たし、日本メディアは「台湾」という呼称で台湾代表チームを報じ、試合後には「台湾がついに悲願の優勝を果たした」と報じている。台湾主将の陳傑憲は決勝戦で重要な3ランホームランを放った後、ベースを回る際に胸の前で両手を使って四角形を作った。これは何を意味するのか。ネットユーザーは「わかる人にはわかる」と解説している。

野球の試合では、チームはよく球場で「サイン」を使って戦術を伝達し、それは通常、コーチと選手だけが解読できる。しかし今回、陳傑憲の「四角形」はコーチや選手だけでなく、多くの台湾人が理解した。この「わかる人にはわかる」「サイン」は、「Taiwan」を意味している。優勝してもサインで示さなければならない陳傑憲の「四角形」には、台湾の「悲願」がどれほど込められているのだろうか。

2024115-世界棒球12強賽冠軍賽,挺台灣旗幟。(文總提供)
プレミア12によって、Team Taiwanは台湾全体の共通認識になった。(文總提供)

止められない!選手たちはあらゆる方法で「Taiwan」を表現

今回のプレミア12では、他の国々はユニフォームに国名を印刷できたが、台湾だけは、微妙な国際政治、特に中国からの圧力により、国名の位置が空白で、胸元の隅に中華台北(Chinese Taipei)の「CT」という略称だけが印刷されていた。

しかし台湾の選手たちは自分たちの出身を伝えたがっている。アメリカ戦でホームランを放った内野手の潘傑楷は試合後のインタビューで、「Taiwan」と書かれた黒いパーカーを着用し、「私は『台湾』出身の潘選手です」「『台湾』代表としてホームランを打てて嬉しい」と語った。捕手の林家正は試合後のインタビューで英語で、国を代表して優勝できたことは本当に素晴らしいことだと述べ、投手の林昱珉もアメリカメディアに英語で「私たちは普通の国ではない、小さな国だ。小国でも世界チャンピオンになれる」と語った。帰国時、主将の陳傑憲らは空港で大勢のファンに出迎えられた際、「私たちは皆台湾人だ」と直接叫んでいる。

世界棒球12強決賽,台灣戰勝日本奪冠,為中華隊創造歷史性勝利。(黃信維攝)
プレミア12、台湾選手たちも優勝後「私たちは皆台湾人だ」と表明した。(資料写真、黄信維撮影)

「Team Taiwan」は中華職業野球リーグの創意工夫から

選手たちが世界に台湾を見てもらいたいという熱い思いを持つ中、今回の「サイン」であるTeam Taiwanは突然生まれたものではない。それは徐々に形を現し、やがて輝きを放つようになった。日本人が使う「悲願」という言葉で表現されるような歴史がある。 (関連記事: 野球優勝だけじゃない!同日に台湾が「4冠制覇」 17歳、フェンシングの新星も誕生 関連記事をもっと読む

台湾大学歴史学部の周婉窈教授によると、1972年の夏、アメリカのペンシルベニア州で開催されたウィリアムスポート少年野球大会で、台湾独立連盟のメンバーが「TEAM OF TAIWAN 台湾チーム 頑張れ」という横断幕を掲げたことが、現在確認できる最も古いスローガンの起源とされている。しかし、その後長い間、台湾は海外の大会ではChinese Taipeiとして参加。近年の台湾野球の発展に詳しいスポーツ界の関係者によると、2017年になってようやく、中華職業野球リーグがアジア野球チャンピオンシップに出場した際、チーム名は依然として「Chinese Taipei」であったものの、黒い犬「台湾犬」をメインロゴとしたユニフォームとメインビジュアルを採用した。