舞台裏》台湾の無人機、少なくとも10年遅れ!中国軍「1万台制御可能」と主張 台湾侵攻の脅威に軍はどう対応?

中国軍の軍事力は急速に拡大し、台湾への圧力は日増しに高まっている。写真は台湾軍の「騰雲」無人機。(資料写真、張曜麟撮影)
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3年に及んだロシア・ウクライナ戦争は、小が大に勝ち、弱が強に抗する「非対称戦」が確かに実行可能であることを十分に証明した。戦場で広く使用され有効性が証明された無人兵器は、各国軍の開発重点となり、近年台湾軍も建軍・戦備において徐々に非対称戦力の構築へと転換している。しかし、中国人民解放軍は無人機分野ですでに台湾軍を10年以上リードしているだけでなく、現在は軍用ロボット犬、ロボットオオカミなどの地上無人プラットフォームの開発に力を入れ、実戦レベルでの活用を積極的に推進している。中国軍の新興無人戦力の急速な成長の脅威に直面して、台湾軍はどのように見ているのだろうか?

ここ数年、ロシア・ウクライナ戦争からの啓発と、米国の非対称戦力重視を受け、台湾軍も無人兵器の研究開発を積極的に推進している。「騰雲」「銳鳶」「紅雀」「劍翔」などの無人機が次々と就役し、同時に「快奇プロジェクト」で攻撃型無人ボートを開発、「慧龍プロジェクト」で水中無人艇を開発している。さらに68億5900万元もの予算を計上し、2025年から2028年にかけて嘉義に無人機パークを建設する計画で、台湾海峡に「無人地獄」を作り上げ、中国軍の武力侵攻を抑止すると誓っている。

20241016-台灣無人載具大廠雷虎科技,帶著無人機、無人艇前往美國華府AUSA陸軍展。(雷虎提供)
2024年10月、台湾の無人兵器大手メーカー「雷虎科技」が米国ワシントンDCのAUSA陸軍展に無人機、無人ボートを出展。(資料写真、雷虎提供

民間「DJI」の世界シェア70% 珠海航空ショーで中国軍の実力誇示

しかし、無人兵器の分野では、中国の民間無人機企業「DJI」が世界シェア70%以上を占め、技術水準も台湾を大きくリードしている。軍事用途においては、つい最近終了した珠海航空ショーで、中国軍は無人戦闘における強力な研究開発能力と成果を示した。例えば「銳鷹800A(ASN-220)」中高度長時間多目的無人機システムは、視界内通信の制御半径が300kmに達し、衛星通信の制御半径は1000kmを超え、飛行時間は20時間以上、飛行高度は8000メートル以上である。また「CR500B」新世代陸上軍用中型無人ヘリコプターシステムは、長時間高負荷、高原離着陸、強力な火力を備え、搭載量は160kgに達し、満載で5時間飛行可能、最高高度は6000メートルとされる。

他にも「飛龍300A(ASN-301)」対電波無人機システム、「VU-T10」中型地上無人戦闘システムなどがあり、最も注目されたのは10トン級の「九天」偵察攻撃一体型無人機だ。海軍退役中将の蘭利寧は、「九天」は大型精密弾薬や多数の群れ無人機を搭載し、敵が防御困難な「スウォーム戦術」を実行できる可能性があると分析している。2025年初頭には、英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が、あまり注目されていない報道で、中国軍の研究チームが世界初の複雑な地形を通過できる軍用5Gモバイル通信システムを開発したと明らかにした。厳格なテストを経て、半径3km以内で少なくとも1万台の軍用ロボットを同時に接続でき、実戦配備の準備が整ったとされる。

2021年第13回中国国際航空宇宙博覧会が9月28日から10月3日まで広東省珠海で開催され(珠海航空ショー)、新型無人機が展示された(AP)
2021年第13回中国国際航空宇宙博覧会が9月28日から10月3日まで広東省珠海で開催され(珠海航空ショー)、新型無人機が展示された(AP通信)