トランプ大統領の関税政策でも揺るがぬTSMCの台湾生産基盤 エコノミスト誌が明かす半導体産業の現実

エコノミスト誌の報道によると、米国のトランプ大統領は「アメリカを再び偉大に」(MAGA)の夢を抱いているものの、チップの米国内製造は困難に直面しており、台湾TSMCへの依存から脱却するのは難しいとのこと。(AP通信)

英誌エコノミストの報道によると、アメリカのトランプ大統領は「アメリカを再び偉大に」(MAGA)の夢を抱いているものの、チップの米国内製造は困難に直面しており、TSMCへの依存から脱却するのは難しいとされています。今後数年間、TSMCは引き続き台湾で世界の最先端プロセスチップの大半を製造することになるでしょう。

英国メディアのエコノミスト誌は、米国のJ・D・バンス副大統領が最近パリでのサミットで、世界最強のAIシステムが米国で開発され、「米国で設計・製造されたチップ」を使用することになると宣言したと指摘しています。

これは野心的な目標ですが、米国はAIチップ設計では世界をリードしているものの、世界のチップ製造の中心地としての地位はすでに台湾に譲っています。

台湾は現在、世界の先端半導体生産量の3分の2を占めており、これは米国の両党の政治家たちを悩ませています。トランプ氏は台湾が米国のチップビジネスを奪ったと非難し、海外製チップに25%の関税を課すというアイデアを提案していますが、トランプ氏が何をしようとも、この状況は彼の任期中に大きく変わることはないでしょう。

一見すると、米国のチップ製造は復活しているように見えます。バイデン政権が推進した「CHIPS Act(CHIPS法)」には500億ドルの補助金と税制優遇措置が含まれ、一連の投資を促進しました。

かつて強大だった米国の半導体企業インテルは、国内4州の工場に1000億ドルを投じる計画を立てています。韓国の半導体大手サムスンもテキサス州の半導体工場に370億ドルを投資しています。TSMCはアリゾナ州に650億ドルを投じて3つの先端ウェハー工場を建設中で、そのうち最初の工場はすでにチップの量産を開始しています。

しかし詳しく見ると、米国のチップ製造復活への道はより険しいことがわかります。

サムスンはテキスス州の新工場の稼働時期を昨年末から来年のある時点まで延期しました。サムスンは先端チッププロセスでTSMCと競争するのが難しいとされ、今年のチップ製造における世界的な投資を50%以上削減する計画だと伝えられています。

インテルの状況はさらに悪いです。アナリストたちは、インテルが18Aプロセスの導入で遅れを取っていることを懸念しています。同社は先端チップ製造においてTSMCとのギャップを縮めるために18Aプロセスに依存しています。インテルの利益は蒸発し、債務は蓄積されており、同社が分割される可能性についての憶測が飛び交っています。

米国のファブレスチップ企業ブロードコムはインテルの設計部門に興味を持っていると考えられており、トランプ氏は合弁事業の形でインテルの製造事業を救済できないかどうかTSMCに打診したとも報じられています。

エコノミスト誌によると、これによりTSMCは米国内で先端プロセスチップを生産する上での鍵となっています。半導体産業分析機関SemiAnalysisは、TSMCの今年の売上が25%増加する一方、業界全体の成長は一桁にとどまると予測しています。